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ラピスラズリ の商品レビュー

3.6

63件のお客様レビュー

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2018/08/14

夜の画廊から、人々が冬眠する館の中へ。 作中のゴーストのごとく、読んでいる私の意識が彷徨った作品。 冬の寂しさ、過酷さが妙に肌に残る小説だった。

Posted byブクログ

2018/06/11

ボルヘス好きと言うとだいたいおすすめされる本じゃないでしょうか。 ...ボルヘスは好きなんだけどなぁ。なんでだろう。

Posted byブクログ

2017/07/09

絵画の中の残酷な御伽噺かと思えば時代も場所も越えてしまう。正直、一読しただけでは追いつけないです。 でも物語の中に流れる空気はすごく好き。すっと匂いや色彩、温度なんかが伝わってくる気がします。 明快な物語を求める方には絶対に向きません。 あと、解説に書かれてるように寒い冬の午後...

絵画の中の残酷な御伽噺かと思えば時代も場所も越えてしまう。正直、一読しただけでは追いつけないです。 でも物語の中に流れる空気はすごく好き。すっと匂いや色彩、温度なんかが伝わってくる気がします。 明快な物語を求める方には絶対に向きません。 あと、解説に書かれてるように寒い冬の午後に絶対読まなきゃ駄目だと思います。 秋、冬を巡って春へ続く物語だと思うので、このクソ暑い時期に読んでしまったのは最大の失敗でした… もう一回寝かせて、冬に再読します。

Posted byブクログ

2022/09/06

稀少石のきらめきを思わせる硬質な文章。薔薇窓のように装飾的な舞台装置。山尾悠子の小説を読むのは、ゴシック様式の大聖堂の内部を探索するのに似ている。緻密で入り組んだ構造は、一度で全体像を把握するのを困難にしている。暗がりには冷気が漂い、陰気な亡霊の棲まう気配まで感じるようだ。それだ...

稀少石のきらめきを思わせる硬質な文章。薔薇窓のように装飾的な舞台装置。山尾悠子の小説を読むのは、ゴシック様式の大聖堂の内部を探索するのに似ている。緻密で入り組んだ構造は、一度で全体像を把握するのを困難にしている。暗がりには冷気が漂い、陰気な亡霊の棲まう気配まで感じるようだ。それだけに、天窓から太陽の光が降りそそぐ時、来訪者は天上の光を仰ぎ見るような感覚にうち震えることになる。 『ラピスラズリ』は、冬になると眠りにつく習性を持つ〈冬眠者〉をめぐる5つの物語である。物語の舞台は、深夜の画廊、中世西欧のシャトー、未来の日本の片田舎、13世紀のイタリアなど、場所も時代もまちまちだ。それぞれの話は微妙につながっているが、説明が極端に少なく、しかも不意に途切れてしまったりするので、読者は想像力をフルに働かせて行間を補わなければならない。そういう作業が苦にならない人しか読破できないが、一度読破したら麻薬のように中毒になる、そういうタイプの作品だ。 *「銅版」/深夜の画廊を訪れた〈私〉は3枚の銅版画に見入っている。絵のタイトルは〈人形狂いの奥方への使い〉〈冬寝室〉〈使用人の反乱〉という。店主の説明を聞きながら、〈私〉は幼いころ母と訪れた画廊で見た別の銅版画のことを思い出す。そのタイトルは〈痘瘡神〉〈冬の花火〉〈幼いラウダーテと姉〉というのだった。 *「閑日」/――これがおまえたちが知ろうとしない〈冬〉なんだよ。大晦日の雪の日、主人の〈冬眠者〉一族が眠るシャトーに向って少年は叫んだ。一方、冬眠の途中で目覚めた少女ラウダーテは夜を彷徨う一人の亡霊と出会う。 *「竈の秋」/シャトーでは冬の棟開きが目前に控えていたが、今年は例年になく不穏な気配があった。何百体ものビスクドール、痘瘡の予兆、シャトー差し押さえのための使者。そんな中、成長したラウダーテは別の亡霊と出会う。ラウダーテの弟トビアは病弱な体に倦み疲れ、輪廻転生を夢見ながら眠りにつく。 *「トビアス」/文明が衰退して数世紀たった日本で、冬眠者の少女は自分の来し方を回想する。いなくなった母、春を待たずに死んでしまった犬のことなど…。 *「青金石」/1224年、アッシジ近郊。死期の近づいた聖フランチェスコのもとに一人の青年が訪れる。冬になると眠ってしまう体質のせいで結婚できず、家族を持つことを望めない青年は、懺悔の後で不思議な体験談を語る。瑠璃色の光に包まれて、春の天使が降臨してきた奇蹟のことを。 「閑日」と「竈の秋」の2篇が物語としてまとまっており、分量からいってもこの2つが本書の中核であることは疑いない。しかし最後の「青金石」を読んで私ははっとした。筋らしい筋はなく、純粋なイメージと言葉だけで紡がれた物語。眠りの底から這い出る際の不快感と、その苦痛を打ち消して余りある目覚めの朝の素晴らしさ。〈冬眠者〉の長い物語が必要だった理由に、ここにきて初めて思い到る。冬眠だけではなく、そのあとに続く〈春の目覚め〉までが主題だったのだ、と。『ラピスラズリ』は、限りなく死に近い仮死のあとに訪れる復活の恩寵を描いた作品ではないだろうか。 そしてそれは、20年の休眠期間を経て執筆活動を再開した、作者自身の心境にも重なるところがあるのかもしれない。

