たましくる の商品レビュー

堀川アサコ【著】

2011/06/26

北の田舎の閉塞感とか鬱屈とした雰囲気がうまくて（方言が効果的）、北東北住みの自分は妙に共感している。暗くて救いようのない「ウブメ」で胸が詰まった。
昭和初期の弘前が舞台のオカルト風味ミステリー連作集。探偵は盲目のイタコ美少女（未亡人）と、向こうの世界に引かれやすい薄幸のお姉様。太宰っぽい美青年（入水自殺の常習犯）とかも出てきたりします。
謎解きはオカルトを言い訳にしたトンデモ解決ではなくて、だいたい現実的な解決なので、ミステリー好きな人も大丈夫（だと思う）。

2011/06/19

ふるさと怪談in大阪へ向かう新幹線の中で、気分を盛り上げようと思って読みました。すると、会場で、出演者のひとり、黒木あるじ氏が「イタコを知っていますか？」とお話しされたのでびっくり。我ながら、なかなかのグッド・チョイスでした。

亡くなった双子の姉の遺児を育てる島田幸代と、盲目のイタコ、千歳の物語。イタコの力が本物だったら殺人事件を解決するのなんか簡単なのでしょうが、本書の千歳はロジック重視。オカルティックな側面はゼロではないものの、ミステリとして楽しめる一冊です。解説は東雅夫『幽』編集長。（http://twitpic.com/533lth）

2011/06/08

ややホラーな雰囲気を感じるミステリ。イタコが登場するので、心霊がらみのストーリーだけど。霊が何かをするというよりもむしろ、生きている人間の織り成すミステリという気がします。
弱い哀しい人間だからこそ引き起こされる事件の数々。それを解決する千歳の能力には優しさを感じました。東北地方の方言が多いのも、とても自然な気がして。どこかしら暖かい気分にさせられます。