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天使の歩廊 の商品レビュー

3.6

30件のお客様レビュー

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2013/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 『平成二十三年 六月一日 発行』版、読了。おそらく初版。  第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。  ある造家師の生い立ちから、ほぼその半生を描いた物語…を、おりまぜながら描かれた群像作品です。  無理難題な建築要望の依頼主たちに対して、難なく応じて、依頼主が満足する摩訶不思議な建築物を通じて、登場人物それぞれが抱いている心情を中心に物語が展開していきます。  主人公の、建築物に対する特徴に関する理由も描かれていますが…読了しても、おぼろげに「ああ、なるほど…」と、思う抽象的なオチでした。  建築にあまり興味がなくても、文体が読みやすいので読了まで一気に読めました☆  また、巻末にも記載されておりますが、いくつかの専門資料のもと、作品の世界観が安定しておりました。かつファンタジー色も醸しだされていたので、その部分での評価が高く、大賞受賞となったのではないかと感じます。  あとは個人の好みの問題となるのですが…主人公の人柄が、自分にとってはあまり好印象ではなかったので、その点において「読んで楽しかった!」と思えなかったのは致し方ないところ。  それでもよくできた作品だなあ、とは感じました☆

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2012/10/18

第20回ファンタジーノベル大賞を取っているらしい。 が、あまりファンタジーtって感じじゃない。 時代設定が明治から大正で、テーマが建築だから、文章も固い感じ。

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2012/06/10

1つ1つの作品は独立しているのですが、6つの短編をすべて読み終えてみると、建築家「笠井泉二」という人物の半生が鮮やかに浮かび上がってくるという、見事な構成の作品です。

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2012/06/06

とても良かった! 日本ファンタジーノベル大賞とは、基本的に相性が良いのですが、 今回この作品を読んで改めてその事を実感しました。 ある一人の建築家を巡る物語。 真っ先に綾辻さんの館シリーズに出てくる中村青司を思い出すのだけれど、 中村青司の建てる館が、逃れられない死に結びつい...

とても良かった! 日本ファンタジーノベル大賞とは、基本的に相性が良いのですが、 今回この作品を読んで改めてその事を実感しました。 ある一人の建築家を巡る物語。 真っ先に綾辻さんの館シリーズに出てくる中村青司を思い出すのだけれど、 中村青司の建てる館が、逃れられない死に結びついているとすれば、 笠井泉二の建てる家は、凪いだ海のように心を穏やかにさせる。 幼い頃から神童と思われるほどの才能を発揮していた泉二。 死者と生者が一緒に暮らすための家、また異次元へ通じる家… とても幻想的で、それでいて心温まるお話の数々に、 思わず目頭が熱くなりました。深く、深く感動のため息をつきました。 素晴らしい作品だと思います!!

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2017/08/15

 ミステリーぽい手法でストーリーは進むのに、結末だけがファンタジーという、なんだか煮え切らない小説です。主人公が茫洋として何も語らず、ミステリー的展開にはちっとも向かないのも難な気がする。。  コルビジュエのロンシャンの教会やライトの落水荘や、たぶん会津のさざえ堂の螺旋回廊をモチ...

 ミステリーぽい手法でストーリーは進むのに、結末だけがファンタジーという、なんだか煮え切らない小説です。主人公が茫洋として何も語らず、ミステリー的展開にはちっとも向かないのも難な気がする。。  コルビジュエのロンシャンの教会やライトの落水荘や、たぶん会津のさざえ堂の螺旋回廊をモチーフにしたであろう建築がでてくるので、主人公が作りだした建物をなんとなく想像出来るのはいいのだけれど、なぜその建築が施主たちをカタルシスへ導いていくのかがさっぱりわからない。ファンタジーと言ってしまえばそれまでだが、どうも読者を置き去りしているような感じを受ける。  もうちょっと頑張って人の心の奥を描写してほしい。    篠田真由美の建築ミステリーの方が面白い。

