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絶対貧困 の商品レビュー

3.9

102件のお客様レビュー

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2017/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平成23年刊行(単行本は21年)。アジア・中東・アフリカの貧困事情を体験的にルポしたもの。スラムなどで生きる人々の日常を暖かい文体で切り取ったものだが、内容はハード。著者の言うように簡単に結論が出ない問題も多い(物乞い、売春、傭兵に行くストリートチルドレンなど)。「赤子を物乞い業のためにレンタルしていた女性が、その赤子に情が移り、レンタル元のマフィアから逃げ出そう」とする話(結局女は殺され、少女は売春宿に売られてしまう)は苦い珈琲を一気飲みした気分。また、売春宿に住まう女性の以下の発言は、複雑な気分。 また、物乞いをさせるべく、障害を負わせたマフィアに対して、被害者たるその障害者が庇う構図は痛ましい。あるいは、HIV感染を知りつつ生きるために売春を繰り返す女性(「私も他に生きていく術がない」「できるだけ感染しないようコンドームを二重にして…もらっている」「着用をいやだと言って殴ってきても土下座して頼んでいる」発言あり)の存在も論評などできない重さを突きつけるのだ。また、傭兵になった元ストリートチルドレンの少年兵は、ここでしか自尊心を回復しないことを赤裸々に語る。読み応え十分の一冊。 「わたしは、娘を絶対に売春婦にさせたくない」「だから…売春婦になって働いている」「そうすればご飯も食べさせてあげられるし…学校に通わせてあげられる」「娘が大きくなれば…私を軽蔑する…けどそうなってくれれば、彼女は売春婦になることはなくなるはず」。六年後、その娘はペラペラの英語を話し、他のスラム在住民が行かない高校に進学していた。これに対する著者の見解も秀逸で、このようなルポをまとめた著者に感服する。

Posted byブクログ

2016/12/30

内容はともかく、このような本を実体験に基づいて上梓できたことはすごい。よく生存してきたな、と思ったり。 今いる場所で命の危険にさらされていないのならば、その場所に感謝しながら精いっぱい楽しむ、というのもありかな、と思ったり。 払ってもいい金額:1000円

Posted byブクログ

2016/11/28

貧困は悲惨を生む。 インドでは物乞いビジネスのために赤ん坊がレンタルされ、成長してくると、目をつぶし足を切断し物乞いをさせる。 お金のためにそこまでする。 しかし、目をつぶされた子は逃げることができない。 ゆえにマフィアに飼われながら、生きるしかない。 そのうちに、目をつぶされた...

貧困は悲惨を生む。 インドでは物乞いビジネスのために赤ん坊がレンタルされ、成長してくると、目をつぶし足を切断し物乞いをさせる。 お金のためにそこまでする。 しかし、目をつぶされた子は逃げることができない。 ゆえにマフィアに飼われながら、生きるしかない。 そのうちに、目をつぶされたのは、自分が悪いからだと思いこむようになる。 悲惨としか言いようがない。 それに比べれば、不況だ何だと言ったって、日本は豊かだ。 圧倒的に豊かだ。 街を歩いて、多くの物乞いを見ることはない。ストリートチルドレンと出会うこともない。 日本をいまの日本たらしめた、過去の日本人に感謝。日本という国そのものに感謝。

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2016/10/11

世界には一日1ドル以下で生活している人が12億人(世界人口の約5人に1人)、一日2ドル以下では30億人(約2人に1人)だという。 その多くは発展途上国の人々であることは容易に想像できるが、改めてたった1ドルや2ドルで生活している人々がこれだけいることに驚かされる。 この本は200...

世界には一日1ドル以下で生活している人が12億人(世界人口の約5人に1人)、一日2ドル以下では30億人(約2人に1人)だという。 その多くは発展途上国の人々であることは容易に想像できるが、改めてたった1ドルや2ドルで生活している人々がこれだけいることに驚かされる。 この本は2009年に出版されたものであるが、この現状はほとんど変わっていないであろう。著者が世界のいろいろな国、地域で実際に接し、あるときは一緒に生活をし、取材した生々しい現実、ルポルタージュである。我々が知るこういった貧困の実態や彼らの生活は、報道で取り上げられるある一面でしかないことがよくわかる。辛い、悲しい、かわいそうといった感情もあるがそこに暮らす人々はそこでなんとか生き抜いていかなければならないのである。生きるためには動物のように路上で寝起きも排泄もしなければならなかったり、犯罪行為さえいとわない。ある意味彼らのたくましさを感じさせる。 教育を受ける機会もない人々にとっては、道徳や宗教、倫理といったものも我々の社会とは全く違う。自分が置かれた立場で生き抜くためには他の社会規範は無用ともいえるのだ。 いったい私達は彼らに何をするべきなのか?手を拱いていいのか?著者もいっているが、これに対する唯一絶対の回答はない。私達それぞれが自分の考えで何をするべきか、回答は多様で個人の行動は微々たるものであっても少しでも前進させていかなくてはならない問題であろう。

