証拠改竄 の商品レビュー
事実関係をよくまとめてあります。新聞記者の取材力はかなりのものなのだなと思いました。ある意味では,優秀な捜査機関のようです。でも,特ダネに異常にこだわるメンタリティは正直よくわかりません。特捜部にあったであろう不健全なプレッシャーは,新聞記者にも共通なのかもしれないですね。
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厚労省の村木さんが無罪になった郵便不正事件における,主任検事の証拠隠滅事件。朝日新聞のスクープの内幕を垣間見られる。 結局村木局長の関与の事実はなかったわけだが,無理のある検察ストーリーが軌道修正できずに,逮捕・起訴と突き進んでしまった。その過程で,検察に不利な証拠(FD内フ...
厚労省の村木さんが無罪になった郵便不正事件における,主任検事の証拠隠滅事件。朝日新聞のスクープの内幕を垣間見られる。 結局村木局長の関与の事実はなかったわけだが,無理のある検察ストーリーが軌道修正できずに,逮捕・起訴と突き進んでしまった。その過程で,検察に不利な証拠(FD内ファイルの作成日付)をストーリーに沿うように改竄してしまう。手を染めた検事は「割り屋」として知られた敏腕検事。 改竄の兆候をつかんで,調査を進めるときにはかなり覚悟がいったみたい。三井環事件とかもあったし。2002年,検察の裏金を暴こうとした大阪高検公安部長が,内部告発直前に特捜部に逮捕された事件。改竄の取材が知れたら,検察はなりふり構わない。微罪で逮捕される恐れも大きい。 結局検察に感づかれることもなく,他紙にも気付かれずに,返却されていたFDのフォレンジック調査によって,改竄の事実はかたまった。これを地検幹部にぶつけ,翌日に検察内部調査,そこから情報を取ってその翌日紙面に出す,という手筈も整って,決行の運びとなる。 なかなかスリリングで,面白かった。ただ,スクープを追い求めるマスコミと,大物の有罪判決を追求する特捜部と,何か少しだぶって見えた。でも強大な国家権力が突っ走っちゃうからやばいんだろうな。権限を減らして透明化を図るしかないかも。
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郵便不正事件で検事が証拠を改竄したというスクープを追う新聞社の舞台裏を描くノンフィクション。 最初は障害者郵便制度を悪用した事件で始まったものが、厚労省局長の逮捕となり、それが一転、局長は無罪、取り調べた検事の証拠改竄による逮捕と、繰り返し意外な展開を見せた事件である。 本書は...
郵便不正事件で検事が証拠を改竄したというスクープを追う新聞社の舞台裏を描くノンフィクション。 最初は障害者郵便制度を悪用した事件で始まったものが、厚労省局長の逮捕となり、それが一転、局長は無罪、取り調べた検事の証拠改竄による逮捕と、繰り返し意外な展開を見せた事件である。 本書は、検事の逮捕につながる証拠改竄の証拠を新聞社記者が掴む部分の物語である。 スリリングで、検察というものの一面を知ることも出来る本、とは思う。しかし評価に迷うのは、自分が今ひとつ、この事件とはいったい何だったのかがわかっていないためだ。出だしの郵便不正事件はよろしくはないと思うが、巨悪か、と言われると考えてしまう。検察がなぜ、局長逮捕にそれほど執念を見せたのかもよくわからない。国会議員が黒幕であった、というストーリーを貫きたかったのなら、局長逮捕ではなくて国会議員逮捕を目的とすべきなのでは? 単独犯であると主張を変えた厚労省係長の動機って??? と、とにかく何だかわけがわからない。 また、本書は新聞社側からの話なので、検察からすればどうなのかが分からない限り、フェアとは言えないだろう。 ただ、スクープに胸はやらせつつも(別件)逮捕に怯える記者の描写には妙に説得力があった。 それと、本書を読みつつ、取り調べとか自供というのには、そもそも根本的に間違った部分があるんじゃないかなぁという印象が強くなった。取調室という、いわばアウェイで異様な状況に置かれたときの心理状態もさることながら、そもそも、人ってそんなに理路整然と考えて行動するわけではないと思うのだ。その上、記憶だってそれほどクリアなものではないだろう(少なくとも自分はそうなんだけど)。 だからあまりにもきれいなストーリーが出てくると、それだけでアヤしいような気がしてしまう。 ・・・何だか段々本書から離れてきてしまったが。 検事の上司が改竄を知りつつ隠していた容疑の裁判もこれから。この事件、どのように決着が付くのだろう?
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板橋記者の記者志望理由 「『される側』という視点で話を書きたい」 同記者の全国紙志望理由 「 記者力をもっと鍛え、埋れた不正を全国に向け発信したい」 野上英文記者の記者志望理由 「愚直に生きる人の応援歌を書きたいんです」 久木良太記者 「組織が崩壊しかねないネタを聞き出す信...
板橋記者の記者志望理由 「『される側』という視点で話を書きたい」 同記者の全国紙志望理由 「 記者力をもっと鍛え、埋れた不正を全国に向け発信したい」 野上英文記者の記者志望理由 「愚直に生きる人の応援歌を書きたいんです」 久木良太記者 「組織が崩壊しかねないネタを聞き出す信頼関係を築いてこそ、本物の特ダネ記者だと教えられた」 野上英文記者 「改竄疑惑の初報を書く日、そらまで控えていた前田元検事の自宅にコメントを求めて1人で向かった。玄関ドアの脇に子供用の傘やおもちゃがあるのを目にして、心がひるんだ」 「『…君と話しているところを見られたら、誤解される』。検察事務官の1人は、うらめしげに私を見た」 「別の検察事務官は、朝駆けで私を見るなり、唇をかみしめ、目に涙をためた。私は言葉が見つからず、最寄り駅までの5分間、無言で一緒に歩くしかできなかった」 高村薫の解説 「彼らが検察の犯した不正の核心に迫る過程は本もののスリルに満ちているが、それは同時に検察組織の一員である取材相手を傷つけ、裏切ってゆく過程でもある。真実を明らかにする闘いと言えば勇ましいが、現実には記者たちがそれぞれ取材相手との人間関係に悩み、また最終的に報道する段では、彼らは自身の身の安全まで本気で案じなければならなかったということである」
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