彼女について の商品レビュー
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双子の母親を持ちいとこ同士の昇一と由美子が、昇一の母の遺言をもとに双子である母たちにまつわる過去の悲惨な思い出をひとつずつ紐解いてまわる物語(夢の中の話で、由美子はその事件の時にすでに死んでいた) はじめてよしもとばななの小説を読んだ。ここの登場人物の感性がよしもとさんの内側から生まれ出てきたものならば、少年少女時代の感性をここまで緻密に言葉で表現できるものだろうかと驚嘆した。自分自身の原体験を再現するには、記憶の鮮明さだけではなく、子供時代の少ない語彙では言葉にできなかった感情を、あらためて言語化して、可能な限り自然に適合する言葉を選ばなければならない。その際にかかるフィルターはきっと、年を重ねれば重ねるほど分厚いものになっていくが、いかにそれを取り除いてありのままの記憶を言語化できるかが重要になることは想像に難くない。それを、すっと理解できる言葉で表現されているこの小説は、ふと少年時代を思い出したくなった時にはうってつけだと思った。 また、この小説に出てくる死生観は、今の自分にとって共感できる部分が大きかった。 「子供を持つって、自分は素直にもう席を譲っていいな、というこんな気持ちなのかもしれないな」って、感じた由美子にめちゃくちゃ同意。自分の席を譲るって表現が割としっくりきて、まさに子供はその席に座ってくれると信じることのできる存在になるのだと思う。別に子供がいなかったとしても、その席に座ってくれる誰かが見つかった時点で、(託せそうな人はすでにいるが)自分の生を捨てる覚悟も然り、その生を楽しむ喜びを素直に掴みにいくこともできるようになると個人的には思われる。 その生の楽しみ方の一つが、自分の身の回りを大切にし、その小さな世界を観察したり触れ合ったりすることなのだとこの小説を読んで感じた。
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今まで読んだよしもとばななさんの作品のなかで、一番暗い。 暗いのにジメジメしてない。やんわりあたたかい。ふしぎ。
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凄惨な過去を持つ由美子.突然訪ねてきたいとこの昇一は,母の遺言により由美子のためになにかしたいと言い出した. 物語が進むにつれて明らかになる由美子の暗い過去と,常に明るく幼い文体のギャップが奇妙. 著者の本は初めて読んだが,この文体が物語の結末を計算して意図的に書かれたものだとし...
凄惨な過去を持つ由美子.突然訪ねてきたいとこの昇一は,母の遺言により由美子のためになにかしたいと言い出した. 物語が進むにつれて明らかになる由美子の暗い過去と,常に明るく幼い文体のギャップが奇妙. 著者の本は初めて読んだが,この文体が物語の結末を計算して意図的に書かれたものだとしたらすごい.
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途中から、 あれ、もしかして、いや待てよ、そんなのイヤだよ、うん違うはず、でもな、 なんて一人でハラハラしながら読み進めてしまったので、主人公のいまが明らかになった時、ああ信じたくなかったのに、という残念な気持ちと、これで一息つけるんだ、という安心感がないまぜになりながら、ぐすぐすと涙が溢れてしまった。 沁み込む力のある、文章だったなあと思う。死は遠い存在では決してないのだと。
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とてもやさしいお話。 起こったことは、本当にとても悲しくどろどろしていて恐ろしいことなのに、とてもやさしくて何かに包まれるようなお話でした。 いい意味で、ファンタジーだろうに、にファンタジーらしくない。 魂さん、美しくあれ。 そして、誰かを強くやわらかくやさしく愛せた...
とてもやさしいお話。 起こったことは、本当にとても悲しくどろどろしていて恐ろしいことなのに、とてもやさしくて何かに包まれるようなお話でした。 いい意味で、ファンタジーだろうに、にファンタジーらしくない。 魂さん、美しくあれ。 そして、誰かを強くやわらかくやさしく愛せたらいいなぁ。
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よしもとばななさんの言葉は とてもきれいで ストーリーも よかったけど、何よりも 言葉と その世界観が素晴らしかった。 スピリチュアルな作品。 浄化小説といった感じ。
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*「この世は生きるに値すると思う力」 *人は、なんでもできるの。忘れないで。今、あなたがここにいることだってとんでもない、ありえないはずのことなのよ。でも、人はなんでも可能にする。
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気だるい雰囲気から始まって、重たさについていけるか不安があったけど、読後は良かった。 今までの出来事と向かい合う中で、心の安定を取り戻すお話で、主人公の心情と共に少し雰囲気も軽くなっていくけど、後半の展開には驚かされた。
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・10/26 読了.この文体だとすらすら読める.それにしても、普通の物語かと思ってたところに真実が明かされるのが分かった途端、ぞわっとした.おぞましい事件なのに最後に魂が救われたのはよかった.読後にスッキリ.
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久しぶりのばななさんタイム(笑)ばななさんの作る作品の世界観が本当に好き。共感したり、元気をもらえたり、考えさせられたり、本当に癒された。ほっこり♡ 「人間は、毎日いろいろな気持ちがあって、いらいらしたり、変な人間に見えたり、でもよく見ると大丈夫だったりしているものじゃないか。一貫性はそれほど求められてないような気がする。だからこそ、底のところでは一貫性が絶対必要だけれど。でもそれだって、意識してあるものじゃないだろう。強い人がいつも強いっていうこともないよ。」 「昇一には深いところでわかっているんだ、彼も傷ついているんだ、と私は感じたわ。ほんとうに大丈夫な人なんて、いないのよ。ほんとうに健全な人もね。そうふるまっているだけで。でも、すごく体調が悪いときにはささいなことが大変に思えるのと同じ分量で、そういうふうに良きものとしてがんばってふるまう体力や気力ってものが、結局は人類の存続を支えてきたんじゃないかしら?」
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