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2016/09/03

社会の階層を上るどころか、それ以上は下がることのない、いわば絶対零度の最下層を生きる世界の人々。かれらと生活をともにすることでしか得られない体験にもとづいて、本書は書かれています。 現状を訴えるような気概は抑え気味で、文体も講義形式でやさしく書かれています。 瀬谷ルミ子さんの『...

社会の階層を上るどころか、それ以上は下がることのない、いわば絶対零度の最下層を生きる世界の人々。かれらと生活をともにすることでしか得られない体験にもとづいて、本書は書かれています。 現状を訴えるような気概は抑え気味で、文体も講義形式でやさしく書かれています。 瀬谷ルミ子さんの『職業は武装解除』と合わせて、おススメです。

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2016/08/02

普通に生きていては知ることのできない真実を教えてくれます。 彼らが普通に生きていて大変なことは知っていても、それは「大変な人生を生きている」という記号であって、殆どの人がその生について考えてみたことはないんじゃないでしょうか? ただ、少し広く浅くな内容だったので、著者の他の本も...

普通に生きていては知ることのできない真実を教えてくれます。 彼らが普通に生きていて大変なことは知っていても、それは「大変な人生を生きている」という記号であって、殆どの人がその生について考えてみたことはないんじゃないでしょうか? ただ、少し広く浅くな内容だったので、著者の他の本も見てみようと思います。

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2016/02/28

著者のエッセイという感じで、ひとつひとつがあまり深堀りされていなかったので少し物足りなかった。 ただハッとさせられたことは多い。例えば、貧しい人は食べ物に一度熱を通すということ。なぜなら新鮮な食材なんて手に入らず、何日も食いつがなくてはならないから。その点でいうと、生の魚を食べる...

著者のエッセイという感じで、ひとつひとつがあまり深堀りされていなかったので少し物足りなかった。 ただハッとさせられたことは多い。例えば、貧しい人は食べ物に一度熱を通すということ。なぜなら新鮮な食材なんて手に入らず、何日も食いつがなくてはならないから。その点でいうと、生の魚を食べる日本はやっぱり豊かなのかもしれない、と。

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2015/11/08

著者本人が体験した世界の貧困事情について、統計もないがしろにすることなく、非常に読みやすく且つ生々しい文章で書かれている.一気読み可能.

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2015/08/05

 明るい?調子の体験記だが、かなり恐ろしい事実を知る。やはり何も知らなかった。著者のような体験はとてもできない、と思っていたが、意外といけるかもしれんと思えたことが大きな収穫だったかも。こんな強烈な生活をしている人々がいるのだが、そこにも何気なくなじんでしまいそうな気が、読後少し...

 明るい?調子の体験記だが、かなり恐ろしい事実を知る。やはり何も知らなかった。著者のような体験はとてもできない、と思っていたが、意外といけるかもしれんと思えたことが大きな収穫だったかも。こんな強烈な生活をしている人々がいるのだが、そこにも何気なくなじんでしまいそうな気が、読後少しした。なぜか不明だが。

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2015/07/25

世界の貧民街を実際に歩き、時に共に生活し実体を目の当たりにした筆者のルポタージュ。ルポタージュというか、筆者の接した貧民、といった感じ。一人一人とじっくり向き合うのではなく、さらっといくつかのエピソードを軽い分析を交えて語られる。うーん、世界のどこかにある貧困というイメージから否...

世界の貧民街を実際に歩き、時に共に生活し実体を目の当たりにした筆者のルポタージュ。ルポタージュというか、筆者の接した貧民、といった感じ。一人一人とじっくり向き合うのではなく、さらっといくつかのエピソードを軽い分析を交えて語られる。うーん、世界のどこかにある貧困というイメージから否めない。世界が遠い。あくまで筆者はお客さんであり、特に男性であるため売春婦の心情が全く語られない。表層だけ。「貧しい中でも必死に笑顔で生きる子供」というマスコミによくクローズアップされる姿は、それが求心力を持っているからなのだと分かった。

Posted byブクログ