Posted byブクログ

2017/02/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不思議な世界観でファンタジー的というか、フィクションでしかありえない雰囲気がよかった。 後書きにもあった、まさに言葉で作られた世界という感じ。 いつもと違う読書体験ができてよかった。

Posted byブクログ

2016/08/19

読み進めるほど、意味不明。視点切替についていけない。終わりまで読むのは諦めた。いずれ、気が向いたら再挑戦しよう。 読書状況に「降参」or「パス」を追加して欲しいな。

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2016/03/02

冬眠する人々の物語。ヨーロッパの古典文学のようで、設定や風景の描写はとても美しいのだか、内容が難解で頭の中で理解し、咀嚼していくのが難しかった。

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2015/08/19

あらすじを書くのが難しい作品。ストーリーを追うと言うより、物語が1つの絵のように広がっていて、その絵の細部を順々に見ているような感覚を受けました。 舞台となる洋館と広大な庭は、まるでフレスコ画のような古びた美しい景色を思い起こさせます。 一転、登場人物たちはどことなく醜い。優美な...

あらすじを書くのが難しい作品。ストーリーを追うと言うより、物語が1つの絵のように広がっていて、その絵の細部を順々に見ているような感覚を受けました。 舞台となる洋館と広大な庭は、まるでフレスコ画のような古びた美しい景色を思い起こさせます。 一転、登場人物たちはどことなく醜い。優美なドレスに身を包み、美酒美食にふけってぶくぶくと太る館の住人たち。高慢な女主人。優雅な生活の影で仕事に押し潰され、苛立ちを募らせていくめしつかいたち。彼らの姿はとても生々しく人間らしい。宗教画の人物のような、よく見るとぞっとする表情に似ていました。 冬の花火、人形の部屋、そしてラピスラズリと、雰囲気あるモチーフが次々と登場して世界観にのめり込みました。読了後もぼおっと物語の世界にふけってしまう、そんな精密な言葉で構築された作品です。

Posted byブクログ

2015/04/14

http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?amode=11&bibid=TB10070875

Posted byブクログ

2014/12/30

「冬」と「眠り」に引きずられるような幻想小説短編集。 それぞれの話には関わりがあるようでないようで。 片手間で読んでいたのであんまりよくわからなかった。 けど、緻密な文章と薄暗い雰囲気ははよかった。 今度ちゃんと読む。

Posted byブクログ