さよなら!僕らのソニー の商品レビュー
ソニーがいかに変わっていったか、を描く秀作。 著者自身がソニーについて思い入れがあってこそ書ける内容なので表層的な部分をさらう新聞や雑誌の記事とは違うわけです。もちろんいろんな考え方があるので正しいかどうかはともかく、会社が大きくなるにつれていろんな弊害が出てきて、そこを壊す人が...
ソニーがいかに変わっていったか、を描く秀作。 著者自身がソニーについて思い入れがあってこそ書ける内容なので表層的な部分をさらう新聞や雑誌の記事とは違うわけです。もちろんいろんな考え方があるので正しいかどうかはともかく、会社が大きくなるにつれていろんな弊害が出てきて、そこを壊す人がいないまま今に至っているということでしょう。いい会社のはずだったんですけどね。
Posted by
経営者の最大のメッセージは人事である。 工場を持たないメーカー、 標準化された廉価商品を外部の製造会社に委託生産させる販売会社、 例えばパソコンの『デル』や液晶テレビの『ビジオ』など水平分業の申し子たちが、 ストリンガー氏が目指すソニーのエレキ事業の理想像なのかも知れない。 ...
経営者の最大のメッセージは人事である。 工場を持たないメーカー、 標準化された廉価商品を外部の製造会社に委託生産させる販売会社、 例えばパソコンの『デル』や液晶テレビの『ビジオ』など水平分業の申し子たちが、 ストリンガー氏が目指すソニーのエレキ事業の理想像なのかも知れない。 ソニーは日本企業であり、エレクトロニクス・メーカーであり続けると 信じて疑わない日本人とソニーファンにとって認めがたいことであろうが、 グローバル企業になるということは、そういうことなのである。
Posted by
ソニーがいかにしてエクセレント・カンパニーから普通のパッとしない企業に没落していったかを、経営人事視点で追った本。ノンフィクションライターとして定評のある著者だけに、章立てが上手く読みやすかった。 通読しての全体的な印象は、ノスタルジー。乱暴にまとめると「昔のソニーはよかったな...
ソニーがいかにしてエクセレント・カンパニーから普通のパッとしない企業に没落していったかを、経営人事視点で追った本。ノンフィクションライターとして定評のある著者だけに、章立てが上手く読みやすかった。 通読しての全体的な印象は、ノスタルジー。乱暴にまとめると「昔のソニーはよかったな」だが、もちろんこれで終わると駄作。本書では歴代の社長や役員へのインタビューをベースに、歴代社長がソニーをどうしようと考え行動したか、あるいは行動しなかったかを綴る。時々「それは穿ちすぎでは」と思われるような著者の推測も入るが、おおむね間違ってはいないだろう。 本書では「ソニーは技術を捨ててしまった」というフレーズが何度も登場する。確かに出井社長時代からソニーはハードウェアビジネスからソフトウェアやネットワークでのビジネスに傾倒していった。著者はそれに対し極めて批判的だが、本当にその判断が間違いだったのかは僕は疑問だ。現に、今我が世の春を謳歌している企業───アップル、グーグル、サムソンなど───は、まさに独自のハードウェア新技術の開発に全く価値を置いていない企業ばかりだ。また、メーカーとして倒産の危機に遭い別業種で復活したIBMのような企業もあるし、逆に自社開発にこだわるあまり没落していった企業は数知れない。後出しジャンケンで「あれは失敗だった」といった批判は意味が無いだろう。 本書で最大の「戦犯」とされているのが前CEO(2012年現在)のハワード・ストリンガー氏。彼がソニーのDNAを完全に壊してしまったということだが、それを是とするか否とするかは意見が分かれるだろう。確かに彼の経営は大失敗だったが、「創業者の思いが詰まった○○の売却」といった事例を多く紹介してそれを批判するのは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ではないか。 ただし著者自身、本書が多分にノスタルジーが込められたノンフィクションであることは自覚的、というか敢えてそういう一冊にしたのは明らか。題名にも現れているように、この本の主人公は「僕らの」ソニーなのだ。 最後に、ソニーから離れて本書の感想を述べておく。まとめると、大企業の役員であってもやはり人間というのは客観的な判断だけでなく自身のプライドや情に左右されてしまうのだなという衝撃。会社に長く勤めているとそういう場面は頻繁にお目にかかるが、大企業のトップ人事にもそんな理由で決まったりするのかと驚いた。 本書で批判されている人物の中で、完全な悪人として描かれている人間は一人もいない。ただ能力が欠けていたり、器でなかったりするに過ぎない。本来のコーポレート・ガバナンス(企業統治)というのはそういった一人の人間の適性などに左右されずに経営が安定的に機能するためのもののはずが、機能していないのが残念。民主主義の限界と同種の問題を感じた。
Posted by
以前、大学院の教授におすすめしてもらった本。ソニーが何故これほど深刻な経営状態になってしまったのかを、トップマネジメントの観点から論じている。 著者はブランドを「クオリティとメッセージで担保される消耗品」だと定義している。消耗品であるからには、ふさわしい商品を作り続けてブラン...
