幻影の書 の商品レビュー
なんでこの人の本は面白いんだろうか。物語内物語内物語の入れ子の仕掛けあり、偶然が重なることでストーリーはぐいぐい進み、まあ普通に考えれば面白いのだけれど、それだけだったらちょっとあざとくて鼻につくはず。なのに、そうは感じさせない。それがなんでなんだろうと小一時間考えたけど、うまく...
なんでこの人の本は面白いんだろうか。物語内物語内物語の入れ子の仕掛けあり、偶然が重なることでストーリーはぐいぐい進み、まあ普通に考えれば面白いのだけれど、それだけだったらちょっとあざとくて鼻につくはず。なのに、そうは感じさせない。それがなんでなんだろうと小一時間考えたけど、うまく言葉にできないけど、まあそれが言葉にできないからこそ、俺はいつまでもオースターの本を愛す。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いくつもの登場人物と時代が交錯しながら、現実と映画と思索が交錯しながら、常に一定のトーンに覆われている物語。希望というものが目前に見えるからこそ、深い喪失というものが詳細に描かれている。それでも読んでいて先に進みたくて仕方がなくなるのは、微細な表現によって心がつかまれるから。読後ものすごく悲しい気持ちになったけれど、この本に出会えたことそのものはとても喜ばしい。そんな物語。
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面白い。明るいとは言いがたいトーンに包まれているのにいつの間にか引き込まてしまうのはオースターの文体ならでは。 人物造形よりも、文体でストーリーを作っているように思う。 プロットは言ってしまえば喪失のシークエンスなのだけど、過去と現在を自由に行き来する語りと、場面場面でスピードが...
面白い。明るいとは言いがたいトーンに包まれているのにいつの間にか引き込まてしまうのはオースターの文体ならでは。 人物造形よりも、文体でストーリーを作っているように思う。 プロットは言ってしまえば喪失のシークエンスなのだけど、過去と現在を自由に行き来する語りと、場面場面でスピードが変わるリズミカルな文章が、通俗的なドラマとは感じさせない。 ただ、クライマックスまでの部分が緻密に構成されているだけに、クライマックスの安易な加速が物語を引き離してしまったのが、個人的に残念。 説明不足のキャラクターに頼るとは…
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本書の文庫化で久々にオースター作品を読む。 いつもながらの簡潔で詩的な文体が楽しめる。 特に架空のサイレント映画の描写は見事。 読みながら頭の中で、ワンカット毎の映像が鮮やかに再生される。 (映画好きな人にはたまらないところと思います) ストーリーについてもお得意の展開でグイ...
本書の文庫化で久々にオースター作品を読む。 いつもながらの簡潔で詩的な文体が楽しめる。 特に架空のサイレント映画の描写は見事。 読みながら頭の中で、ワンカット毎の映像が鮮やかに再生される。 (映画好きな人にはたまらないところと思います) ストーリーについてもお得意の展開でグイグイ読ませます。 メタフィクション的な仕組みだったり、 反則ギリギリ・過剰すれすれな偶然性の演出とか。 オースター節が堪能できます。 ただ、個人的には最後の展開がちょっと受け入れづらかった。 (少し救いが無さすぎるな、と)
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一年限りのこと、数十年に及ぶこと、たった数日、数時間のこと 感想を書きたいがネタバレにならない自信がない。 終盤に出てくる劇中劇の写しと思わせられる瞬間もあるが 「ムーンパレス」のような他人の人生を追った挙句 「偶然の音楽」のような展開と思うこともあり しかし・・・
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