還るべき場所 の商品レビュー
読み応えがあった。文庫だけど600ページ超え。 さまざまな困難を切り抜けて行くところは、一気に読みたくなる。 登場人物の思いも良く描かれている。 登山用語で理解できないものが何点かあった。
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今まで読んだ山岳小説は四半世紀以上前の時代をテーマにした新田次郎氏のものばかりだったので、近代登山をテーマにした内容は新鮮でした。 (マンガなら「岳」全巻読んでいますがw) 登山の経験や知識は全くないのですが、登山の世界でも道具や技術の進歩ってきっとものすごく大きなものがあるん...
今まで読んだ山岳小説は四半世紀以上前の時代をテーマにした新田次郎氏のものばかりだったので、近代登山をテーマにした内容は新鮮でした。 (マンガなら「岳」全巻読んでいますがw) 登山の経験や知識は全くないのですが、登山の世界でも道具や技術の進歩ってきっとものすごく大きなものがあるんでしょうね。 しかしそのせいか登山の道具や技術の専門用語でわからないところも多く???と思いながら読んでいました。 ストーリーはとてもわかりやすく、人物設定も勧善懲悪とまでは言いませんが、敵味方がはっきりしている感じ。 また物語の中でかなり大きなウエイトが置かれている登場人物である「企業家・神津」が人としてあまりにも完璧すぎて不自然に感じたかな。 しかし、主人公が恋人を失うところからストーリーが始まる一方で最後はハッピーエンドといっていい終わり方で、手に汗握りつつすっきりと読み終えることができました。 山を舞台にした壮大な情景からも映画化とかに向いていそうです。
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読むものが無くなって家にあった本を手にとってみればヒマラヤを舞台にした山岳小説でした。エベレストばかりがすごいと持て囃される日本の偏った見方とか、公募登山(ガイドロープを設置して酸素を吸いながらガイドを付けて一般の登山者に登らせるビジネス、そんなのがあるんですね。フィクションかも...
読むものが無くなって家にあった本を手にとってみればヒマラヤを舞台にした山岳小説でした。エベレストばかりがすごいと持て囃される日本の偏った見方とか、公募登山(ガイドロープを設置して酸素を吸いながらガイドを付けて一般の登山者に登らせるビジネス、そんなのがあるんですね。フィクションかもしれないけど)の功罪とかにも触れながら、テーマは生きがいとか人生(命というか生きていくこと)のままならなさとか、そんなようなことが男のロマン的に描かれています。自分ひとりでさえ生還は厳しいという極限状態で周りの人間の技量と心根を信じ全員助かるためのギリギリの努力と挑戦をする、ひとつアクシデントが起き自然と仲間の状況を読み誤ればもはや、、、というときに絶望を遠ざけひたすらに近い目標を立て出来ることをしようという姿勢はリッパ。実情を知らないのでこの設定はそんなに不自然なことではないのかもしれませんが、個人的には3人組の出身をアルゼンチンに、メーカーをスペインにしたのは何故なのか?たまたまなのかそれとも何か作者に意図というか理由付けがあったのか?というストーリーとは関係のないことが読んでいるときからずっと気になりました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この作品の読後感を的確に言い表すことはできそうにない。身体ごと魂ごと持ってかれたような気持ち…言ってみたけどやっぱり違うような?とにかく読んでよかった。上手く紹介することができないので登場人物のセリフを引用するに留めたいと思う。 『人間は夢を食って生きる動物だ。夢を見る力を失った人生は地獄だ。夢はこの世の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる。そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だとわたしは思っている。』 神津邦正:心臓にペースメーカーを埋めながらも還暦を過ぎてから登山に魅せられたカリスマ経営者 『お金では買えない貴重なものをこの世界に残しておくのも、僕達に課せられた義務ではないでしょうか。それがなくなったら人は夢を見る機会を永遠に失います。K2の頂はそういうものの一つであるべきだと思うんです。』 矢代翔平:本編の主人公、最愛のパートナーをK2東壁登頂寸前の事故で失う 『山が人を惹きつける理由については、わたしなりに考えたことがあります。しかし答えは得られませんでした。『山がそこにあるから』というマロリーの言葉は、たぶんその答えではなく、それが回答不能な問いであることを示したにすぎないものです。それは言葉ではなく、生きることによってしか表現できないなにかなんです。』 竹原充明:神津の私設秘書であり山におけるパートナー、かつてK2の南南東リブで雪崩によりパーティーの仲間4人を失う
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山岳小説の傑作。事件は起きないけれど事故は起きる。それでいてある伏線が見事に生かされていて関心させられます。 作者の冒険小説は「心意気に応える」というところがあって感動させられますが、ここでもその期待を裏切らず、気持ちの良い読後感をもたらしてもらえます。 600頁と大部ですが...
山岳小説の傑作。事件は起きないけれど事故は起きる。それでいてある伏線が見事に生かされていて関心させられます。 作者の冒険小説は「心意気に応える」というところがあって感動させられますが、ここでもその期待を裏切らず、気持ちの良い読後感をもたらしてもらえます。 600頁と大部ですが長さを感じません。
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山に登っている時には街を題材とした小説が読みたくなり、 街に居る時には山を題材とした小説を読みたくなる。 不思議なもんだなといつもそう思います。 今回手にした小説は自分自身は絶対にいけない場所だと思いながらも、 胸をときめかせながら、感動しながら読んだ素晴らしい山岳小説でした。...
