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リトル・ピープルの時代 の商品レビュー

3.8

71件のお客様レビュー

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2011/11/28

ビッグ・ブラザーとリトル・ピープル、ウルトラマンと仮面ライダー。そして、村上春樹。これらを軸に現代を表現するとこうなる!この力強い論理に圧倒された。仮面ライダーのその後の展開を知らなくても、丁寧な解説があるので大丈夫。面白かった。

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2011/11/18

仮面ライダーもウルトラマンも勧善懲悪のお決まりの物語なんだと思い込んで見たこともなかったので、いろいろびっくりすることが多かった。ヒーローものから現代の「正義」について考えるという視点は面白かったけど、もう少し知識があると良かったかな(自分に)。AKBの話はなるほどと思った。 リ...

仮面ライダーもウルトラマンも勧善懲悪のお決まりの物語なんだと思い込んで見たこともなかったので、いろいろびっくりすることが多かった。ヒーローものから現代の「正義」について考えるという視点は面白かったけど、もう少し知識があると良かったかな(自分に)。AKBの話はなるほどと思った。 リトル・ピープルの時代には人は「卵」にも「壁」にも容易になり得るのかもしれない。誰かにとっての卵は、別の誰かにとっての壁になるのかもしれない。読みながらそんなことを考えた。

Posted byブクログ

2011/11/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 村上春樹のエルサレム賞の授賞式での「壁と卵」のスピーチを元に村上春樹論からビッグブラザー=ウルトラマン、リトル・ピープル=仮面ライダーの構造を見出し論じていく。 第一章では村上春樹の小説における構造が語られ新たな発見が新鮮だった。また丁寧な解説によってリーダビリティが確保されている。第一章を読んだ時、本書が批評の『空気さなぎ』を目指してるんじゃないかと思った(実際のところはわからない。しかしこの読みやすさは意図されている事は間違いない) 又、最後の一行の文句にニヤニヤしてしまった。  第二章では、ビッグブラザー=ウルトラマン、リトル・ピープル=仮面ライダーについて書かれており、著者デビュー作である『ゼロ年代の想像力』でも重要な位置付けである平成仮面ライダーの構造分析がなされる。 著者によって展開される平成仮面ライダーのダイナミズムはとても読み応えがある。そして村上春樹が抱える問題点に肉薄していく。  第三章ではこれまでの論を展開させ、ビッグブラザー=ウルトラマンの構造の限界による世界外部の消失、世界の内側、内部についての考察がなされ、〈仮想現実〉=世界外部ではなく、世界内部に潜る事によって見出される『拡張現実』が提示される。  補論では、『ダークナイト』『AKB48』『∀ガンダム』について上記内容に関する考察がなされる。

Posted byブクログ

2011/11/16

様々な作品について構造的に分解されて解説されている。著者の読みの深さには驚嘆する思いである。裏がとれているものもあるが,一方著者の読みというものに対しての深読みしすぎではと疑いを持ってしまうことも否めない。あくまでも客観的にとらえる必要がある。本書で語られる作品にどっぷりと浸かっ...

様々な作品について構造的に分解されて解説されている。著者の読みの深さには驚嘆する思いである。裏がとれているものもあるが,一方著者の読みというものに対しての深読みしすぎではと疑いを持ってしまうことも否めない。あくまでも客観的にとらえる必要がある。本書で語られる作品にどっぷりと浸かっていた世代なので(もちろんこのような深読みは一切行っていないが),とても新鮮であった。分解して,さらにそれを俯瞰してとらえるという一連の動作を著者と進めることで,少し頭がよくなったような気がした。

Posted byブクログ

2011/11/11

村上春樹の世界観・歴史観に興味がある者として読みました。しかし、仮面ライダーも見ていないし、アニメにもAKBにも興味がない。そんな自分にはちょっときつかった。それにしても、仮面ライダーに言及した部分は冗長すぎないか?震災を機に一気に書かれたようですが、もう少し整理したものを読みた...

村上春樹の世界観・歴史観に興味がある者として読みました。しかし、仮面ライダーも見ていないし、アニメにもAKBにも興味がない。そんな自分にはちょっときつかった。それにしても、仮面ライダーに言及した部分は冗長すぎないか?震災を機に一気に書かれたようですが、もう少し整理したものを読みたかったです。でも、他の著作を読んでみたい気になりました。

Posted byブクログ

2011/10/27

目次を見れば一目瞭然であるが、村上春樹と、ヒーローのことと、東日本大震災のことが、大きな3本柱である。 村上春樹の作品は、新刊が出れば気になって多分8割くらいは読んでると思うし、好きか嫌いかと二者択一を迫られれば好きということになるんだと思うし、もちろん現代文学におけるその大き...