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2012/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ファンタジーノベル大賞の受賞作。建築がテーマとのことで面白そうと手に取った。 時系列もバラバラの6話で構成される、笠井泉二という建築家をめぐる話。ファンタジーというよりミステリーのように読める感もあり、詳しいことは書くのを控えようと思うが、デビュー作のわりに完成度が高いなあとは思った。いろいろ調べて書いたのだなという感じがして、ある種の読書人の嗜好をとても満たす作品だ、という印象。とても楽しませてもらいました。 建築のコアな話がもっと登場するのかと期待していたので、そこは少し読む前の期待とは外れた。語られる建築についても、建築技術の凄さによるものというよりは、どちらかというと魔術という感じ。自分の描写部分の読解力のなさによるものかもしれないが・・・

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2011/10/27

「ある建築家をめぐる物語」なのだけれど、彼のことは磨りガラスを隔てた向こう側の人のように、ぼんやりとしかわからない。その人物よりも、彼の考え出す不思議な建築物たちの方が主人公のようだ。ただし、リアルからかけ離れた彼らのことを、絶対に映像化して欲しくない。想像の中で楽しみたい。

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2011/10/23

本当に素敵な建築とは?や なぜ泉二は地下通路を知っていたのか?や 夫婦の間で何があったのか?と読み進めていくと たいへんがっかりする。 ミステリではなく、ファンタジー。 ちょっと不思議な話だと念頭において読めばよかった。 ちょっと不思議な話だと思えばおもしろい。 同じ章内で人称や...

本当に素敵な建築とは?や なぜ泉二は地下通路を知っていたのか?や 夫婦の間で何があったのか?と読み進めていくと たいへんがっかりする。 ミステリではなく、ファンタジー。 ちょっと不思議な話だと念頭において読めばよかった。 ちょっと不思議な話だと思えばおもしろい。 同じ章内で人称や視点がころころ前触れもなく変わったり いらない主語が目に付くけど、面白い。

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2011/09/11

序盤はお話にのめり込めず、読むスピードも遅かったのですが、鹿鳴館のエピソードでグイッと惹き込まれ、そこからはあっという間に読了。 本の帯に”ファンタジー”とありましたが、あまり非現実的すぎない話を期待していたので、後半の主人公の秘密にまつわるエピソードには少し違和感を覚えました...

序盤はお話にのめり込めず、読むスピードも遅かったのですが、鹿鳴館のエピソードでグイッと惹き込まれ、そこからはあっという間に読了。 本の帯に”ファンタジー”とありましたが、あまり非現実的すぎない話を期待していたので、後半の主人公の秘密にまつわるエピソードには少し違和感を覚えました。まぁ、勝手な期待を抱いてしまった自分が悪いんですけど… それでも、建築を題材にしたファンタジー小説ということで異彩を放っていますし、強く印象に残る個性的な作品だと思います。

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2014/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 この小説はある建築家の物語であり、建物自体の物語である。様々な洋風建築が様式を競った明治時代に、その枠すら超えて依頼主の願いを叶える家を建てるという笠井泉二。彼の幼少時、建築学部学生時代、転機となった会社からの海外留学など、明治から昭和へと変わる時代背景を織り交ぜながら、この短編集は全体でひとつの物語を構成していく。  死者と生者が暮らす家から始まり、川に架かる橋の家まで、彼の手になる建物は4作品登場する。技術的には可能そうだが、いずれも多少夢想的である。彼が天界と繋がっていると思わせるエピソードも多数あるが、どれも夢の中でのお話となっている。実際に彼がしてきたことは、依頼主の願いを聞き届けることであり、住む人自身の物語を建物に具現化することである。このあたりのバランスの旨さが、優れた小説だなと思う。  最終章では、建物にとどまらずにひとつの街を設計するところで終わっている。これから迎える戦乱の時代に、どのような物語を現実化していくのか、続編に期待しています。

Posted byブクログ