1,800円以上の注文で送料無料

ラピスラズリ の商品レビュー

3.6

63件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2014/04/07

格別敬遠していたわけではないが、 この年になってやっと山尾悠子を読む気になった。 が、遅すぎはしなかった――というより、 人それぞれ、物事には適切なタイミングがあって、 自分にもやっと、そのときが巡ってきたのだと思った。 冒頭の語り手が深夜営業の画廊で銅版画の連作を目にし、 イ...

格別敬遠していたわけではないが、 この年になってやっと山尾悠子を読む気になった。 が、遅すぎはしなかった――というより、 人それぞれ、物事には適切なタイミングがあって、 自分にもやっと、そのときが巡ってきたのだと思った。 冒頭の語り手が深夜営業の画廊で銅版画の連作を目にし、 イメージを膨らませていると、店主がそれらの絵解きをする。 後の物語で、 その銅版画のモチーフになったと思しい事件が叙述されるが、 それらの物語が連続・連結しているとは限らない。 ただ、某かの関連を持つことは窺えて、 連屏風を眺めるような印象を受ける。 もしくは物語同士が少し遠い血縁でもあるかのような。 広大な屋敷には、 冬眠する貴族と、彼らを世話する使用人たちの他に、 亡くなって幽霊となった 「ゴースト」と呼ばれる者が徘徊している。 建物内の人間に招かれなければ入室できないというゴーストは、 ひょっとして吸血鬼なのかと、チラと思ったが、 読み進めると、 長い眠りを貪って若さと美しさを維持する住人たちの方が よほど吸血鬼じみていると思えてくる。 使用人たちが季節ごとのルーティン・ワークをこなして 屋敷の秩序を維持する様は、 まさに「種まきと刈り入れのメタファー」【※】であり 「新年を迎えるための通過(パッサージュ)」【※】 なのではあるまいか。 【※】高山宏『殺す・集める・読む』   「テクストの勝利~吸血鬼ドラキュラの世紀末」より引用。

Posted byブクログ

2012/02/16

千野帽子氏絶賛。上手だとは思うが好きではない絵、という印象。 二つの点で不思議な読書体験だった。 ひとつはビジュアルなイメージ。読んでいると、閉じていない瞼の裏に絵が浮かんでしょうがない。次から次へと、文庫本にプロジェクターがつながっているのか?と思うほど。ただし、明るく楽しい話...

千野帽子氏絶賛。上手だとは思うが好きではない絵、という印象。 二つの点で不思議な読書体験だった。 ひとつはビジュアルなイメージ。読んでいると、閉じていない瞼の裏に絵が浮かんでしょうがない。次から次へと、文庫本にプロジェクターがつながっているのか?と思うほど。ただし、明るく楽しい話しよりは暗くて寒い話しが多いので、一緒に体温が下がるような気がして滅入る。 ほんのり暖かさや希望をほのめかす切片もあるけど、雪、冬眠、湿気、滅び、幽霊、転落、曇天、湿気が横溢して戸惑う。 もうひとつは逃げる「意味」。私たちは、ポップ音楽を聞いているとき別に意味を求めたりはしない。歌詞がわからなくてもリズムやメロディが好きならそれで充分だ。なのに、小説を読むとなるとストーリーが全体として持つ意味を求めてしまう。例え悲惨な事件が起きる物語であっても、人間の宿命的な弱さあるいは強さが描かれていたり、主人公がその体験を通して成長したりすると納得する、といった形で。 だけど『ラピスラズリ』に収録されている短編中編はそこからするりとにげていく。 「で?それに意味は?ないの?なかったの?ないのに、単に○○しただけ?」 夢を見たときのあの感じ、といえば伝わるだろうか。 合う人は合う。私には合わなかっただけで。

Posted byブクログ

2012/01/24

高田馬場芳林堂で人と待ち合わせていて、 平積みになっているのを見つけました。 思わず、購入。 レジ前で、待ち合わせの相手と遭遇。 (2012年1月24日)

Posted byブクログ