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楡家の人びと(第一部) の商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

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2023/08/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

濃いぜ。出てくる人たち、濃いぜ。 楡基一郎をはじめとする楡家の年代記とも呼べるもの。 だけれどもこの病院、どうも様子がおかしいのよ。 どう頑張ってもこの病院…詐欺でね? ちなみに1名だけ、その欺瞞に気づいている 節のある人物がいます。 途中で存在が消えてしまいますが きっとそのあとに出てくるものと信じています。 ラストは…

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2023/04/24

楡家とその周囲の慣わしは時代と共に変わりゆくが、伝統にこだわり、あるいは恨み、憂うことも各人によって情態を異にする。互いに共有できない繋がりの薄弱さは、すでに共同体の崩壊を示唆するものであり、あくまでも維持するのは張りぼて化した “しきたり” への意地である。その執念が民族の怖さ...

楡家とその周囲の慣わしは時代と共に変わりゆくが、伝統にこだわり、あるいは恨み、憂うことも各人によって情態を異にする。互いに共有できない繋がりの薄弱さは、すでに共同体の崩壊を示唆するものであり、あくまでも維持するのは張りぼて化した “しきたり” への意地である。その執念が民族の怖さへと通じる。そこにユーモアを加味するところが本作の魅力である。

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2023/02/16

一代で脳病院を築いた楡基一郎とその一族の記録だ。大正、昭和の時代と共に紡がれる楡家の物語。個性豊かな面々のその生き様が活写されている。

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2023/02/01

井上ひさしの大名作『吉里吉里人』にも通ずる大群像劇。 時代のうねりの中で当主・楡基一郎を筆頭に楡家、関係者の人生の盛衰がドラスティックに描かれる。 ユーモアは控え目だが、作品の渦巻のようなパワーに当てられる。

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2022/09/09

登場人物の紹介が延々と続いてなかなか物語が始まらないなーと思っていたら、どうやら様々な登場人物のエピソードを淡々と語っていく中で少しずつ物語は進んでいき、そこに面白さを見いだすタイプの小説なのだなーと気がついた。大正から昭和へ。精神病院の患者さんたちと桃子のエピソードがいきいきと...

登場人物の紹介が延々と続いてなかなか物語が始まらないなーと思っていたら、どうやら様々な登場人物のエピソードを淡々と語っていく中で少しずつ物語は進んでいき、そこに面白さを見いだすタイプの小説なのだなーと気がついた。大正から昭和へ。精神病院の患者さんたちと桃子のエピソードがいきいきとしていて楽しい。

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2021/06/13

時は大正時代。時代の流れのなかで紡がれる楡家の人々の物語。 物語はその中心地である楡病院の院長にして創始者である楡基一郎の一代記でもある。 楡基一郎は立志伝中の人である。大ぼらふきの気質にして、終始、躁状態を思わせるようなハイテンションで行動が変人。当時の時勢に乗って衆議院議員...

時は大正時代。時代の流れのなかで紡がれる楡家の人々の物語。 物語はその中心地である楡病院の院長にして創始者である楡基一郎の一代記でもある。 楡基一郎は立志伝中の人である。大ぼらふきの気質にして、終始、躁状態を思わせるようなハイテンションで行動が変人。当時の時勢に乗って衆議院議員にもなるほどの野心家でもある。 そして、彼を取り巻く家族がまた個性が際立っていてなかなか楽しい。 印象に残る登場人物では、父・基一郎を尊敬して止まず、偉大な父を厳格に崇め奉っている長女の龍子。 ぼんやりしていてどこか抜けているが、おませなところもある三女の桃子。 龍子と桃子に挟まれてどっちつかずの存在である次女・聖子。 長女・龍子の夫にして「マスオさん」として楡病院を継ぐことになっている徹吉。 家族ではないが楡病院の事務長として権力をふるい、鶴のように歩く腰巾着の院代・勝俣秀吉などなど。 この物語の登場人物はどこか何かが変で抜けているか、規律が厳しいあまりやはりどこか変で可笑しみのある人々が次から次と登場してきて、魅力溢れる物語を形作っている。 物語の始終、どことなくユーモラスな旋律が底流にあって、物語全体に深刻さが欠けているところがまたいい。 『マンボウ』シリーズでも全開になっていたが、作者に流れるユーモアのセンスがこの大河な物語に彩りを添えている。 この楡病院の家族はどことなく作者の家族が投射されているように思われ、私は楡基一郎は躁状態の時の作者本人のことかと思っていたら、どうも大ぼらふきだったという祖父がモデルのようですね。(笑) これほどの家族の大河な物語にもかかわらず、出だしはあまり登場しない飯炊きの伊助爺さんの豪快な仕事場面というところが、オペラの序曲にも似てわくわく感を醸し出していい。 特に序盤の病院職員全員を集めての賞与式の場面は、それぞれの個性と病院の雰囲気を端的に伝えてくれていてなかなか楽しかった。 時代は大正が終わり昭和の第二部に引き継がれる。 三島由紀夫が絶賛したという本書。第二部の展開が楽しみな限りです。

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2020/06/05

作家本人のエッセイを読むと和製「ブッデンブローグ家の人々」らしいです。自分の家族をモデルにし執筆のためにインタビューを入念にしたらしいので書かれている内容はかなり事実に基づいているとのこと。物語としても面白いですが、当時の世相等を知る上での上等な資料としても面白い(貴重)です。

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2019/02/14

じつに面白かった。なんといっても登場する人々がそれぞれユニークで行動も面白い。もちろん楽しいことばかりでなく、大変なことも起こるのだが、それを実によく乗り越えている。1部だけdも終わりそうなものを、これがどう続いていくのか、今から楽しみだ。

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2016/08/27

何十年も前に書かれた作品だけど、一切色褪せていないのがまず凄い。明治以降の近現代に起こった重大事件を縦軸に、その中を生き抜いた楡家の人々の上に起こるイベントを横軸に、飽きさせないように緩急つけた物語が紡がれる。一家の大黒柱の一代記なのかなと思いきや、上巻の最後で呆気なく退場。中心...

何十年も前に書かれた作品だけど、一切色褪せていないのがまず凄い。明治以降の近現代に起こった重大事件を縦軸に、その中を生き抜いた楡家の人々の上に起こるイベントを横軸に、飽きさせないように緩急つけた物語が紡がれる。一家の大黒柱の一代記なのかなと思いきや、上巻の最後で呆気なく退場。中心人物を入れ替えながら、一家の栄枯盛衰が綴られていくんでしょうか。ここからの展開も楽しみです。

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2015/02/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北杜夫がトーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』に触発されて書いた作品。大正時代の精神科病院を舞台に、楡家と関わる人々の個々の生き様が描きだされます。

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