草原の風(上) の商品レビュー
ほとんど人物を知らないけれど何故かやたらに良い印象のある、後漢の世祖・光武帝(劉秀)が主人公とのことで、ワクワクしながら読み始めた。 …思っていた以上にプロ農民である。 簒奪者・王莽の治下、劉一族の末席として息苦しい生活を強いられていて、やや自嘲的な面が覗きがち。しかし帝...
ほとんど人物を知らないけれど何故かやたらに良い印象のある、後漢の世祖・光武帝(劉秀)が主人公とのことで、ワクワクしながら読み始めた。 …思っていた以上にプロ農民である。 簒奪者・王莽の治下、劉一族の末席として息苦しい生活を強いられていて、やや自嘲的な面が覗きがち。しかし帝都への留学を機に、事業を興すなど学問以外の経験からも多くを学び、周囲の期待に応えられるだけの力を蓄えていく。 「官に就くなら執金吾(首都警備長官)」とか言っていた人が、遙かに飛び越えて皇帝になってしまうまでの過程、とても気になるところである。
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後漢王朝の立役者劉秀の立志伝。春秋戦国時代から離れまったくの未知世界。これまでに一顧だにしなかった時代であり、興味深く読んだ。劉秀の温厚篤実な一挙手一投足に心惹かれた。混濁の世にあって徳器に勝るものなし。改めてそんなことを思った。綺麗に心が浄化された。
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後漢を打ち建てた光武帝の物語である。 宮城谷先生の作品は、近年、ずいぶん密度の薄い作品が増えている印象があるが、残念ながらこの作品もその印象が強い。少なくともこの上巻はそうだ。 さすが上手い文章で、するする読めてしまうが、中身は「就学して、商売して、挙兵する」である。勉学に...
後漢を打ち建てた光武帝の物語である。 宮城谷先生の作品は、近年、ずいぶん密度の薄い作品が増えている印象があるが、残念ながらこの作品もその印象が強い。少なくともこの上巻はそうだ。 さすが上手い文章で、するする読めてしまうが、中身は「就学して、商売して、挙兵する」である。勉学においてはたとえば孟嘗君のような質と量がないし、商売においては奇貨置くべしに如かず。 あれもこれもで、やや半端になっている感も否めない。
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全3巻 中国後漢王朝 劉秀の学生時代からの物語。面白く一気に読破することができました。劉秀の人間としての器の大きさをところどころ感じることができました。「疾風にして勁草を知る。」と良い諺をいただきました。
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宮城谷作品ばかり読んでいた頃、まだ若くてガツガツしていた自分を思い出しました。 今回も爽やかな人物像に触れ、少しリフレッシュした気分です。 所々で過去の宮城谷作品でとり上げられたひとの挿話がはいり、それもまた懐かしく感じました。
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ふしぎなことに宮城谷昌光の描く古代中国史小説には主人公の個人的資質に由らないいくつかの貌がある。『草原の風』によって、その想いをいっそうつよくした。 それはひとことでいえば時代の貌である。 格好つけてしまった。 しかしそうなのである。登場人物に時代の影響がみられる、という話では...
ふしぎなことに宮城谷昌光の描く古代中国史小説には主人公の個人的資質に由らないいくつかの貌がある。『草原の風』によって、その想いをいっそうつよくした。 それはひとことでいえば時代の貌である。 格好つけてしまった。 しかしそうなのである。登場人物に時代の影響がみられる、という話ではない。そういうこともあるかもしれないしないかもしれないが、ぼくがいいたいのはそういうことではない。小説世界で感じられる活気であったり、雰囲気であったり、そういうものの質がおそらく時代ごとに異なる、というふしぎさがあり、それを感じることも宮城谷の小説のたのしさのひとつである。 『草原の風』は前漢と後漢の間を結ぶ物語であり、時間的近所に他作品の陰はみえない。あらたな草の声をいまにはこぶ風が、ふいた。
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漢を再興した劉秀の物語です。上巻ではあまり劉秀のすごさが響いてこなかった感があります。地道に生きていく姿が描かれています。ここから化けていくのが楽しみでもあります。 上巻は劉秀の生い立ちから赤眉の乱をへて反乱が起きるところまでです。赤眉の乱は学校で勉強した記憶がありますが、ああい...
