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天使の歩廊 の商品レビュー

3.6

30件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

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  3. 3つ

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2023/12/24

ただ雨風をしのぐだけではない、かといって芸術性だけでもない、建物を巡る多次元的なストーリーが空想力をくすぐる。

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2017/01/14

文章は非常に自然体で、なおかつ明治の描写は(その真偽はわからないが)説得力に溢れていました。 本書で描かれる日本のノスタルジーには誰もが共感できる普遍的な優しさに包まれており、これが主人公[笠井泉二]しいては著者[中村弦]のキャラクターなのだと思います。 手放しに「感動した!...

文章は非常に自然体で、なおかつ明治の描写は(その真偽はわからないが)説得力に溢れていました。 本書で描かれる日本のノスタルジーには誰もが共感できる普遍的な優しさに包まれており、これが主人公[笠井泉二]しいては著者[中村弦]のキャラクターなのだと思います。 手放しに「感動した!涙が止まらない!」という作品ではないのですが、一軒の優れた建造物、一枚の類い稀な絵画、そういった芸術作品を鑑賞したじんわりとした満足感のようなものが、この作品で得ることが出来るような気がしました。

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2016/05/06

建築家の笠井泉二の人生を短編での物語り。天才が造る家に依頼主は満足するがその依頼も変わっている。何故妻と子供が笠井の人生 の犠牲にならなくてはいけなかったのか分からなかったからそこを深く突っ込んだ話の続きが読みたい。 明治から昭和初期の話なので幻想的で歴史になってるような小説。 ...

建築家の笠井泉二の人生を短編での物語り。天才が造る家に依頼主は満足するがその依頼も変わっている。何故妻と子供が笠井の人生 の犠牲にならなくてはいけなかったのか分からなかったからそこを深く突っ込んだ話の続きが読みたい。 明治から昭和初期の話なので幻想的で歴史になってるような小説。 日付忘れる。

Posted byブクログ

2015/09/18

明治生まれの建築家を巡る ファンタジー小説 明治 大正 昭和 あの目まぐるしい時代の 西洋建築物が沢山出てきます 切なさと、不思議と心地の良い 身近にある異世界を 建築と、融合したのは 素晴らしいと思う 私も笠井泉二に家建てて欲しい。。

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2015/02/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 明治から昭和にかけてのたたずまいが感じられる作品です。洗濯屋の次男坊の笠井泉二が主人公で、長じるにつれて人々の心を癒し、依頼主を虜にしていく建築物を創る。  泉二という存在の不思議さ、妻子を失わなければならない「なすべきこと」のための犠牲、それが作品後半で、生を受けたときから天使のような使命を受けてきたことが明らかになってくる。建造物を一つの異空間、異次元として、過去、生死等を繋いでいく。淡々としながらも深みのあるファンタジーです。

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2014/07/04

明治から昭和初期にかけての天才建築家・笠井泉二の軌跡。ファンタジックで概ね面白かったです。“自分の成すべき事は何か?何を犠牲にせねばならないか?”という笠井が天使から受けた啓示がピンと来なかったです。特別な建築設計をするのに何故に妻子が犠牲にならないといけないのか不思議。作中で創...

明治から昭和初期にかけての天才建築家・笠井泉二の軌跡。ファンタジックで概ね面白かったです。“自分の成すべき事は何か?何を犠牲にせねばならないか?”という笠井が天使から受けた啓示がピンと来なかったです。特別な建築設計をするのに何故に妻子が犠牲にならないといけないのか不思議。作中で創ったのは個人の邸宅ばかりで、歴史に残るような建築物が無かったのが残念。ラストの“満州の町”がそれに当たるのかな?それと、いけ好かないヤツ・雨宮を何か懲らしめてやりたかったなぁ。

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2014/04/07

ファンタジーの賞をとったと言うので。 全体的に淡々と進んでいく。キャラクターが多彩な割りに紆余曲折や起承転結にメリハリが無かったような。読んでて物足りなかった。 それとこれは私の原因だけど、想像力が足りなくて建築物の想像が上手く出来なかったのが残念。

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2014/01/22

主人公が喋らない。周りが説明したり、推測したりで話は進む。 作るものが素晴らしいから、影のような主人公でも惹かれるんだろうか。 各話の依頼人のストーリーが濃いから、かえってこれくらいがいいんだろうか。 主人公の不思議体験だけは印象的だけれど、これもまた周りからの聞き語り。徹底して...

