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さよなら、愛しい人 の商品レビュー

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69件のお客様レビュー

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2019/05/25

村上春樹訳のハードボイルドミステリであるフィリップ・マーロウものの2作目。旧訳のほうは荒々しく削り出した巌を撫でて温度を感じるようのな無駄のない文体だが、今作の新訳のほうは、岩の成分を一つ一つ手で探ってフィリップ・マーロウというキャラクターを浮かび上がらせるような作りになっている...

村上春樹訳のハードボイルドミステリであるフィリップ・マーロウものの2作目。旧訳のほうは荒々しく削り出した巌を撫でて温度を感じるようのな無駄のない文体だが、今作の新訳のほうは、岩の成分を一つ一つ手で探ってフィリップ・マーロウというキャラクターを浮かび上がらせるような作りになっている。ハードボイルド、という単語から連想するような気取った感じはなく「こういう生き方しかできない」どこまでも不器用でたった一つの美学のみで突き進んでいくマーロウには男として憧れるものを感じる。事件の流れから最後で明かされた真相の読後感もさることながら、マーロウの身に起こる一つ一つの出来事に対してのレスポンスが一番の魅力だろう。ヒーローでもアンチヒーローでもなく、無力で繊細だが、その不屈の美学と飾らなさには凄く共感を覚える。ある種の損な生き方というのは、時に得がたいものなのだ。

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2018/08/04

仕事で訪れた酒場で事件に巻き込まれ、これをきっかけに、様々な人々の思惑の繋がりの中に絡め取られていく。主人公はその中を緩急つけながらもがき進んでいくことになります。いったい俺は何を探しているんだろうという疑問を持つ暇もないままに。 行間にある登場人物から発せられるサインと、同じく...

仕事で訪れた酒場で事件に巻き込まれ、これをきっかけに、様々な人々の思惑の繋がりの中に絡め取られていく。主人公はその中を緩急つけながらもがき進んでいくことになります。いったい俺は何を探しているんだろうという疑問を持つ暇もないままに。 行間にある登場人物から発せられるサインと、同じく行間にある主人公の直感とが、事件の真相に向かって読者を進ませてくれます。説明できないけれども分かる必然性が、読者を虜にするのではないかと思います。それだけ登場人物が魅力的に生き生きと描かれていて、目の前で映画を見ているかのようにはっきりと場面が浮かび、感動します。魅力的なセリフの数々。読後にこの世界の余韻に浸るひと時に幸せを感じます。

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2018/06/23

後書きにも書いてありましたが、登場人物が個性的で大いなる眠りよりも印象に残るキャラクターが多かったです。

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2018/06/10

Farewell, My Lovely / 『さよなら、愛しい人』 初めてレイモンド・チャンドラーの作品を読了した。細部に至る描写は臨場感にあふれ、飽きることなく読み進めることが出来た。 私生活で、とても大切に思っている方が遠くに行ってしまうことが分かり、タイトルに惹かれてこ...

Farewell, My Lovely / 『さよなら、愛しい人』 初めてレイモンド・チャンドラーの作品を読了した。細部に至る描写は臨場感にあふれ、飽きることなく読み進めることが出来た。 私生活で、とても大切に思っている方が遠くに行ってしまうことが分かり、タイトルに惹かれてこの本を読もうという気になった。この本と出会ったタイミングのせいで個人的に忘れられない本になりそうである。

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2017/08/10

時間おいてまた読みたい。 好きな登場人物順 マーロウ/アン・リオーダン> ムース・マロイ/グレイル夫人> ランドール警部補>他

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2017/01/11

切ない。この切なく寂しい、それでいて暗くない読後感がチャンドラーの魅力だと思う。あまりにも漠然とした感想だけれど。

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2016/12/29

登場人物たちの交わす皮肉たっぷりの会話についていくのが大変。でも、海外小説を読む醍醐味はこういうことなのかもしれない。

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2016/07/14

チャンドラー作品、二作目(村上春樹訳)。訳者自身がかなり影響を受けているためか、“ハルキっぽさ”というのは“チャンドラーっぽさ”と同一のものなんだなぁ、と読んでてずっと思いました。これは内容を愉しむものではなく雰囲気、またはマーロウという人物の言動、行動、仕草などを愉しむもののよ...

チャンドラー作品、二作目(村上春樹訳)。訳者自身がかなり影響を受けているためか、“ハルキっぽさ”というのは“チャンドラーっぽさ”と同一のものなんだなぁ、と読んでてずっと思いました。これは内容を愉しむものではなく雰囲気、またはマーロウという人物の言動、行動、仕草などを愉しむもののようだ。この点もハルキ作品と同じである。

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2016/01/11

レイモンド・チャンドラーが1940年に発表した第2作目の長編。 原作は、長く清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』(1956年刊行)で親しまれてきたが、本作品は2009年に村上春樹が新訳で発表(単行本。2011年に文庫化)したものである。(邦題は清水訳が優れていると思うが) 本作品が発...

レイモンド・チャンドラーが1940年に発表した第2作目の長編。 原作は、長く清水俊二訳の『さらば愛しき女よ』(1956年刊行)で親しまれてきたが、本作品は2009年に村上春樹が新訳で発表(単行本。2011年に文庫化)したものである。(邦題は清水訳が優れていると思うが) 本作品が発表後70年を経ても新たな支持を失わないのは、ストーリーの展開の妙よりも、主人公フィリップ・マーロウの、クールで、ウィットに富んでいて、少しシニカルな語りと、見かけによらないタフガイ振りに魅せられる読者が多いからなのであろう。 ロングセラー・シリーズ物においては、たいてい魅力ある主人公が登場するものだが、チャンドラーが作ったマーロウはその代表と言えるだろう。 あるホテルに聞き込みに行ったマーロウが、情報を得るために切り出す場面~「好きな方を選んでくれ・・・聖書を一章読んであげてもいいし、酒をいっぱいおごってもいい。どっちがいいね?」 事件を解決した後、アン・リオーダン嬢がマーロウに語る場面~「あなたって大したものよね・・・どこまでも勇敢で、強情で、ほんの僅かな報酬のために身を粉にして働く。みんながよってたかってあなたの頭をぶちのめし、首を絞め、顎に一発食らわせ、身体を麻薬漬けにする。それでもあなたはボールを離すことなく前に前にと敵陣を攻め立て、最後には相手が根負けしてしまう。どうしてそんなことができるのかしら」 村上春樹をして、「チャンドラーの小説のある人生と、チャンドラーの小説のない人生とでは、確実にいろんなものごとが変わってくるはずだ。そう思いませんか?」と言わしめる、チャンドラーの代表作である。 (2013年5月了)

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2014/07/21

チャンドラー長編7作目最後はこれ。いやあ、よかった。ロンググッドバイには及ばないけど、他の作品よりもストーリーも入り組んでいないし、それぞれのシーンごとマーロウの動きや言動がとっても印象的でかっこよくて入り込んでしまう。ヘラ鹿マロイや霊媒師アムスリー、ギャングのブルーネットをはじ...

チャンドラー長編7作目最後はこれ。いやあ、よかった。ロンググッドバイには及ばないけど、他の作品よりもストーリーも入り組んでいないし、それぞれのシーンごとマーロウの動きや言動がとっても印象的でかっこよくて入り込んでしまう。ヘラ鹿マロイや霊媒師アムスリー、ギャングのブルーネットをはじめ出てくるキャラクターも皆個性的だし、個人的にアンがとっても可愛げがあって好きなんだけど、マーロウは違うみたいだね。「男であることというのは、時々とてもきついことがある」と酒を片手につぶやいてみたいね。

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