動的平衡(2) の商品レビュー
生物学者、福岡伸一の新刊。面白い。この人の本を読むたびに、生物学者というものに憧れます。血も動物も虫も苦手ですが。 すべてのシステムは、摩耗し、酸化し、ミスが蓄積し、やがて障害が起こる。つまりエントロピー=乱雑さは、常に増大する。このことをあらかじめ織り込み、エントロピー増大の法...
生物学者、福岡伸一の新刊。面白い。この人の本を読むたびに、生物学者というものに憧れます。血も動物も虫も苦手ですが。 すべてのシステムは、摩耗し、酸化し、ミスが蓄積し、やがて障害が起こる。つまりエントロピー=乱雑さは、常に増大する。このことをあらかじめ織り込み、エントロピー増大の法則が秩序を壊すよりも先回りして自らを壊し、そして再構築する。生物が採用しているこの自転車操業的なあり方、これが動的平衡である。P243
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「生物と無生物のあいだ」から一貫した主張。「変わり映えなし」という印象ではなく、何度も「やっぱりそうだった」と思える。生命現象から、社会問題解決へのヒントを学ぶ。
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前著である「動的平衡」の続編である。が、前著を読んでいなくても問題は全くない。というのもこの作者「生物と無生物のあいだ」からあまり主張が変わっていないからである。良く言えば、心が通っている科学者であるが、読み手から見ては、またこれかよ!なんて思ってします。 著者は処女作から一貫し...
前著である「動的平衡」の続編である。が、前著を読んでいなくても問題は全くない。というのもこの作者「生物と無生物のあいだ」からあまり主張が変わっていないからである。良く言えば、心が通っている科学者であるが、読み手から見ては、またこれかよ!なんて思ってします。 著者は処女作から一貫して、「生命とは何か」ということを問う。 それは、動的平衡つまり絶えず変化してエントロピー増大の法則に対抗していることであると主張する。今回も、この主題をあるときは音楽に、あるときはダンスに例えて技巧的に表現している。筆者の優れている点は、現象の比喩が巧みであり、言葉選びにセンスがありまるで小説を呼んでいる錯覚に陥るということであると思う 今回の著書の新しいトピックとしては、エピジェネティクスである。これは、遺伝というのは同然先天的な要素であるが、それに加えて外部の環境に適合するように遺伝子のスイッチがONとOFFになることで多様性が生じるという仮設である。 生命は遺伝子の設計図の通りに作られるというのが高校生物から学ぶことであるが、我々の住んでいる社会を見渡すと多種多様な人間がいる。 これは環境による差異が遺伝子のONとOFFのタイミングを遅らせ(又は早まらせ)、多様性を構築しているのだという。
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福岡さんの『動的平衡』では、日々細胞がいれかわりつつ、生命体を維持するという発想に衝撃を受けた。 その2がでたということで購入。 相変わらずおもしろいが、何となく、エッセイ風。 (1)チンパンジーに比べて、人間のDNAはスイッチがオンになるタイミングが遅い。ひとは長い...
福岡さんの『動的平衡』では、日々細胞がいれかわりつつ、生命体を維持するという発想に衝撃を受けた。 その2がでたということで購入。 相変わらずおもしろいが、何となく、エッセイ風。 (1)チンパンジーに比べて、人間のDNAはスイッチがオンになるタイミングが遅い。ひとは長い期間、こどものままでいる。(p210) 前提として、DNAだけでは、ひととチンパンジーの違いが説明できず、スイッチの入り方が大事という仮定がある。 (2)腎臓の仕組みは、浄水器より圧倒的に優れていて、一度、血液をすてて、必要なものを再度とりこむという仕組みなので、濾過材などの交換がいらない。(p221) (3)私たち人間は、真偽、善悪の次には、美しいか、美しくないかという判断基準が大事になる。(p247) なんとなく納得できるのだが、最後の話などは、ちょっと思いこみチックになっている。 福岡さんには、科学者としてのアウトリーチに踏みとどまって欲しい
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エッセー集。発表先が異なるものを集めているせいか、前作に比べるとややまとまりがない印象だが、話題の豊富さ、文章のうまさはやはり際立っている。 丈夫なものを作るには、頑強に作る方法(建築物など)と、生命のように動的平衡を維持していく方法がある。頑強なものはあまりメンテナンスを必要としないが、いずれは寿命がくる。動的平衡を採用したシステムは日々、部品を入れ替え、環境に適応していくことで永遠に生きることもできる。
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e_r2d2さん ご連絡ありがとうございます。昨年、11月下旬よりツイッターをサボっています。が、2012年最初に読んだ本は「動的平衡2」(福岡伸一著)です。ある意味衝撃を受けました。科学の本を読んだことがなかったので、これから、読むように心がけます。文系の、私にも面白かった!
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爆問学問で福岡さんのお話しを聞いた時はかなりときめいてしまって第一弾を買いました。私としては東洋医学とリンクしてお話を聞いてしまいます。 その後メディアで大活躍の福岡さん。 良い意味でカテゴライズに困る世界観です。
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阿川さんとの共著「センスオブワンダーを探して」の内容と被っている箇所が散見されたが、フェロモンの話などは面白く読めた。今まで読んできた作品(ルリボシカミキリの青など)に比べると、文章から立ち上る魅力がパワーダウンした印象だが、気のせいだろうか。
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著者である「福岡伸一」氏が生物について語ると、まるで輝きを放つ宝石のごとく美しく、愛おしくなるのはなぜだろうか。 それは福岡氏が、生き物に対する飽くなき好奇心とセンス・オブ・ワンダー(自然などからある種の不思議さを感じ取る感性)を備えているからだとおもう。 エントロピーの増大...
著者である「福岡伸一」氏が生物について語ると、まるで輝きを放つ宝石のごとく美しく、愛おしくなるのはなぜだろうか。 それは福岡氏が、生き物に対する飽くなき好奇心とセンス・オブ・ワンダー(自然などからある種の不思議さを感じ取る感性)を備えているからだとおもう。 エントロピーの増大という不可避な「死」を運命づけられているすべての生き物が、その短い命の中でこれほどダイナミックに生を謳歌しているという事実。 リチャードドーキンスが利己的な遺伝子で、生物は遺伝子の運び屋でしかないと僕ら人間にとっては非常に「味気ない」生命観を提示していたが、福岡氏のいう「動的平衡」な生命観は、まさに「自由」という翼を与えれくれる。 知性と教養を兼ね揃えた著者のようになれれば、きっと世の中違って見えてくるはずだ。
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高度にIT化された現代において、私自身システムを過信しすぎている気がします。無意識のうちに世界を恒常的なもの、完璧なものとして思い込み、日々効率的に管理されていることに甘んじていることで思考が停止します。無思考に日常を過ごすことでエントロピーが増大し、気付けば自分を見失っている気...
高度にIT化された現代において、私自身システムを過信しすぎている気がします。無意識のうちに世界を恒常的なもの、完璧なものとして思い込み、日々効率的に管理されていることに甘んじていることで思考が停止します。無思考に日常を過ごすことでエントロピーが増大し、気付けば自分を見失っている気がします。食べ物においてもしかりですが、情報、知識も自分の頭で咀嚼し、継続的に取り込んでいく必要があります。
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