目次を見れば一目瞭然であるが、村上春樹と、ヒーローのことと、東日本大震災のことが、大きな3本柱である。 村上春樹の作品は、新刊が出れば気になって多分8割くらいは読んでると思うし、好きか嫌いかと二者択一を迫られれば好きということになるんだと思うし、もちろん現代文学におけるその大きさについて否定するつもりは全くないのだけれど、どこかにひっかかりを覚えていたんである。 だから、そのひっかかりとは何なのか、を、考えながら読むことになった。 村上春樹についての考察の中で、「現代的なコミットメントのコストを母=娘的な女性に転嫁するという性暴力的な構造」つまり「ある種のレイプ・ファンタジィ性」に支えられている、という箇所で、ハタと、そうかそれかな、と思い至った。 きちんと分析できはしないのだけれど、抱き続けてきた違和感は、「なんか男の主人公が得してる小説だな」という感じだったかもしれない。 だから、なんで(その割に)こんなに女性ファンがいるのかな、という違和感だったのかも。 (これは明確な答えではないので、これからも村上春樹の作品を読みながら、ひっかかって考えていくしかないんだけれど) しかしこれは結局のところ、「父」「父なるもの」論である(だよね?)。 論なので、好きも嫌いもない。フムフムなるほどね、そういう考えなわけね、それもアリだよね、と頷いたり、うまく頭の中で整理されなければ、なんだかスッキリしないまま唸ってみたりするだけである。 しかし関係ないけど、最早「サブカルチャー」というのは死語かもしれないなあ。サブじゃないもん、リッパに「センター」張ってるもんなあ。

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2011/10/23

 本書は2011.3.11東日本大震災・福島第一原発事故以降の日本の思想状況について、大震災以前の日本の思想状況の変遷と以後の変化の断絶を踏まえて精緻に分析がされている本である。  特に「ビッグ・ブラザー」なる時間・空間にわたり人々に共有されていた価値観が戦後へと進むにつれて社会...

 本書は2011.3.11東日本大震災・福島第一原発事故以降の日本の思想状況について、大震災以前の日本の思想状況の変遷と以後の変化の断絶を踏まえて精緻に分析がされている本である。  特に「ビッグ・ブラザー」なる時間・空間にわたり人々に共有されていた価値観が戦後へと進むにつれて社会変化に伴い喪失し、完全に消滅するに至るまでの過程と、「ビッグ・ブラザー」の喪失の先に各々の価値観や格率を優先する「リトル・ピープル」が思想空間を席巻する状況を抉り出す。  著者は「ビッグ・ブラザー」の喪失に最も敏感だった作家として村上春樹を挙げ、氏の作品を文学批評しながらその喪失への処方箋を模索する動きを追う。しかし村上はその処方箋を提示するまでには至っておらず、「ビッグ・ブラザー」の喪失の負の側面を他者へ犠牲にさせることにより代替補償する戦略に進んでしまうと指摘する。  そこで、「リトル・ピープル」の世界を生きる上で最も処方箋とすべき価値観として、「平成仮面ライダー」の存在を提示する。  著者は「平成仮面ライダーシリーズ」の批評を「ウルトラマンシリーズ」との対比で語る。「ウルトラマン」は「ビッグ・ブラザー」、「平成仮面ライダー」は「リトル・ピープル」の世界の表現型として。  特に「仮面ライダー龍騎」の仮面ライダー王蛇や、「仮面ライダー555」の完全体になれないオルフェノクに、現実を見つめ、現実にある価値観や世界などを多重化して生きること(「リトル・ピープル」の世界の生き方)が現在の日本の思想空間の特徴でもあり処方箋のヒントでもあるとして強調する。つまり、提示されたプロットを受け手側が何重にもそのプロットの意味や価値観を増殖・増幅し新たな価値観を生み出すことは、もはやインターネットやツイッターなどが発達した現代社会ではひときわ重要な概念構造と化している。  時代だけでなく震災・原発事故によっても場所的に思想や価値観が断絶してしまった「今」を、本書は見事なまでにまとめあげている。ウルトラマン論、仮面ライダー論としても十分な内容。

Posted byブクログ

2011/10/18

思想書といってしまえばそれまでだけど、社会論と比較した村上春樹論、仮面ライダー論は、面白い視点であり、納得の理論だと思う。そして、コンテンツの深さたるものを再認識。

Posted byブクログ

2011/10/15

第一章の村上春樹の作品についての考察部分はそれなりに面白かった。 第二章以降、う~ん、なんか入り込めなかったなあ。 ヒーローものや漫画、アニメとか、ほとんど興味持てないものが主たる題材だったからかな。 父と息子云々という同じ話を延々としてるなあと思ったら、何のことはない、あとが...

第一章の村上春樹の作品についての考察部分はそれなりに面白かった。 第二章以降、う~ん、なんか入り込めなかったなあ。 ヒーローものや漫画、アニメとか、ほとんど興味持てないものが主たる題材だったからかな。 父と息子云々という同じ話を延々としてるなあと思ったら、何のことはない、あとがきを読めば、結局著者が自分の父を越える、という成長のステップが踏めてなかったことの代替行為だったってことじゃん。筆名も父親の名前だっていうし。なあんだ。 まあ、そうはいってもおもしろいところを突いているんだろうな、とは思うが、なんとなくこじつけくささがどうしても気になり、読んでて疲れた。

Posted byブクログ

2011/10/14

1984年のビッグブラザーを始め現代のリトルピープルなど、ウルトラマンや仮面ライダーを用いての説明は非常にわかりやすかった

Posted byブクログ