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「自己啓発病」社会 の商品レビュー

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35件のお客様レビュー

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2020/09/27

「自己啓発病」社会(祥伝社新書263) (和書)2012年05月14日 18:52 宮崎 学 祥伝社 2012年2月2日 柄谷行人さんの書評から読んでみました。宮崎学さんは以前にも柄谷さんの書評で紹介された本があり、それ以来新作が出るたびに図書館で借りて読むようにしています。...

「自己啓発病」社会(祥伝社新書263) (和書)2012年05月14日 18:52 宮崎 学 祥伝社 2012年2月2日 柄谷行人さんの書評から読んでみました。宮崎学さんは以前にも柄谷さんの書評で紹介された本があり、それ以来新作が出るたびに図書館で借りて読むようにしています。 今回も図書館にリクエストして購入して貰いましたが、かなり人気があって順番が漸く回ってきました。 イギリスの著述家サミュエル・スマイルズ『自助論』(Self Help)全訳中村正直訳『西国立志編』講談社学術文庫 本文・・・自助が成り立つ社会とは利己社会ではない。自助が成り立つ社会は、個人個人の自助が相互的に働いて相互扶助が成り立つ社会なのである。-終

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2019/03/07

チープで大量生産される自己啓発系の諸々を叩いてくれるものかと思い手に取った.しかし,冒頭でいきなり自民党小泉政権をはじめとする新自由主義批判が展開され違和感を覚える. 日本での自己啓発の興隆がバブル期と重なることと,その背景に当時の政治的な思惑が働いたかことがなぜリンクできるの...

チープで大量生産される自己啓発系の諸々を叩いてくれるものかと思い手に取った.しかし,冒頭でいきなり自民党小泉政権をはじめとする新自由主義批判が展開され違和感を覚える. 日本での自己啓発の興隆がバブル期と重なることと,その背景に当時の政治的な思惑が働いたかことがなぜリンクできるのか 「負け組」,相対的貧困が増加が増えた.というがなぜ勝ち負けの判断が収入の多寡でしかできないのか. 村上ファンドの村上氏に対し厳しい表現があるが,彼の著書を読んだらそんな表現はできない.投資家に対するレッテルもいいところである.(2012年の著書なので仕方ないかも,しかし表面的にしか見ていないことは間違いない) と色々思い,著者のプロフィールを見たところ,共産主義系の運動にも従事していたらしい. なるほど. そこで本をそっと閉じた.

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2018/11/08

自助論は抄訳であり、全訳を読まないと著者の主張はわからない。 p.64 全訳は中村正直訳で「西国立志編」(講談社学術文庫) p.74 スマイルズの自伝は 鶴田賢次 「自助論の著者・スマイルズ翁の自伝」(国会デジタル版) p.92 明治政府は、藩閥政府といわれるが、実務に当たる中...

自助論は抄訳であり、全訳を読まないと著者の主張はわからない。 p.64 全訳は中村正直訳で「西国立志編」(講談社学術文庫) p.74 スマイルズの自伝は 鶴田賢次 「自助論の著者・スマイルズ翁の自伝」(国会デジタル版) p.92 明治政府は、藩閥政府といわれるが、実務に当たる中堅・下級官僚層は、むしろ旧幕深層を中心に構成されていた。 p.122 渡辺京二「逝きし世の面影」平凡社を読むと、徳川幕府時代は、民は圧政に苦しめられていたわけではない。 p.126 自助論でスマイルズの目標は「自助」によってもたらされる「利他」であり「共助」。 p.167 日経BP関連会社によるアンケート「3月11日(震災)以降の日本社会の価値観やものの考え方の変化」(日経ビジネスonline 2011.9.27)。持ち家を資産ではなく、リスクとみなす傾向。 p.199 週刊東洋経済 2011.11.26 「さらば!スキルアップ教」で教養本170冊を紹介。 p.212 藤井聡 なぜ正直者は得をするのか 幻冬舎新書 p.220 自助が成り立つ社会は、個人個人の自助が相互的に働いて相互扶助が成り立つ社会。 ☆思ったより、読み応えのある本。

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2017/08/12

小泉政権以降、新自由主義的な価値観が急速に日本社会に蔓延していく中で、自己啓発本ブームが生まれたことを批判的な視点から論じるとともに、東日本大震災をきっかけにして人びとの間に育まれつつある新しい「連帯」の形を紹介することで、新しい社会に向けての希望を語った本です。 自己啓発本の...

