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曾根崎心中 の商品レビュー

3.9

141件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    61

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    2

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2020/08/10

お初目線で進む物語。 お初の人生を追っていくかのような内容で、苦界で生きる女達の姿と心を強く描いていて引き込まれる。 なので、心中へ転がっていく展開は、唐突でちょっと違和感を感じるぐらいだ。 最後の最後に、徳兵衛を疑ってしまう冷静な心がありながら、それはどちらでも同じだと納得して...

お初目線で進む物語。 お初の人生を追っていくかのような内容で、苦界で生きる女達の姿と心を強く描いていて引き込まれる。 なので、心中へ転がっていく展開は、唐突でちょっと違和感を感じるぐらいだ。 最後の最後に、徳兵衛を疑ってしまう冷静な心がありながら、それはどちらでも同じだと納得してしまうお初の情にぞっとする。心中するとはこういうことなのか。 恋は美しいが、業が深い。 原作は戯曲だから、心情は見る者が想像するもののはず。つまりこれは、著者が創造したお初の心なのだろう。 徳兵衛側からの物語も読んでみたい。

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2020/02/28

面白いのかなぁと思って読みはじめたけど、結果面白かった。 最後の気持ちの揺れ方が、しんみり。 歌舞伎で見てみたい。歌舞伎デビューしたい。

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2018/10/08

57:原本を知らないまま、角田さんがリライトされたとのことで読んでみたのですが、ラストがすごく意味深で、慌ててウィキペディアを調べに行ってしまいました(笑) 江戸時代の作品で、しかも小説じゃないし作者は男性なのに、角田さんが書かれるとこんなにも艶っぽく、(現代的な)女性らしさにあ...

57:原本を知らないまま、角田さんがリライトされたとのことで読んでみたのですが、ラストがすごく意味深で、慌ててウィキペディアを調べに行ってしまいました(笑) 江戸時代の作品で、しかも小説じゃないし作者は男性なのに、角田さんが書かれるとこんなにも艶っぽく、(現代的な)女性らしさにあふれたものになるんだなー、とウィキペと見比べながら感激。

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2018/02/11

遊廓の女性の悲恋を描いた近松の世話物を、角田光代が小説化。 自らの逆境をあきらめ受け入れつつも、儚い夢と希望にすがる廓の女性たち。その肝の据わった凛とした美しさに比べ、男たちはなんと浅はかで愚かなことか。男が嘘をついているかもしれないと思いつつも、すべてを受け入れるラストシーン...

遊廓の女性の悲恋を描いた近松の世話物を、角田光代が小説化。 自らの逆境をあきらめ受け入れつつも、儚い夢と希望にすがる廓の女性たち。その肝の据わった凛とした美しさに比べ、男たちはなんと浅はかで愚かなことか。男が嘘をついているかもしれないと思いつつも、すべてを受け入れるラストシーンは圧巻だった。 角田光代の実力はさすが。角田版源氏物語もぜひ読んでみたい。 余談だが、近松の世話物を原作としたシスカンパニーの舞台を観に行く。本作を手に取ったきっかけも、そのことがひとつ。主演は宮沢りえと堤真一、さらに池田成志と小池栄子というペア、実力派揃いなのでとても楽しみだ。

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2017/10/29

色を売る女たちの、恋を夢みる物語。 現実が辛く、心を失い、恋なんてないと思う女たち。 その中で、突然に恋に落ちる。 その突然の恋によって、狂い身をやつしてしまう。 非現実でしか生きられない遊女、現実が嫌で一時の夢に身を持っていかれる遊女。 女たちの日常と、ここまで恋に身を持って...

