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三本の緑の小壜 の商品レビュー

3.7

13件のお客様レビュー

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2012/01/03

 ある町で次々と起こる13歳の少女殺人事件。最初の殺人事件の犯人と疑われた医者も、事故死(自殺?他殺?)するが、その後も殺人は続く。  その町で診療所を経営する医者家族を中心に、被害者との関係をそれぞれの視点から描く。  

Posted byブクログ

2012/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人物描写がとても丁寧で、フーダニットミステリとしても人間ドラマとしてもおもしろかったです。 登場人物達が互いに疑ったり、憎んだり、嫌ったりしているドロドロした関係を築いていますが、嫌な奴だ、と思っていた人達も弱さや愛情を隠し持っているのが滲み出てきて、その人間臭さに親近感が沸きます。 中でも発達障害を抱えた乱暴者で嫌われ者のシーリアと、傷つかない為に堅く心を閉ざし、人との間に強固な壁を作るマンディの異母姉妹が強烈。 父親のジョンのキャラクターがわたしには一番不気味でした。 このどこか壊れた人々の人間関係にどうしても目を奪われてしまいます。ストーリーで読ませて読者を惑わせるのが巧いところです。 一人の少女の殺人事件によって田舎町は恐慌に陥り、少女達は怯え用心しているにも関わらず、なぜ殺人は止まらないのか。 ロジックや犯人の以外性の凄さがあるわけでもないのに、動機を含めて犯人判明のシーンは衝撃的でした。 緊張しっぱなしで暗いサスペンスフルな展開からの、ちょっと心温まるラストは素敵。

Posted byブクログ

2011/11/07

まあどの小説でもそうだけれど、これは特に、誰に気持ちを移入して読むかで、見えてくるものは違ってくるだろう。 夏休み直前の13歳の少女たち。 子どもの時間が終わりかけ、でも大人になるまでにはまだ間がある、隙間の時間。 子どもと大人の間の隙間。無力と全能感の間には、隙間がある。 ...

まあどの小説でもそうだけれど、これは特に、誰に気持ちを移入して読むかで、見えてくるものは違ってくるだろう。 夏休み直前の13歳の少女たち。 子どもの時間が終わりかけ、でも大人になるまでにはまだ間がある、隙間の時間。 子どもと大人の間の隙間。無力と全能感の間には、隙間がある。 複数の登場人物の一人称で語られるので、語っている人の立場に立ち易い。 私はついマンディ・アーミテイジの立場に立って(大抵の読者はそうかもしれない)読んでしまったので、この結末にも後味にも、大きな不満はない。 13歳の少女たちの人物造型や心理描写にも、不自然や不整合は感じない。充分だと思う。 ただ、いささか動機は弱いように思う。私だったら、この動機ではここまではいかないんじゃないかなあ、と思う。 タイトルはマザーグース "Ten green bottles" から、ですよね。 1本ずつ減っていく数え歌。マザーグースの場合は、最後には何もなくなってしまうわけだけれど。 やっぱりあれじゃないかな、何かを得て大人になっていくのじゃなくて、何かを失って大人になっていく、のじゃないかな。

Posted byブクログ