小泉政権以降、新自由主義的な価値観が急速に日本社会に蔓延していく中で、自己啓発本ブームが生まれたことを批判的な視点から論じるとともに、東日本大震災をきっかけにして人びとの間に育まれつつある新しい「連帯」の形を紹介することで、新しい社会に向けての希望を語った本です。 自己啓発本の元祖ともいうべきサミュエル・スマイルズの『西国立志編』(『自助論』)は現在、三笠書房「知的生き方文庫」から竹内均訳で刊行されています。しかし著者は、竹内訳が抄訳であり、それによってスマイルズの主張した「自助」のあり方が歪められてこの国に受け入れられてしまっていることを明らかにしています。そして、本来の「自助」が共生や相互扶助と表裏一体のものであり、その底に流れているのが個人の尊厳を最大限に尊重するという勝義における個人主義だと主張し、現在の日本を席巻しつつある新自由主義の推進者たちの理解する「自助」との間に大きな隔たりがあると述べます。 その上で著者は、東日本大震災で被害を受けた人々の間に芽生えた共生と相互扶助のあり方をいくつか例を引いて紹介しています。 自己啓発本ブームと新自由主義的な価値観の間にある密接なつながりがあることは理解できるのですが、そうした洗脳から脱すれば問題が解決すると考えるのは、あまりに楽天的であるような気がします。

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2017/01/19
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病的とも評しうる「自己啓発」の心理は、新自由主義や小泉改革と親和性あり、この心理状態が、格差社会拡大の問題点を隠蔽し、これになされるべき批判を極小化する役割がある旨指摘する。本書の言う竹中・勝間批判は首肯するところだし、彼らが依拠する「自助論」(竹内均訳)が抄訳であって、彼らに都合のよいところだけを抜粋できる点には、確かに注意が必要な点だろう。一度、全訳である「西国立志編」を読んでみたいところだ。共助・共生の重要性は著者に賛成。が、今となってはその方法論確立こそが至難かもしれない。 著者の、弁護士や公認会計士等の資格保持者(資格取得希望者を含む。殊に無資格の半専門的知識保有者)に対するシニカルな目線も、納得してしまう。なお、学生時代、「自助論」(竹内均訳)は読んだことがある。はっきりとは覚えていないが、著者の言うような内容であったと思うし、今から考えれば、著者の言う疑念もむべなるかな、というものであったと思う。しかし、読んだ時期が、バブル期でまさにイケイケドンドンの時代だったからなぁ…。

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2015/11/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

自己啓発本としてすっかり有名になったサミュエル・スマイルズの「自助論」であるが、最もよく知られているのは竹内均氏による訳である。 ところが、これは抄訳であり、肝心な所がすっぽりと抜け落ちているのだ。全訳は中村正直により、「西国立志論」というタイトルで、講談社学術文庫より出版されているが、1871(明治4)年に出されたものであり、文語調でとても読みにくい。 竹内氏の訳「自助論」でカットされている部分で、本書の著者である宮崎氏が重要だと判断しているのが以下の5点である。 1.自助は利己ではない 2.自助は相互扶助と両立する 3.自助は成功のためではない 4.自助とは人格をつくることである 5.自助とは個人の尊厳を打ち立てることである これらが抜け落ちた状態の竹内訳を読むと、「人は努力した分だけ報われる。だから努力しない人は報われない。いま不遇をかこっている人は、ひとえに努力が足りなかったからであり、全ては自己責任である。だから成功したければ、粉骨砕身努力しなさい。努力すれば出世もできるし、お金持ちにもなれますよ」、としか解釈できない。 だから、この本を推薦する有名人や文化人は、軽薄で嫌味な人ばかりなのだ。 宮崎氏よ、よく言った! と心の中で拍手を贈りたい。 ところで、この「自助論」であるが、2003年1月の施政方針演説で時の首相、小泉純一郎氏が引用していて、どうやらこの頃から、急に売れることになったようなのだ。 その小泉氏が徹底的に行った聖域なき構造改革で、わが国のどこがどう良くなったか。 何も良くなってはいない。 そんな現代日本の病理の根源の一つを紐解けたように思えても言い過ぎではないだろう。 ぜひ多くの人に読んでほしい。

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2015/10/28

身内に「自己啓発マニア」がいます。半ばうんざりしている…というのが正直な所なので、その対抗のために手に取った一冊です。 途中、筆者自身の政治活動の話が出てきて、少し戸惑う部分もありました。 しかし全体として概ね同意する内容で、強く共感しました。 努力をし、知識をつけること。 ...

