彼女について の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
よしもとばなな、今までそんなにぐっとくるものなかったけど これはちょっとすきかも。 辛い過去を持った由美子が、いとこの昇一と旅をしながら自分の過去と向き合っていくお話。 悲しくて切ないはずなのに、あたたかさにあふれたお話。 愛ってこんなんかな、とおもった。 よしもとばななは死を題材にするのが多いけど、今回はちょっと意外な結末だったかも。 君の幸せだけが、君に起きたいろんなことに対する復讐なんだ。p180
Posted by
これは大変な話。こころに訴えるパワーが大きすぎて太刀打ちできない。 いまの私にとても必要な本だった。 救われたのか救われないのか分からない結末だけれど、癒されてゆく過程を感じられた。 「自分が綺麗なものを見た時の感情はいつまでも自分のもので、それは変わらない」と決心する幼児の頃の...
これは大変な話。こころに訴えるパワーが大きすぎて太刀打ちできない。 いまの私にとても必要な本だった。 救われたのか救われないのか分からない結末だけれど、癒されてゆく過程を感じられた。 「自分が綺麗なものを見た時の感情はいつまでも自分のもので、それは変わらない」と決心する幼児の頃の話も美しくて悲しい。 親からかけられた呪い、というのは最後にわかるのだけれど、どんなものでもその人が呪いだと思えば全てそうなんだだと思う。自分にかけられていると信じる限りにおいては。 身体感覚で良い悪いを感じるところも好きだ。頭で考えすぎるとおかしなところまで彷徨って帰ってこられないことがあるんだもの。 自分だけが知っている自分の悪さ、汚さ、惨めさなんかを”制御”する、これはとても苦しそうだけれどきっとおばさんは良い感情でやっていたのだと思う、それは誰でもやってるかもしれないけれどだれも教えてくれないことで、はぐれると戻りづらい。 芯がある、とか、落ち着いていられる、というのもここに繋がるんだろう。 主人公は、志半ばで迷子になって、適当でいいのです、という感じだけれど、「私にしかできない考え方と感じ方を持っていて、それだけでよいのだ。」と自分で言えるところがやっぱり芯がある人だったのだと思う。 でも、それが頑なであることや盲目であることとは繋がっていなくて、一貫していなくてもべつにかまわないのが面白い。 ママを愛するが故に、ママがどうであっても全て受け入れてしまった主人公は、まさに愛を求める子供だ。あきらめて受け入れることが自分にとって何をもたらすかを考えまいとしていた。親の悲しみを受け取ることは子供がする仕事じゃないのだと思う。 食べること、痛むこと、皮膚の違和感なんかに敏感なことはとても生きづらいけれど、それによって、手遅れにならずにすんでいるのは感謝しなくちゃいけないのかも。 幸せの記憶が人間の土台になる、というのは本当に感動した。 私も素直に誰かに助けを求めて、そして助けたりしながら幸せに暮らしたい。なにかおかしなことも起きるだろうけれど、なんとか上塗りしたりして、笑っていたい。 主人公は最後に、「ママはもう素直にだれか子供なんかに席をゆずってもいいと思うことができなかったのだ」、と気がついて、そこで許し、というか哀れみをもつことで本当に幸福になれたと思えた。 私は、なにか目の前で起きている事件にとらわれたりしがちだけど、身体が言うことや、幸せの記憶があれば生きていけるかもしれない、と思えた。
Posted by
よしもとばはな、デビューしました。 主人公の女の子の失った記憶を、過去を探す旅のお話。 セリフも文章も全て心に刺さるような言葉たち。とても悲しいのに彼女が明るいから暗くなりきってない。 作者のあとがきでなんだか救われた気がする。 私自身もよく思う。 辛いことがあっても必ず誰かが見...
よしもとばはな、デビューしました。 主人公の女の子の失った記憶を、過去を探す旅のお話。 セリフも文章も全て心に刺さるような言葉たち。とても悲しいのに彼女が明るいから暗くなりきってない。 作者のあとがきでなんだか救われた気がする。 私自身もよく思う。 辛いことがあっても必ず誰かが見守ってくれている。 本当に精一杯生き抜こう!!
Posted by
突拍子もない設定、ではあるが、ある意味過去の本とも共通するように、 私は感じる。死というものが近くにあるがゆえに、生きることを印象付ける本だと思う。あいかわらずさらっと読んでしまうのに、読んだあとに、じんわりと残るなぁと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
彼女について/よしもとばなな ばななさんらしくさらっと読めました。 過去のトラウマ、過去に囚われている自分への失望感、そういうものと決別することはできないかもしれない。それでも、今の自分と自分を取り巻くひとたちの事を慈しみ、大切だと思えるなら、過去を自分の一部として生きていけるんじゃないかななんていうお話かも。
Posted by
主人公が縁の土地を巡り自分の過去を探す旅。 想像以上に暗いお話でしたがハッピーエンドに感じられました。 魔女・呪いなどの言葉が出てきた時は愕然としましたが... 切なく儚いラストには心温まる作品となりました。 彼女の作品はいつも死を身近に感じさせられますね。 決して死が怖いもの...
主人公が縁の土地を巡り自分の過去を探す旅。 想像以上に暗いお話でしたがハッピーエンドに感じられました。 魔女・呪いなどの言葉が出てきた時は愕然としましたが... 切なく儚いラストには心温まる作品となりました。 彼女の作品はいつも死を身近に感じさせられますね。 決して死が怖いものではく日常なんだなということを。
Posted by
悲しいファンタジーって、作者の言葉通りなんだけど、この突拍子ない設定をなんなくすっとうけいれられ、なんだかほんわかする。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
熱が出てもうろうとした中で読んだ。 今まで読んだことのあるばなな作品の中で、もっともスピリチュアルな雰囲気をまとった本だった。 1回読んだだけではわからないと思う。読み返さなくては。でも嫌いではない。
Posted by
読み終わったあとに表紙の絵を見返して、さらに深く納得。こんなにネタバラシみたいな絵だったなんて。美しいな。
Posted by
なんだか現実味のないお話だなぁ、よしもとばなならしくないなぁ…という違和感でとりあえず読み進めていきました。よしもとばななの小説は本来夢と現の境目あたりを行ったり来たりするような浮遊するような雰囲気がもともとあるのですけど、そういう意味ではなくてすべてが現実味がないというか…。 ...
なんだか現実味のないお話だなぁ、よしもとばなならしくないなぁ…という違和感でとりあえず読み進めていきました。よしもとばななの小説は本来夢と現の境目あたりを行ったり来たりするような浮遊するような雰囲気がもともとあるのですけど、そういう意味ではなくてすべてが現実味がないというか…。 なんだろうこれ?なんだろうこれ?? でも、わかりました。あーそうだったのか~!やられた~!!
Posted by