未見坂 の商品レビュー
雪沼とその周辺の方がどうやら私に実体のない懐かしさをくれる相性の良い「地域」のようで、未見坂という「地域」にはなかなか馴染みきれなかったのだけが残念。とてつもなくぼんやりしていて、イメージしきれないのです。でも、そのぼんやり感も、「随分昔の記憶で思い出せなくて悲しい」感じとも思え...
雪沼とその周辺の方がどうやら私に実体のない懐かしさをくれる相性の良い「地域」のようで、未見坂という「地域」にはなかなか馴染みきれなかったのだけが残念。とてつもなくぼんやりしていて、イメージしきれないのです。でも、そのぼんやり感も、「随分昔の記憶で思い出せなくて悲しい」感じとも思えて、やっぱりいい。何より、登場人物の言葉として紡がれる言葉がやっぱり美しくて心地よい。好きだなー、好きだなー、とかなりお馬鹿な頭で読んでしまいました。個人的に一番気に入ったのは「苦い手」。好きな一行にペタペタ付箋を貼っていって後から見直してみると、この作品は付箋だらけでした。肥田さんをはじめ、登場人物の素朴さがとても好きです。
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デジャビュ的な出来事を書いていながら何故だか凡庸にならないところが堀江敏幸の天才さで、プロフェッショナルな綱渡りを見ているような、あるいは、大体味がそろっちゃうような洋食じゃなくて、ほんとにうまい薄味の和食を食べたときに「あれ、これなんかうまい」って思うような、際立ったセンスのある人が手間をかけて作った素朴ごはん、って感じ。 気取ってないけど実は語彙もすごく多い、すらすら読めちゃうけどじっくり読むと結構情報量が多い、いちぶんいちぶんも結構長いし、意外と文章に癖もある。それにこの『未見坂』の場合、子供視点の話なのに、子供以上の視点で書かれているのだけど、それが意外にも気持ち悪くなかったのが不思議だった。「なつめ」は少し冒頭に苦しさの気配を感じたけれど…。 どちらかというと本人はアカデミズムの領域にいる人であるはずなのに、いやだからこそ岡目八目というのか、しかし、んまいなあ。
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武田氏に勧められて、スノボ帰りのバス内で読んだ本。 どこにでもいる、でも一癖も二癖もある、人たちの日常を切り取った一冊。どこかに影を感じながら、それでも日常を生きていく、その決意を感じとることができる。文章は日常の描写をきめ細かく緻密に描き、読み手は想像力を総動員して文章の世界に...
武田氏に勧められて、スノボ帰りのバス内で読んだ本。 どこにでもいる、でも一癖も二癖もある、人たちの日常を切り取った一冊。どこかに影を感じながら、それでも日常を生きていく、その決意を感じとることができる。文章は日常の描写をきめ細かく緻密に描き、読み手は想像力を総動員して文章の世界につかり、徐々にその全貌がわかってくるようになる。こんなに静かで、丁寧な小説は久しぶりだった。 最後の解説は、自分の言葉を代弁してくれたかのようにしっくりおちてきた。記念すべきブクログ第一弾!
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堀江敏幸「未見坂」ぼーっとする頭で読んだ。http://tinyurl.com/3vqz4xy 短編集。家族の病気や死や両親の不仲によって意図せず日常からはみ出てしまってぎくしゃく暮らす、ある小さな町の住人たちの話。全体に不穏で不安定で仄暗いトーンで統一されている。(つづく 話...
堀江敏幸「未見坂」ぼーっとする頭で読んだ。http://tinyurl.com/3vqz4xy 短編集。家族の病気や死や両親の不仲によって意図せず日常からはみ出てしまってぎくしゃく暮らす、ある小さな町の住人たちの話。全体に不穏で不安定で仄暗いトーンで統一されている。(つづく 話の中のどの家庭も便利さを固辞して生活に手間をかけている。出てくる少年たちの寄る辺なさを、周囲の大人たちが控えめに言葉少なに、手を差し伸ばすわけではなくただ見守る感じがいい。旧型バスの移動商店の話は、ラストにきらきら眩しい光が射していてよかった。(おわり
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先日読んだ南木さんの「草すべり」もそうでしたが、読み始めると同時にグウッと沈み込むような感じがします。上手く表現できないのですが、これは褒め言葉です。 私の読書時間は朝夕の通勤電車。そんな環境でも、数行読み進めると周りの雑音が聞こえなくなり、視野もページの範囲に絞られ、ザワついて...
先日読んだ南木さんの「草すべり」もそうでしたが、読み始めると同時にグウッと沈み込むような感じがします。上手く表現できないのですが、これは褒め言葉です。 私の読書時間は朝夕の通勤電車。そんな環境でも、数行読み進めると周りの雑音が聞こえなくなり、視野もページの範囲に絞られ、ザワついていた精神がグッと沈静化するのです。 起承はともかく、転は有っても極わずかだし、結に至っては無いに等しい淡々とした物語。それだけでここまで引き込まれるのは、やはり堀江さんの端正で美しい文体のせいなのでしょうね。
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堀江敏幸の作品を読むといつも思うが、「こんなこと自分にもあった」という場面が出てくる。で、ちょっと自分にも小説が書けそうな気がしてくる。 まあ、作家にはなれなくても、自分の人生も結構小さなドラマがあるよな、と思わせてくれる。 「プリン」が一番良かった。
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頭にはいってこなくて挫折した。文庫のフォントとか改行の少なさとか行間スペースとかなんとなく読みにくかったせいもあるか。
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連作短編集、というほど連作感がなかったので、その点がちょっとがっかり。同じ街を舞台にしているだけで、人々の交差はほとんどない。作品は嫌いではないけれど。
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「じゃ、頭、流しますよ」 「頭を流されたら、わしは死んじまうよ」 こういうクスッと笑わせるセンスが好きだなぁ。
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