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きつねのつき の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

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2013/06/19

北野勇作の中では異色と思ってしまったのは、家族関係の強さなのかもしれない。 今まで読んだ北野勇作作品の中で、ダントツに家族愛が強い作品だと思う。 物語で印象に残る春子ととおの会話。どろどろとしていい加減な世界の構造。それに振り回されながら、すでに歪んでしまったけれども大事なものを...

北野勇作の中では異色と思ってしまったのは、家族関係の強さなのかもしれない。 今まで読んだ北野勇作作品の中で、ダントツに家族愛が強い作品だと思う。 物語で印象に残る春子ととおの会話。どろどろとしていい加減な世界の構造。それに振り回されながら、すでに歪んでしまったけれども大事なものを守ろうとするとおはやっぱり父なのだなと思った。 ラストがこれまでの北野勇作作品の中で一番美しい。

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2013/05/08

-春先に生まれたから春子と名づけた- もうじき三歳になる女の子を見つめる父親の目線で語られる、優しくも壊れた世界。 ?、??・・・読み進めていくうちに頭の中に疑問符が一つずつ増えていく。 ほのぼのとした家族の話からファンタジーかな?・・・ホラー??とその姿はどんどん変わってい...

-春先に生まれたから春子と名づけた- もうじき三歳になる女の子を見つめる父親の目線で語られる、優しくも壊れた世界。 ?、??・・・読み進めていくうちに頭の中に疑問符が一つずつ増えていく。 ほのぼのとした家族の話からファンタジーかな?・・・ホラー??とその姿はどんどん変わっていった。 段々と見えてきたのは、何らかの事故で、街が住人が変ってしまっていること。 もう人とは呼べないものになっていようとも、父は母は子を守り、子どもはどんな姿であろうとも親に安心して身をゆだねることが出来ると言うこと。 優して哀しい家族の物語。

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2012/12/09

とても優しくほんわかした文章で表現された恐怖、グロさ。 逃れる事が出来ない震災=巨人。 東北大震災の後に書かれてるお話。

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2012/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

未曾有の災難に襲われた町に住む、「私」と「妻」と幼子「春子」の家族の哀切極まりない物語。北野版「聖家族の肖像」。 出版されたのは2011年8月だが、3.11以前に書き上げられていた作品であるにもかかわらず、原発事故はもとよりiPS細胞を想起させる その黙示的内容に戦慄を覚えずにはいられない。 主人公の愛娘春子ちゃんの愛らしさが唯一の救い、と言えるかもしれないが、哀しみの中にささやかな希望が見出せるラストに胸を打たれました。

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2012/11/13

ブラック的なオチもあったけど、春子ちゃんがかわいくて仕方なかった。 親の子を愛する心が伝わり、じーんとしたり、ほのぼのした。 心が温かくなる小説を久々に読んだような気がする。 でも、震災後文学です。

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2012/11/08

ぱっ、と読んでいる最中の感覚を言うと、「気持ち悪い」。グロいというより理解できない、生理的に受け付けない、といった感じの気持ち悪さがありました。だからうんうん唸りながら読みきったのですが、後日東日本大震災の直後に書いたものと知って見方が変わりました。なるほど。どうしようもない災害...

ぱっ、と読んでいる最中の感覚を言うと、「気持ち悪い」。グロいというより理解できない、生理的に受け付けない、といった感じの気持ち悪さがありました。だからうんうん唸りながら読みきったのですが、後日東日本大震災の直後に書いたものと知って見方が変わりました。なるほど。どうしようもない災害(巨人)の描写が怖くて、怖くて、それでも最後はあたたかい。救いの物語としての読み方ができれば、ぐっとこみあげてくるものがありました。印象深い。

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2012/09/24

これほど優しいホラーがありましょうか。 きつねのつきを読んでいると、僕たちはどれだけ危ういバランスの上に成り立っている世界に住んでいるか、思い知らされます。 けれど、そこには愛すべき家族や町や景色があって、まだ自分が生きていていいんだと、そう思わせてくれます。 作り物だろうと、見...

これほど優しいホラーがありましょうか。 きつねのつきを読んでいると、僕たちはどれだけ危ういバランスの上に成り立っている世界に住んでいるか、思い知らされます。 けれど、そこには愛すべき家族や町や景色があって、まだ自分が生きていていいんだと、そう思わせてくれます。 作り物だろうと、見せ掛けだろうと、しあわせは作れるのかもしれません。 北野 勇作さんの持ち味が本当に色濃く現れた、素晴らしい作品です。

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2012/05/11

震災と原発事故にインスピレーションを得た異空間の物語。 娘との会話のほのぼのさと、置かれている空間の不条理さのミスマッチさが、ウケル人にはウケルんだろうが、最後まで漠然としたイメージだけで押し通されてはスッキリせず。 【図書館・初読・5/11読了】

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2012/03/21

すごい!好きだ!この作品。 この不条理な世界で、淡々と営まれる父子家庭(母はいるけど)の保育園の送り迎えの日々。 そしてその世界は違うのだけれど、背後に見え隠れする311、F1。 直接的な表現は無いのに感じるこのざわりとした外世界。 現実か幻か自分もわからないが確かなのは保育...

すごい!好きだ!この作品。 この不条理な世界で、淡々と営まれる父子家庭(母はいるけど)の保育園の送り迎えの日々。 そしてその世界は違うのだけれど、背後に見え隠れする311、F1。 直接的な表現は無いのに感じるこのざわりとした外世界。 現実か幻か自分もわからないが確かなのは保育園児春子ちゃんが無邪気で可愛く、日々成長していること。 そして本当は外も内も「ふつう」じゃないこと。 ラストは…残酷なはずなのに美しく映像が残った。

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2012/02/27

設定などいろいろ意味を考えると良く分からなくなりますが、感覚で読み進めるうちに世界観に入って行けます。 主人公である父親(私)と、娘・春子の関係が可愛らしいです。 天井に貼りついたお母さんを想像すると怖いですが、 ラストは切ないながら、愛を感じます。

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