世界一のモノを生み出す日本の会社 の商品レビュー
本に紹介された会社のうち、テレビや本で知っていたのは数社。会社の規模が大きくないのは、品質を維持する秘訣かも知れない。
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私が高校生のころから今までの30年間、相当の円高が進みました(250→80円)が、日本経済は円高によって潰されることはありませんでした。 マスコミの報道を聞いていると、円高になると日本はダメになると言われてきましたが、1ドル=80円が定着しても貿易黒字がまだ確保されているという...
私が高校生のころから今までの30年間、相当の円高が進みました(250→80円)が、日本経済は円高によって潰されることはありませんでした。 マスコミの報道を聞いていると、円高になると日本はダメになると言われてきましたが、1ドル=80円が定着しても貿易黒字がまだ確保されているということは、この本で取り上げられている会社が素晴らしい商品(必ずしも最終消費財でないものが多いことがポイント)を作り出しているからだということがやっと理解できました。 組み立てによってコストを競争しなければいけない分野は、日本でも中国・台湾・韓国企業に押されていますが、彼等のビジネスが増えるほど、利益が大きくなる会社も多くあることが日本の強みのようです。この本にはそれらの会社の一部が紹介されています。 以下は気になったポイントです。 ・岡野工業、痛くない注射針(ナノパス33)、他人と逆のことをする、これが成功を生んだ秘密(p3) ・高級化粧筆の白鳳堂、自動化は一切せず、人手で一つ一つ丁寧に作られている、デリケートな作業をするのは、ほとんどが女性たち(p16) ・水族館用アクリルパネルの日プラ、確かな品質を支えるのは技術者たち、日プラでは下請けを使わず、自社社員が現地での取り付けから漏水テストまで全て行う(p20) ・エア駆動式歯石除去器のミクロン、1秒間に16,000回転振動することで、可聴波限界音域(16,000ヘルツ)の振動数に達するので、歯科医療特有の「キーン」という音は聞こえにくくなる(p29) ・夜行時計の根本特殊化学、夜行時計の文字盤等で世界シェア99%(p38) ・硬さ基準片の山本科学工具研究社、共析炭素鋼で、硬さ基準片をつくるときには、特別に純度の高い鋼が使われる、これに熱処理を施し、炭素鋼をマルテンサイト鋼という非常に硬い組織に変化させる(p48) ・デジタルレントゲンのアールエフ、薬の様に飲むカプセル内視鏡(さやか)、外部から無線で電力を供給して、消化管の壁面をカメラが回転しながら撮影する(p53) ・プレミアムヘルメットのSHOEI、快適性・デザイン性を追求するために、塗装・組み立てに至るまで一貫生産、手作り(p64) ・シリコンウェハー用の研磨剤のフジミ、粒子の大きさだけでなく、形状・純度・粒度分布等の様々な顧客の要求にこたえてきた(p73) ・緩み止めナットのハードロック工業、永遠にゆるまないのでメンテナンスフリー(p84) ・音叉式電子天秤の新光電子、音叉は振動数が極めて安定していて、力を加えると振動周波数が変化する、この特性を生かして荷重を測定する、最小表示は0.1mg(0.0001g)(p101) ・アキシャルピストンポンプ用ピストンのタカコ、高圧力ポンプの心臓部に使われるピストンの量産化に初めて成功した、これにより建設機械の性能向上に貢献した(p108) ・CASによる凍結技術のアビー、凍結される過程において大きな氷の結晶ができないので、細胞が生きたまま凍結されて生のようなみずみずしい食感と鮮度が保たれる(p133) ・小型船舶用ディーゼルエンジンのマキタ、MAN B&W社のサブライセンスを取得して、2サイクルディーゼルエンジンの製造を始めたことで小型船舶の分野で世界トップ(p137) ・工作機械の森精機製作所、重要部品は100%内製化して短納期と大量生産、高品質を達成している(p153) 2012年12月31日作成
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