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なぎさホテル の商品レビュー

3.9

35件のお客様レビュー

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2014/10/22

作家・伊集院静が誕生するまでの自伝的小説です。才能豊かな人の周りには、その才能を開花するために必要な、質の良い人達が集まるのが分かりました。 私はこのホテルで大人の男へのさまざまなことを学んだ、人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではないということであ...

作家・伊集院静が誕生するまでの自伝的小説です。才能豊かな人の周りには、その才能を開花するために必要な、質の良い人達が集まるのが分かりました。 私はこのホテルで大人の男へのさまざまなことを学んだ、人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではないということである(P8)。ところが品性は、私に一番欠落したものである。謙遜して言うのではない。自分がこれまでして来たこと、今もしていることを見ればわかる。それでも小説を書こうとしているのだから、どうしようもない(P174)、が印象に残りました。

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2014/10/05

逗子の隣町にすんでいるから、書かれている場所はよく分かり、その分リアリティーがあった。また、そのリアリティーとは作者の主観的幻想であるのも、よく分かった。読んでる間、ずっと波の音と潮騒が聞こえてくるようだった。

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2014/03/20

靄に包まれたようなクラシックなホテルの写真に、疲れた心を癒してくれるファンタジー小説みたいなものを期待して読んでみたら、実は作家の実体験らしい。行き場も仕事も金もないひとを休ませてくれるホテル、なんて、ほんとに甘いファンタジー文学のように聞こえるけど、実際のところ、酒を飲んでは暴...

靄に包まれたようなクラシックなホテルの写真に、疲れた心を癒してくれるファンタジー小説みたいなものを期待して読んでみたら、実は作家の実体験らしい。行き場も仕事も金もないひとを休ませてくれるホテル、なんて、ほんとに甘いファンタジー文学のように聞こえるけど、実際のところ、酒を飲んでは暴力沙汰を起こし、妻子とも別れ借金を抱えた荒んだ青年を、素性もきかず代金もとらずに7年半も住まわせてくれるなんて、嘘くさすぎて小説にもできないような話だ。支配人がなぜ、海のものとも山のものともつかぬ趙(伊集院)青年にそこまでよくしてくれたのかは、最後までわからない。だが、ひとの好意に一方的に甘え続けるしかなかったその年月の中から、作家、伊集院静は生まれたのだった。 ホテル暮らしの思い出に混じって、海で死んだ弟のこと、創作への姿勢や思いが語られる。この作家のものはほとんど読んでないのだが、これを読んで興味が出てきたところ。

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2015/02/04

信用出来る大人はこうして少しずつ形成されていくのだなぁ。移ろっていくものも、変わらないものも等身大で受け止めてこそ、あの存在感! 支配人もすごいよ。

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2013/11/17

 「私はこのホテルで大人の男へのさまざまなことを学んだ。人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではないということである。嵐の海を見せられても必ずいつかホテルの部屋の窓にまぶしい陽射しが差しはじめることだ。」(8ページ)  かつて皇族御用達で、現天皇陛下...

 「私はこのホテルで大人の男へのさまざまなことを学んだ。人生は哀しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではないということである。嵐の海を見せられても必ずいつかホテルの部屋の窓にまぶしい陽射しが差しはじめることだ。」(8ページ)  かつて皇族御用達で、現天皇陛下が皇太子時代昼食で来訪され、著者が七年余の歳月を過ごしたホテルが舞台。 支配人をはじめスタッフたちの著者を包み込むような温かさが伝わってくる。私的な部分が赤裸々と綴られ作家としての原点が垣間見える。  いまでもこの伝説のホテルが存在しているのではないかとさえ思え、とても心が癒される作品だ。

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2013/07/05

とある人の勧めがあって読んでみた。 作者自身の、若者時代のホテル逗留を描くエッセイ。 登場する人々はそれぞれに魅力的だったが、 肝心の作者にはほとんど感情移入ができなかった。 「やんちゃな若者」という人種に親近感を持てないのは、 私自身が自分のそういった部分を抑圧してきたことの裏...

とある人の勧めがあって読んでみた。 作者自身の、若者時代のホテル逗留を描くエッセイ。 登場する人々はそれぞれに魅力的だったが、 肝心の作者にはほとんど感情移入ができなかった。 「やんちゃな若者」という人種に親近感を持てないのは、 私自身が自分のそういった部分を抑圧してきたことの裏返しに思える。 (だからこそ、私にこの本が勧められたのでもあるだろう)

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2013/06/29

一人でも愛読者がいるのだからあわてずがんばりなさい。ゆっくりやっていけばいいのです。 「礼なんか言わないで下さい。それに、あせって仕事なんかしちゃいけません。正直言わせて貰うと、そんなにする必要もないかもしれまんせんよ。私、こうしてあなとお酒が飲めて喜んでるんです」 「あんまり考...

一人でも愛読者がいるのだからあわてずがんばりなさい。ゆっくりやっていけばいいのです。 「礼なんか言わないで下さい。それに、あせって仕事なんかしちゃいけません。正直言わせて貰うと、そんなにする必要もないかもしれまんせんよ。私、こうしてあなとお酒が飲めて喜んでるんです」 「あんまり考えない方がいい。なるようにしかならないものです。無理にそうしなくとも、何かがなる時は、むこうからやって来るもんです。あなたには、その方がいい」

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2013/05/18

伊集院さんは人との縁に恵まれていると思います。素晴らしい人たちに。今はもうそのホテルは無いそうですが。

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2012/09/11

伊集院静とは、何だか不思議な人というイメージがあったが、この本のような生活を7年も出来たということが、その印象をより深めた。故夏目雅子が以前何処かで自分から積極的に結婚したいと言ったというような発言をしていたが、作中彼の周囲の人の彼への接し方を読むと、恐らくそれは本当のことだった...

伊集院静とは、何だか不思議な人というイメージがあったが、この本のような生活を7年も出来たということが、その印象をより深めた。故夏目雅子が以前何処かで自分から積極的に結婚したいと言ったというような発言をしていたが、作中彼の周囲の人の彼への接し方を読むと、恐らくそれは本当のことだったのだろう。7年間も、お金持ちでもないのにホテル暮しを続け、しかも宿泊費が滞りがちだったことが事実とすれば、彼の周りには相当強い磁場とかオーラが発生していたのだろうか。本人にしてみれば、苦悩の年月かもしれないが、選ばれたものにしか許されない強烈な女神が付いているようで、羨ましい。また、近藤政彦の「愚か者」が彼の作詞とは初めて知った。 題名の「なぎさホテル」は村上春樹の「いるかホテル」を連想させられて読んだのだが、元は「夢の中のホテル」らしく、その類似性に私個人としてはますます惹きつけられた。

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2012/08/10

伊集院静は2冊目になる。1冊目の「冬のはなびら」の期待からすると自伝小説なせいか少し物足りなさを感じた。 それにしても、30年近く前の話とはいいながらも7年間ホテル住まいをするも宿代を催促することなく文化人を育てる文化が残っていることをうらやましく思う。ホテルの支配人、従業員、近...

伊集院静は2冊目になる。1冊目の「冬のはなびら」の期待からすると自伝小説なせいか少し物足りなさを感じた。 それにしても、30年近く前の話とはいいながらも7年間ホテル住まいをするも宿代を催促することなく文化人を育てる文化が残っていることをうらやましく思う。ホテルの支配人、従業員、近所の寿司屋夫婦との心温まる人間関係や後に夏目雅子と結ばれたことを考えると伊集院静が持つ人を引きつける徳を持っていたのかと痛感。もう一冊ぐらいは読んでみようかな。

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