出世花 の商品レビュー
あきないの幸、澪つくしの澪にも言えるが、縁の口の固さに感じ入る。私には到底真似できない。 自分の気持ちをもう少し漏らしてくれれば、周りの人も楽だろうにと思うものの、その無口さが信頼になるのだろう。どこかあっさりした読み味となるのはこの為か。 作者本人もこの様なお人柄なのかも知れな...
あきないの幸、澪つくしの澪にも言えるが、縁の口の固さに感じ入る。私には到底真似できない。 自分の気持ちをもう少し漏らしてくれれば、周りの人も楽だろうにと思うものの、その無口さが信頼になるのだろう。どこかあっさりした読み味となるのはこの為か。 作者本人もこの様なお人柄なのかも知れないとふと思う。 湯灌師という特殊な仕事にのめり込む、しかも稀有な才能と閃きも併せ持ち、それが口伝で評判が広まっていき、そして物語が始まる。 あとがきにいずれ続編を執筆する旨書かれていたので楽しみである。
Posted by
高田さんの書籍に触れる度に 人とは何なのかと考えさせられる。 中でも今回は、仏説孝子教えに 触れ考える所 多々あった。
Posted by
今まで読んだ髙田郁作品で気に入らなかったものはなくて、果たしてデビュー作はいかに…?!と思ってたらやっぱり面白かったな。 ひとつ言えば、表紙が良くない、笑 少し想像と違った感じの進み方の連作短編だったけど、どの話も心にくるものがあった。 主人公お縁自身の話は1話目であっさり終わ...
今まで読んだ髙田郁作品で気に入らなかったものはなくて、果たしてデビュー作はいかに…?!と思ってたらやっぱり面白かったな。 ひとつ言えば、表紙が良くない、笑 少し想像と違った感じの進み方の連作短編だったけど、どの話も心にくるものがあった。 主人公お縁自身の話は1話目であっさり終わり、その後はお縁と周りで起きることの話。 お縁の話がズルズル引きずらずに1話目で収まってたのが案外良かったかもしれない。 湯灌というのも初めて知った。 その描写もあるけど気持ち悪くないし、お縁や正念の思いのこもった湯灌の場面が想像できて温かい気持ちになれる。 良い読書だったな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
15年ぶりぐらいの再読。 気持ちが沈んだ冬に読みたくなる本を探していたら、本棚からこの本に呼ばれたように思った。 真摯にひたむきに生きる、墓寺で湯灌を行う三昧聖の物語。爽やかな余韻を残すストーリーだった。 生い立ちに恵まれたとは言い難い登場人物たちが葛藤を抱えながらも日々を真摯に生きていく。湯灌を通して故人の尊厳を守り、遺されたものたちを救う。 物語の構成は、やや謎解き要素も入っていて、時代小説だが平易なことばで親しみやすい展開であった。 読了後は、曇天に前向きな光がさすような気持ちにしてくれる。稀有な力を持つ作家さん。思春期に共鳴した小説に、心動かされる感性をまだ持ち合わせていたことが嬉しかった。若い頃に読んだ本は特別だと感じる。
Posted by
湯灌師というと、多くの人が敬遠してしまう。 屍洗いと揶揄されて見下されていたのも正直理解できる。 自分には難しいけど、高田郁さんはきれいごとだけではない湯灌場の仕事を丁寧に描写し、真摯に死者と向き合うお縁たちの姿がとてつもなく尊く感じました。 お縁が女性の新仏の痩けた頬に、口内か...