身内に「自己啓発マニア」がいます。半ばうんざりしている…というのが正直な所なので、その対抗のために手に取った一冊です。 途中、筆者自身の政治活動の話が出てきて、少し戸惑う部分もありました。 しかし全体として概ね同意する内容で、強く共感しました。 努力をし、知識をつけること。 それは現在においては、自己を高めて他人の助けにするためではなく、他人を蹴落とすために必要とされているだけといいます。 実体験でいえば、これは企業などの場だけでなく、単なるアマチュアの趣味の場ですら見られる風潮となっているようです。 これでは社会全体が疲弊して当然です。 私から見れば、自己啓発マニアの人にとっての自己の高め方とは、「掲示版で論争している相手を『論破』するために知識を集めるようなもの」だと思っています。 自分は相手に勝って、満足はするものの、その知識は周りの役には何一つたたないでしょう。 そんな方が周りにいるなら、是非一度目を通すべき本だと思います。 自己啓発マニアや自己啓発本を批判するというよりは、小泉政権以後の新自由主義批判を主に、社会・経済に視点を当てている本だと考えます。

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2015/05/25

自己啓発病かも知れないと思ったので、タイトルだけ見てチョイスしてみた。 要約すると、利己のためだけに自己啓発すべきでない。相互扶助のためにしなさい。と読めた。 つまり、情けは人のためならず。ですかね。 ただ、この能力主義全盛時代に、他人よりも抜きん出ていたい、というモチベーション...

自己啓発病かも知れないと思ったので、タイトルだけ見てチョイスしてみた。 要約すると、利己のためだけに自己啓発すべきでない。相互扶助のためにしなさい。と読めた。 つまり、情けは人のためならず。ですかね。 ただ、この能力主義全盛時代に、他人よりも抜きん出ていたい、というモチベーションがある限りは、なかなか利己主義からは抜け出せないように思った。 IT業界は勉強会が盛んなので、そういう意味では、相互扶助してる方なのかなと思う。

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2014/06/02

『突破者』でおなじみの著者が、現代の自己啓発を過剰に推奨する傾向に警鐘を鳴らす一冊。 自分も大方彼の意見に同意ですが、その中で著者の友人の発言として 「御他聞に漏れず、うちの会社でも自己啓発を奨励、なかば強制している。 その一環として、会社が用意したさまざまなスキルアップ講座を...

『突破者』でおなじみの著者が、現代の自己啓発を過剰に推奨する傾向に警鐘を鳴らす一冊。 自分も大方彼の意見に同意ですが、その中で著者の友人の発言として 「御他聞に漏れず、うちの会社でも自己啓発を奨励、なかば強制している。 その一環として、会社が用意したさまざまなスキルアップ講座を、受講料全額会社負担で受けられる。しかし邪推かもしれないが、これは会社の罠ではないか。 (中略)このように査定を低くするための道具として、これらの講座を利用し、来るべきリストラへのリストラの布石を打っているのではないか」 という一節が非常に実感を持って捉えられた。

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2013/12/22

自己啓発が悪いとは思わないが、その根底にあるものを理解しなければならない。 自助論は、利己ではなく相互扶助と両立する。 自助は成功のためでなく個人の尊厳を打ち立てるところにある。 勤勉が報われる時代はなくもはや物質的な幸福がもてはやされる時代ではなくなった。 産業社会が行き詰...

自己啓発が悪いとは思わないが、その根底にあるものを理解しなければならない。 自助論は、利己ではなく相互扶助と両立する。 自助は成功のためでなく個人の尊厳を打ち立てるところにある。 勤勉が報われる時代はなくもはや物質的な幸福がもてはやされる時代ではなくなった。 産業社会が行き詰まった今自発的な自助が求められている。 他人も自分も支え助ける、利他的自助が必要なのだ。

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