エロス的人間論 フロイトを超えるもの の商品レビュー

小此木啓吾(著者)

2017/12/23

フロイトは、「性的」という概念を「性器的」という概念よりも広いものとしてとらえなおし、その発達のプロセスを解明しました。本書は、こうしたフロイトの試みを概観するとともに、なお一方交通であるようなエネルギー論的モデルに基づいて性欲論を展開したフロイトの限界を超えて、エロス的なコミュニケーションの可能性を切り開くことがめざされています。

その際に著者は、ライヒやフロム、マルクーゼといった、フロイト以後の精神分析の展開のなかでこうした問題が追及されてきたことに触れ、その可能性とともに問題点を明らかにしています。