不登校カウンセリング の商品レビュー
スクールカウンセラーも引き受けている精神科医である筆者の経験に基づく不登校問題への提言である。初版は2004年5月で『ようこそ反抗期 不登校のこころの読み方』であった。この原題が示すように、本書は不登校の生徒といかに向き合うかを問題にしている。 不登校の要因は実は様々であり、...
スクールカウンセラーも引き受けている精神科医である筆者の経験に基づく不登校問題への提言である。初版は2004年5月で『ようこそ反抗期 不登校のこころの読み方』であった。この原題が示すように、本書は不登校の生徒といかに向き合うかを問題にしている。 不登校の要因は実は様々であり、それを同一視してはならない。原因に基づいた処置が必要だという。その原因のなかには家庭問題、とりわけ幼少期の過ごし方がある。これらの要因を過去のものとして片づけるのではなく、これからにどのように生かすのかを考えなくてはならないのだ。筆者は過去は変えられないが、いまは変えられるという。そして変わるためのさまざまな方策を述べている。 そこで述べられていることを通読して思うのは、万人に当てはまる処方箋はないということ、薬物による療法以前にカウンセリングが肝要であり、カウンセリングとはなにかを与えるのではなく、困難な状況にある人から事情をひたすら聞きだし、それを整理してみせることによって気持ちの整理をさせることなのだということである。 教員は時間内に答えを出そうとする、という批判は私には耳が痛い指摘である。傾聴という簡単そうで実は非常に難しいことに、私は挑戦していかねばならないと感じた。
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