主人公が喋らない。周りが説明したり、推測したりで話は進む。 作るものが素晴らしいから、影のような主人公でも惹かれるんだろうか。 各話の依頼人のストーリーが濃いから、かえってこれくらいがいいんだろうか。 主人公の不思議体験だけは印象的だけれど、これもまた周りからの聞き語り。徹底して一歩二歩ひいている彼自身の魅力ではなく、ストーリーの魅力がこの本の良さだなと思う。

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2013/09/07

明治十四年の序章と昭和七年の終章の間をつなぐ、「冬の陽」「鹿鳴館の絵」「ラビリンス逍遥」「製図室の夜」「天界の都」「忘れ川」の6つの短篇 異能の建築士が依頼人の思いの源流を明らかにし、建物で依頼人を幸せにする。建物ひとつひとつがミステリーであり、異界へ誘い込むファンタジーでもあ...

明治十四年の序章と昭和七年の終章の間をつなぐ、「冬の陽」「鹿鳴館の絵」「ラビリンス逍遥」「製図室の夜」「天界の都」「忘れ川」の6つの短篇 異能の建築士が依頼人の思いの源流を明らかにし、建物で依頼人を幸せにする。建物ひとつひとつがミステリーであり、異界へ誘い込むファンタジーでもある。 この建築士が設計する街にぜひ行ってみたい。

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2013/06/11

″A House is not a Home″というバカラックの名曲を思い出す。明治から大正、そして昭和という激動の時代を舞台に、ひとりの「異端の」建築家の姿を6つのエピソードからあぶりだした不思議な風合いをもつ物語。 「家」とは奇妙なものである。たいがいの「家」は地面に建つ。...

″A House is not a Home″というバカラックの名曲を思い出す。明治から大正、そして昭和という激動の時代を舞台に、ひとりの「異端の」建築家の姿を6つのエピソードからあぶりだした不思議な風合いをもつ物語。 「家」とは奇妙なものである。たいがいの「家」は地面に建つ。物理的にはもちろんのこと、メタフォロジカルな意味でも、また。だから、ときに「家をもつ」ということはそのまま、そこに暮らす人間の〝現世への執着の現れ〟でもある。ところが、主人公・笠井泉二のつくる「家」はちがう。それは、現世に定着できず、ふわふわと宙空に舞っている依頼人の「思い」をかきあつめ、そこに納めてやるための「うつわ」、あるいは「モニュメント」のようなものとして描かれる。その意味で、主人公はみずから宙空を舞いながら人々のやりきれない「思い」を回収する、まさに天使的存在なのである。 彼の建築は普遍的ではないが、だれか一人のために役立つと語る、笠井の理解者である卯崎教授のことばが心にしみる。その後の主人公は、大陸でいったいどんな「街」をつくったのだろうか? ほんのりとあたたかい心持ちで本を閉じた。 余談。主人公が暮らしているのは小石川植物園にほど近いところとなっているが、そこは当時「貧民窟」として知られた場所である。華族や実業界の大立て者をクライアントとし、みずからもけっして貧しくはなかったであろう主人公に自身の「家」としてあえてこうした土地を選ばせたところに、作者の、天上と地上とを自由に行き来する中間的存在に対する考え方を透かし見ることができておもしろい。装幀は、有元利夫が描いた作品であったなら……と個人的には思わずにいられない。

Posted byブクログ