漢を再興した劉秀の物語です。上巻ではあまり劉秀のすごさが響いてこなかった感があります。地道に生きていく姿が描かれています。ここから化けていくのが楽しみでもあります。 上巻は劉秀の生い立ちから赤眉の乱をへて反乱が起きるところまでです。赤眉の乱は学校で勉強した記憶がありますが、ああいう経緯で起きたのは知りませんでした。つくづく、学校教育って面白いことを伝えていないな〜。って思いますね。
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前から、これまで日本で小説化されていない、中国の歴史上名君と呼ばれ、そして波乱の人生を送ったと思われる二人の人物を主人公にした小説を読みたいなあと思っていた。それは唐の李世民(太宗)と後漢の劉秀(光武帝)で、書き手は中国のことをよく知る日本の一流歴史小説家を希望していた。今は亡き...
前から、これまで日本で小説化されていない、中国の歴史上名君と呼ばれ、そして波乱の人生を送ったと思われる二人の人物を主人公にした小説を読みたいなあと思っていた。それは唐の李世民(太宗)と後漢の劉秀(光武帝)で、書き手は中国のことをよく知る日本の一流歴史小説家を希望していた。今は亡き司馬遼太郎や、最近では宮城谷昌光氏に期待していたところ、宮城谷氏が劉秀を主人公にした小説を新聞に連載を始めたので、単行本になるのを待っていた。(新聞連載で少しづつ読むのは、せっかちな自分の性格に向いていないので。) 以前何かの書物で前漢成立時(楚漢戦争時)は数多の名臣・名将が輩出したが、後漢成立時はそれほど目立った名臣・名将が輩出しなかった。その原因は劉秀(後の光武帝)が一人優秀すぎた為であると述べられていたのを覚えている。劉秀は楚漢戦争時の名臣・名将・英雄の能力を一人で兼ね備えているかのようであり、さらに凄いのは、それに加えて人徳があることだ。劉秀の活躍は神がかっているとしか思えないほどである。もちろん歴史上の人物を小説化しているので、史書及び小説家の解釈によって史実とは多少食い違いはあろうが、宮城谷氏のことだからそんなに滅茶苦茶な解釈はしていないだろうと信頼して、眉につばをつけずに素直に楽しんだ。 邯鄲で王郎が挙兵し、河北で転戦を強いられたのが劉秀最大の危難だと述べられているが、この危機を乗り切れた一因として、それまで河北で行っていた良政が挙げられると思う。そのため四面楚歌の状況でも命脈が保たれたのだろうと思う。そして、この最大の危機を乗り切った時点が覇道の始まりであったとも考えられる。自分の身を翻っても、今後何回も危難は訪れるだろうが、今の行いを整えて危機を新たな飛翔の機会に変えれたらと思う。 宮城谷氏の小説は相変わらず上品で、上質で、なおかつ読みやすいので一気に読まさせてもらった。題材も良く久しぶりに寝食を忘れるほどの面白さを味わった。ただ、劉秀が天子に即位する前後から筆の速度が速まり、下巻の最後のあたりなどはほぼ史実を記載するだけにまでなったのが残念。みっちり書かれている上中巻のペースで最後のエピソードまで書かれていたら、おそらくもう数巻必要で、さらに楽しめて良かったのに。改めて残念に思う。 読み終わったばかりなのに、「しばらく時を置いてからまた読みたい」と思った。
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<図書館で借りた> 後漢・光武帝(「漢委奴国王印」の皇帝,名は劉秀)のお話。 「上」は28歳まで描かれている。 この話に出会うまでに読んだ宮城谷さんの小説で 一番面白かったのは「管仲」だったが、 「草原の風」はそれを上回ると思う。 個人が当面する課題は大昔でも変わらないよう...
<図書館で借りた> 後漢・光武帝(「漢委奴国王印」の皇帝,名は劉秀)のお話。 「上」は28歳まで描かれている。 この話に出会うまでに読んだ宮城谷さんの小説で 一番面白かったのは「管仲」だったが、 「草原の風」はそれを上回ると思う。 個人が当面する課題は大昔でも変わらないようだ。 なぜか自分の生きざままで考えさせられてしまう。
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偶然新聞掲載開始の日に見つけて、生まれて初めて新聞小説で読んだ本。 宮城谷、光武帝というキーワードにもの凄く引き付けられました。
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