夏草のフーガ の商品レビュー
またも家族の絆(というか繋がり)が核にある話だった。 震災後の小説は初めて読んだ。 表紙に描かれているヒンメリと、信仰等がキィワード。 別居中の両親のうち、母親と暮らす夏草は、祖父を亡くした数ヶ月後、部屋で倒れていた祖母を見つける。命に別状はなかったものの、祖母はなんと、中一...
またも家族の絆(というか繋がり)が核にある話だった。 震災後の小説は初めて読んだ。 表紙に描かれているヒンメリと、信仰等がキィワード。 別居中の両親のうち、母親と暮らす夏草は、祖父を亡くした数ヶ月後、部屋で倒れていた祖母を見つける。命に別状はなかったものの、祖母はなんと、中一以降の記憶体験を忘れてしまっていた。 ある事件で入ったばかりの中学校を不登校中の夏草は、祖母・夕子と過ごすうちに、祖母の過去を知っていくことになる。 自分で決めたことが自分の人生を作る。当然のことだが、これを強く意識したまま生きるのはなかなか難しい。
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震災の話、クリスチャンの話、いじめの話、親と子の話、いろいろ詰まってて、でもそれらが一本のきちんとした話になってて、どう他人に伝えていいのか難しい物語。 震災後の物語ということが前面にでそうだけど、そこは意外と重要でもない気がする。
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なぜおばあちゃんが中1になってしまったのかというところが必然性に乏しいような感じがする.何のきっかけもなくすぐに元に戻るし.おばあちゃんの昔の出来事、夏草自身のいじめの問題.両親の問題などがあり焦点がぼやけている.
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祖母、母、私、三世代にわたる思いをヒンメリが繋ぐ。祖母の中学一年の時に何があったのか?キリスト教というより「神を信じるか」ということが問題になっている。最後にヒンメリを祈りとしたのは美しい。
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震災があった後の、今の東京の話。7月に刊行された時はちょっとまだ時期尚早に思えてしまって、一歩引いてしまったけど、11月の今、そろそろ良いかな、て。そんな気持ちになるのが複雑でもあり。物語としては、祖母の突然の中学生返り、両親の不仲、いじめ、などとても刺激の強い題材なのに全体に漂...
震災があった後の、今の東京の話。7月に刊行された時はちょっとまだ時期尚早に思えてしまって、一歩引いてしまったけど、11月の今、そろそろ良いかな、て。そんな気持ちになるのが複雑でもあり。物語としては、祖母の突然の中学生返り、両親の不仲、いじめ、などとても刺激の強い題材なのに全体に漂う静謐さはさすが。後半は泣きっぱなしに…。おばあちゃんの「被災地の映像を見ていると、終戦の時を思い出してね、なんだか苦しくてたまらなかった」というセリフに胸が痛くなりました。私は神戸に生まれ育ち思春期に地震があったんだけど、うちの祖母もしばらく、地震と空襲を無意識に間違えて話してたから。
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様々なテーマが詰まっていてちょっとごちゃごちゃうやなあと思いつつも目頭が熱くなったのは事実。 色々と考えさせられました。 特に、信仰や祈ることについて。
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+++ 母親とふたりで暮らす夏草は、祖母と同じ私立中学に通うことが憧れだった。願いはかない合格したものの、喜んでくれるはずの祖母は突然倒れ、目を覚ますと、自分を中学一年生だと言い張るようになる。一方、クラス内の事件をきっかけに学校を休みがちになった夏草は、中学生になりきった祖母と...
+++ 母親とふたりで暮らす夏草は、祖母と同じ私立中学に通うことが憧れだった。願いはかない合格したものの、喜んでくれるはずの祖母は突然倒れ、目を覚ますと、自分を中学一年生だと言い張るようになる。一方、クラス内の事件をきっかけに学校を休みがちになった夏草は、中学生になりきった祖母と過ごす時間が増え、ふと、祖母が以前、口にした「わたしは罪をおかした」という言葉を思い出す。いつもやさしかった祖母の罪とはなんだったのか…?互いのなかに見知らぬ闇を見たあと、家族は再び信じ合えるのか?注目作家の書き下ろし感動長編ミステリー。 +++ おばあちゃんとお母さんと中学一年の女の子・夏草。三世代のつながりが時間軸を超えてあたたかく新鮮である。おばあちゃんもお母さんも、そして夏草にとっても、中学一年は特別な時だったのだ。おばあちゃんの心が中学一年に戻ってしまい、夏草も母もいままで見えなかったことについてさまざま考えるようになる。大切な人のことを知りたいという切実な思いが、ヒンメリというライ麦の麦わらで作るフィンランドの手仕事をおばあちゃんがはじめたきっかけに辿りつかせたのだった。信仰や愛、おもいやり、家族、さまざまなことを想わされる。切なく苦しく、思いやりに満ちてあたたかい一冊である。
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今年、中学一年生になった女の子夏草ちゃんと、家族の物語。 震災、入学、祖父の死、イジメ、信仰。ごった煮の様相ですが、あの震災が与えた波紋を見た初めての物語です。もう、こんな所にも。 物語の中心を貫くヒンメリ。フィンランド工芸品の麦で作ったモールだとうです。神秘的な美しさなんでし...
今年、中学一年生になった女の子夏草ちゃんと、家族の物語。 震災、入学、祖父の死、イジメ、信仰。ごった煮の様相ですが、あの震災が与えた波紋を見た初めての物語です。もう、こんな所にも。 物語の中心を貫くヒンメリ。フィンランド工芸品の麦で作ったモールだとうです。神秘的な美しさなんでしょうね。おばあちゃんがつくったヒンメリを見たいものです。
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この作品は、今年(2011年)3月の東日本大震災を物語のモチーフに取り入れている。こういった作品が早くも登場していることに少し驚いた。 夏草(なつくさ)とは中学一年の主人公の名前、中学へ入学したばかりの一人の娘の目を通して、学校でのいじめや家族のあり方、そして生きること、さらに...
この作品は、今年(2011年)3月の東日本大震災を物語のモチーフに取り入れている。こういった作品が早くも登場していることに少し驚いた。 夏草(なつくさ)とは中学一年の主人公の名前、中学へ入学したばかりの一人の娘の目を通して、学校でのいじめや家族のあり方、そして生きること、さらには神は存在するのかというテーマまでを取り扱ったヤング・アダルト向けの長編だ。 祖母から母へ、そしてその娘へと代々伝わってい生命の不思議を、美しく神秘的な「ヒンメリ」(フィンランド特有の芸術工芸品・モビール)が象徴していく。繰り返し登場する聖書の一節が、「人、その日々は草のよう、 その盛りは、野の花のよう。」その言葉が通奏低音のように、この物語全体を下支えしている。
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キーワードは「中1」。祖母も母も、そして主人公も。 中1の主人公のひと言は、クラス内で波紋を呼ぶことになり、それは無視やメールでの嘲笑などの「イジメ」へと広がっていく。 そして祖母が倒れ、主人公と同じ中学1年だと言い張るようになる。 祖母が歩んできた道のり、思いを探るうちに、彼女...
キーワードは「中1」。祖母も母も、そして主人公も。 中1の主人公のひと言は、クラス内で波紋を呼ぶことになり、それは無視やメールでの嘲笑などの「イジメ」へと広がっていく。 そして祖母が倒れ、主人公と同じ中学1年だと言い張るようになる。 祖母が歩んできた道のり、思いを探るうちに、彼女の秘めていた信仰心を知ることになる。 自分の思うとおりに生きることができなかったけれど、それも一つの選択肢だった… 東日本大震災があったことについても触れられています。
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