山に登っている時には街を題材とした小説が読みたくなり、 街に居る時には山を題材とした小説を読みたくなる。 不思議なもんだなといつもそう思います。 今回手にした小説は自分自身は絶対にいけない場所だと思いながらも、 胸をときめかせながら、感動しながら読んだ素晴らしい山岳小説でした。 今日ご紹介するのは笹本稜平さんの「還るべき場所」という一冊。 笹本稜平さんの本は以前「天空の回廊」をご紹介させていただきましたが、 今回の一冊はそれ以上の感動を覚える素晴らしい山岳小説だと思います。 世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。 未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。 事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、 アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。 パーティーに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。 (文庫本背表紙からの参照) 物語の舞台K2は中国とパキスタンの境に横たわるカラコラム山脈にある山。 標高はエベレストに次ぐ世界第2位の標高8,611mですが、 麓までのアプローチが非常に長いためエベレストよりも登頂の難しい山だと言われています。 この物語が素晴らしいのは登山以外の要素がふんだんに入っていること。 登山に関する描写が素晴らしいのはもとより、 主人公に関わる周辺の人物たちの生き方が物語の幅を大きい物にしているような気がします。 主人公の翔平とともに若い頃から山に登り、 今は公募登山の会社を営んでいる亮太。 いつもマイペースながらしっかりと芯の通った父親。 ペースメーカーの会社を一代で世界有数の規模まで育て、 自らエベレストや世界の高峰に挑む社長の神津と秘書の竹原。 そういった登場人物たちの物語も平行して描かれていて、 主脈の物語をより一層豊かにする効果をあげています。 そして物語の中心となるのは、 翔平と一緒にK2の頂上を狙いながら滑落した聖美とのこと。 物語が終盤に向かうに連れて意外な方向に進んで行きます。 登山のことだけではなく様々な謎解きや人間模様が描かれたこの小説。 山に登る人にも登らない人にもぜひ読んで欲しい一冊。 お薦めです!
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時代が変われば、山岳小説も変わる。現在では、素人登山家が8000m峰の頂に立つことは、必ずしも不可能ではない。エベレスト、チョー・オユー、ブロードピークといった、そんなに難しくない8000m峰では、素人登山家の夢を叶えてくれる公募登山が行われている。この小説の舞台は、そんな公募登...
時代が変われば、山岳小説も変わる。現在では、素人登山家が8000m峰の頂に立つことは、必ずしも不可能ではない。エベレスト、チョー・オユー、ブロードピークといった、そんなに難しくない8000m峰では、素人登山家の夢を叶えてくれる公募登山が行われている。この小説の舞台は、そんな公募登山隊である。でも、主人公である翔平の還るべき場所は──世界で最も困難な山、地球上でいちばん大きなとんがり帽子、K2だ。 公募登山の様子が実にリアルに描かれていて、非常に参考になる。これはもちろんフィクションであるけれども、山頂に至るルートは本物であろう。著者がどのようにして、これだけの情報を収集したのかが知りたい。それから、還暦を過ぎてから山登りを始めた野心的な実業家、神津の台詞が深い。昔も今も、8000m峰の頂に立つことは、人生を賭ける価値のあることなのだ。私も、K2とは言わないまでも、いつかエベレストの頂に立ってみたいものだと思う。でも、その前にまだ、登るべき山がたくさんあるなぁ。
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登山家の自伝ではないので、変な偏りも無いし、サクッと読める。 チャレンジし続ける姿を描くのは、登山小説ではよくあるパターンではあるけど、高齢になってからというのは新しい。 でも2回は読まない
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人が最も大切なもの、最愛の人を失い、絶望の淵から甦っていく。 生きる意味とは? 生とは?死とは? 最も心に残った登場人物の言葉→「どんな目標への挑戦でも、いや人生そのものに対しても、絶望というピリオドを打つのは簡単なことだ。しかしそれは闘い抜いての敗北とは意味が違う。絶望は闘...
人が最も大切なもの、最愛の人を失い、絶望の淵から甦っていく。 生きる意味とは? 生とは?死とは? 最も心に残った登場人物の言葉→「どんな目標への挑戦でも、いや人生そのものに対しても、絶望というピリオドを打つのは簡単なことだ。しかしそれは闘い抜いての敗北とは意味が違う。絶望は闘いからの逃避だよ。あるいは魂の自殺行為だ」 重い言葉です。 日頃考え、そして、最近ようやく少しだけですが実感している事ですが、マイナスの言葉を吐けば吐くほど、マイナスの方向になっていく。不思議なものです。 上の言葉はしっかり胸に刻んでおこうと思います。
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初めて読んだ本格的な山岳小説。K2とブロードピークが舞台なのだが、登山という行為の深みを垣間見た気がする。 純粋なアルピニストの主人公が、公募登山ビジネスという人間関係が複雑に絡む世界に足を踏み入れる。その時の苦悩、心情の変化の過程が非常に興味深い。 ところどころで出てくる、登場...
初めて読んだ本格的な山岳小説。K2とブロードピークが舞台なのだが、登山という行為の深みを垣間見た気がする。 純粋なアルピニストの主人公が、公募登山ビジネスという人間関係が複雑に絡む世界に足を踏み入れる。その時の苦悩、心情の変化の過程が非常に興味深い。 ところどころで出てくる、登場人物の人生観も新鮮だった。その一人が山に登るのは、「魂の糧」、「生きることでしか表現できない何か」を得るためらしい。自分もこの先生きてれば、それが何かわかるときが来るんだろうか。
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