色を売る女たちの、恋を夢みる物語。 現実が辛く、心を失い、恋なんてないと思う女たち。 その中で、突然に恋に落ちる。 その突然の恋によって、狂い身をやつしてしまう。 非現実でしか生きられない遊女、現実が嫌で一時の夢に身を持っていかれる遊女。 女たちの日常と、ここまで恋に身を持っていかれざるを得ない姿が辛かった。

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2017/10/20

読了日2013/09 古典ってすごく難しくて、学生の時から大嫌いだったけど、角田さんが書いた現代版の「曾根崎心中」はすごく面白かった。 遊郭の話は、元々好き。閉ざされた淡い不思議な世界のような遊郭。 日本の古典はきっと素晴らしい作品がたくさんあるから、もっといろいろな古典を現代版...

読了日2013/09 古典ってすごく難しくて、学生の時から大嫌いだったけど、角田さんが書いた現代版の「曾根崎心中」はすごく面白かった。 遊郭の話は、元々好き。閉ざされた淡い不思議な世界のような遊郭。 日本の古典はきっと素晴らしい作品がたくさんあるから、もっといろいろな古典を現代版にしてほしいなぁ。

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2017/07/25
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初読。図書館。文楽や歌舞伎で何度か観て話は知っていたけど、ここまでお初の恋情を濃密に描かれると、私は何もわかっていなかったのだと痛感した。遊女たちのあきらめ、哀しみ、初恋、苦しみ、悦び。心中という結末も当然の選択に思われる。ラストのお初にふとよぎる疑念もさらに複雑な心情を暴き立てる。「願わくばそのときもわたしと徳さまの名前がその女たちの口にのぼればいい。わたしたちはこの先ずっと永遠に、噂に閉じ込められるのだ。二人きりで。」300年後もさらにこの先も、お初の願いはかない続けられる。店の縁の下に隠れた徳兵衛が、心中を口にするお初に自分の覚悟を伝えるため、お初の足をのどに当てるところは、私の一番好きな場面。ここだけは文楽のほうが色気があるかな。

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2017/06/21

江戸時代に近松門左衛門が描いた物語を角田光代が現代に甦らせた作品。 まず表紙のインパクトがかなり大きい。凄まじい。 遊女である初と、その初と恋に落ちる徳兵衛との 狂わしい恋の物語。 恋に狂う二人を物哀しく、そしてどこか冷めたような熱量で描いている。 初の最後の葛藤が何とも言えず...

江戸時代に近松門左衛門が描いた物語を角田光代が現代に甦らせた作品。 まず表紙のインパクトがかなり大きい。凄まじい。 遊女である初と、その初と恋に落ちる徳兵衛との 狂わしい恋の物語。 恋に狂う二人を物哀しく、そしてどこか冷めたような熱量で描いている。 初の最後の葛藤が何とも言えず切ない。

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2017/04/03
  • ネタバレ

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角田光代すごい、と思った。 恋に追い詰められていく女性の気持ちが、追い立てられるような文体で表現されてる。関西弁のニュアンスがそれを引き立てる。たたみこむように。急き立てるように。これが、恋。 ラスト、女が男をちらと疑うところも新解釈。それでも恋に殉じる気持ちは揺るがない。尋常ではない状況を、これしかないと読者に納得させる角田の筆力。素晴らしいの一言。

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2017/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者にしては珍しく時代小説。 比較的、短編で字も大きくすぐ読了。 徳兵衛、あんたほんとに九平次に嵌められたのかい? 途中までは九平次に騙されてそんな大事なお金をいくら純粋すぎるからって易々貸すなんて、挙句の果ては罪人扱いでにっちもさっちもいかなくなって初と心中だなんて。可哀そうすぎるって思っていたけど、ラスト近くの何行かで、にわかにもしや徳兵衛が…と思わせる手腕はさすが。 初のけなげな徳兵衛を想う一途な気持ちは(客はとっていても)もちろん、遊郭で働く女たちの楽しみもある中での悲哀、おかみさんや子飼いと呼ばれる幼子の奉公人などの生活がいきいきと描かれていて、この時代のまぎれもないほんとうにあったであろう女郎の気持ちが胸を打つ。

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