湯灌師というと、多くの人が敬遠してしまう。 屍洗いと揶揄されて見下されていたのも正直理解できる。 自分には難しいけど、高田郁さんはきれいごとだけではない湯灌場の仕事を丁寧に描写し、真摯に死者と向き合うお縁たちの姿がとてつもなく尊く感じました。 お縁が女性の新仏の痩けた頬に、口内から綿を入れてふっくらさせ紅を刺す場面では、死者の表情が柔らかくなり、遺族が生前元気だったころの姿に会えて救われます。 安らかに浄土に旅立つ姿を見ることで遺族は気持ちに折り合いをつけて乗り越えていけるのです。 そんな昔からの風習と携わってきた湯灌師に人情を感じ胸が温かくなりました。 母に捨てられ愛を知らずに育ったお縁が、これからお香や正念とどんな絆を築いていくのか、続編も楽しみです。
Posted by
高田郁さんのデビュー作。出世という言葉には、社会的地位を高めること以外に世に生まれてくる事も含まれている。さて、この物語はいかに。 お艶(のちにお縁)の9歳から19歳までが描かれている。お艶の母登勢が父矢萩源九郎の同僚だった久居藩士・梶井兵衛門と不義密通を犯し逃げる。 源九郎は...
高田郁さんのデビュー作。出世という言葉には、社会的地位を高めること以外に世に生まれてくる事も含まれている。さて、この物語はいかに。 お艶(のちにお縁)の9歳から19歳までが描かれている。お艶の母登勢が父矢萩源九郎の同僚だった久居藩士・梶井兵衛門と不義密通を犯し逃げる。 源九郎はお艶を連れて、登勢の妻敵(めがたき)討ちの旅に出る。父娘は行倒れ、下落合の青泉寺(せいせんじ)の住職・正真に救われたが、源九郎は無念の死を遂げるところから始まる。 青泉寺は火葬ができる寺で、江戸には公設の火葬ができる寺が五か所あるのみ。 物語は「出世花」「落合蛍」「偽り時雨」「見返り坂暮色」の4つを通してお縁が成長していく姿が優しさに溢れ、優しさに包まれる。ユーミンの曲とともに魔女の宅急便をなぜか思い浮かべた。時代小説でもあり、人の死に関わる仕事なので題材は全く異なるが・・・。 ひとつの作品の描き方が高田郁さんのデビュー作から貫かれているのだと感じた。 感想とは別だが、高田郁さんの作品を読んでいて思い出されることがある。 人はなぜ仕事をするのか?生活のため?それもあるだろう。しかし、人のために生きることの尊さや優しさが伝わってくる。 確か北野たけしさんが言っていた。どんなに高いワインより喉が渇いた時に飲む水の方が美味い、高級レストランの食事よりかあちゃんが握ってくれたにぎりめしが1番美味い。人それぞれに幸せを感じる時は異なる。人に寄り添うというのはこうした事を言うのだと思う。お金を手にすることの幸せもあるかもしれないが、それ以上の幸せは人によって数多く感じる場面は存在すると思うのである。
Posted by
三昧聖、湯灌と言う言葉、恥ずかしながら知らなかったです。 あきない、澪つくし、の後に読んだのですが、デビュー作とはびっくりです。 もう最初から世界観が出来上がっていらっしゃったのだなぁと。 とても好きな作品でした。
Posted by
江戸時代の弔い専門の寺で湯灌を手伝うお縁の物語。 高田郁さんらしい、人が愛おしく感じられ、応援したくなるストーリー。 尊い仕事。
Posted by
久々に電車内で読んでいて、落涙しそうになった。 葬儀業の歴史から詳細に基礎調査されているのは感服致しました。
Posted by
最初の本だったと、知らないでいた。みをつくしにあきないと他も全て読んでいるけど、高田郁さんの言葉に思いに全て出ているので、原点なんだよな〜としみじみ思う。三昧聖にスポットを当てて、いい事ばかりじゃなくさげずむ場面もしっかり書いているので、正真がとく誰もが死ぬのが納得する。江戸時代...
最初の本だったと、知らないでいた。みをつくしにあきないと他も全て読んでいるけど、高田郁さんの言葉に思いに全て出ているので、原点なんだよな〜としみじみ思う。三昧聖にスポットを当てて、いい事ばかりじゃなくさげずむ場面もしっかり書いているので、正真がとく誰もが死ぬのが納得する。江戸時代の武士の仇討ちが6年も子供なのに一緒にいないとダメとか武士ってなんなんだ、馬鹿げている体裁って引くに引けないって意味がわからん。正念の嫡子問題で自分が世継ぎすると母親と妹に害が及ぶとかくだらない、そんな時代に生まれないで良かったと
Posted by