以前、大学院の教授におすすめしてもらった本。ソニーが何故これほど深刻な経営状態になってしまったのかを、トップマネジメントの観点から論じている。 著者はブランドを「クオリティとメッセージで担保される消耗品」だと定義している。消耗品であるからには、ふさわしい商品を作り続けてブランドを維持するしかない。今のソニーには、それが出来ない。ソニーはもはやウォークマンに代表される「ソニーらしい」商品を生み出すメーカーではなくなり、ネットワークビジネスとの融合にこだわるコングロマリットになってしまった。出井とストリンガーというふたりの経営者が、ソニーを決定的に変えてしまった。かつて日本人に勇気を与えた「僕らのソニー」はもはや存在しない。
Posted by
個人的には思いいれのあるソニーだけど、トップの人事的な話が大筋のような本でした。トップの話も大切だと思うけど、これからを担う若い人たちがどうソニーを捉えているのかを知りたかった。 僕らの=現在50代ということはわかるけど、過去から反省し、未来を見つめるならば、未来を担う技術者やマ...
個人的には思いいれのあるソニーだけど、トップの人事的な話が大筋のような本でした。トップの話も大切だと思うけど、これからを担う若い人たちがどうソニーを捉えているのかを知りたかった。 僕らの=現在50代ということはわかるけど、過去から反省し、未来を見つめるならば、未来を担う技術者やマーケティングエデュケーションをしようとしている販売の人たちは一体?そちらのほうが重症のような気がする。 でも、僕もソニーファンでしたが、残念ながら、今回の「俺とローラのブルーレイ」のキャンペーンで、一気に萎えました。もう消費者に迎合するメーカーに堕ちてしまったのですね。。。 ソニーの取り扱っている商品の真髄は「時間」だと思っていた(残す、貯める、早くする、遅くするなど)のですが、最近は時間を潰すものとなってしまい残念です。時間を忘れるくらいの商品がこれから出てくることを期待します。 あ、この本は僕には毒にも薬にも残念ながらなりませんでした。
Posted by
(推薦者コメント) ソニーの歴史とソニーの没落。大会社の抱える問題は、多くの示唆を与える。経営を志す人は読んで損をしないと思う。子会社であるSCEの問題点を説明する多根清史『プレステ3はなぜ失敗したのか?』と併せて読まれたい。
Posted by
出井氏の最大最悪の失策は、ストリンガー氏を社長にしたことだという気がした。トップに立つ人間は、会社を愛している人間でなければならない。その点において、出井氏も失格であり、ストリンガー氏は全く持って適格でなかった。 大賀氏も能力や先見性で出井氏を選ぶべきではなかった。そういう意味...
出井氏の最大最悪の失策は、ストリンガー氏を社長にしたことだという気がした。トップに立つ人間は、会社を愛している人間でなければならない。その点において、出井氏も失格であり、ストリンガー氏は全く持って適格でなかった。 大賀氏も能力や先見性で出井氏を選ぶべきではなかった。そういう意味では、会社から可愛がられていて出世街道を上がってきた人物が適しているかもしれない。日なたを歩いておらず、ごぼう抜きで社長になった出井氏に、ソニーへの愛着はそれほどなかったのだろう。あったとしたらストリンガー氏を社長に据えることもなかっただろうし。 上司と部下についても、あまりにタッグを組ませすぎるとその中での利益最大化を目指しがちになるから、関係をあまり長く続かせるのは会社にとっては良くないことだと思った。彼らはソニーはどうなろうが構わなかった。自分や自分の周りが潤えばそれでよくてソニーを傷つけることに極めて鈍感だった。そういうチームが社内にできないような仕組みが必要だと思われる。 ソニーは平井氏の元どうなっていくのか、このまま朽ち果てていくのかどうか。是非日本を代表する会社として昔の輝きを取り戻していくことを切に願う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
トランジスタラジオ、ウォークマン、CDなど、世の中を変える魅力的な製品を生み出してきたソニーが、なぜ凋落していったかを問う本。 ソニーは90年代半ばから、目先の売り上げに固執してしまい、強みだった商品開発能力に影を落とすようになったという。確かに当時以前ほどソニー製品に魅力を感じなくなっていたし、ソニー神話の神通力が徐々に失われていったのだろう。ソニーのトップは、大賀、出井、そしてストリンガーへ変わっていくが、エレキ軽視、ネット偏重へと会社の方針は傾いていった。 出井氏がネット社会に対応した製品を打ち出せなかった理由の一つに、当時ソニーが抱えていた借金の返済に追われていたことがある。大賀社長時代、映画会社と音楽会社の買収で負った有利子負債が重荷になっていた。これら買収会社のアメリカ人経営者による乱脈経営は「ヒット&ラン」という本が出版されているという。 著者のストリンガー氏の評価は出井氏よりも厳しく、技術軽視、コストカッターとしてもの作りそのものに関心がないと評している。
Posted by
う~ん。 片側からの視点であるので、 内容が一方的であるという指摘は出来るかもしれませんが、 それでも、結構な説得力のある内容。 出井さんが社長になった時、 SONYの新しい時代が来たと思ったんですが、 その後伸び悩んでしまったのは、 何故だろうと思っていました。 それが、こ...
う~ん。 片側からの視点であるので、 内容が一方的であるという指摘は出来るかもしれませんが、 それでも、結構な説得力のある内容。 出井さんが社長になった時、 SONYの新しい時代が来たと思ったんですが、 その後伸び悩んでしまったのは、 何故だろうと思っていました。 それが、この本で、或る一側面ですが、 理由がわかりました。 それにしても、もう、SONYは終わったんですね。
Posted by
ウォークマン世代の自分としては、ソニーの商品はとにかく“格好良かった”。「企業30年説」なんて言葉があるが、組織が巨大になりすぎる、経営者が愚かでそれに気づかない企業は大抵「さよなら」なんじゃないだろうか。「さよなら 僕のソニー」。
Posted by