東京の街に出て来ました の商品レビュー
東京にいる友達に会いに行くとき、 いつも少しソワソワする。 そのソワソワは、その友達に対するものではなく、 「東京」に対する、ソワソワだ。 隣接県に住んでいるというのに、 今のぼくは、東京が日常ではない。 日常だったときもあって、 たぶん、そのときの皮膚感覚が、 でもある...
東京にいる友達に会いに行くとき、 いつも少しソワソワする。 そのソワソワは、その友達に対するものではなく、 「東京」に対する、ソワソワだ。 隣接県に住んでいるというのに、 今のぼくは、東京が日常ではない。 日常だったときもあって、 たぶん、そのときの皮膚感覚が、 でもあると思う。 まだ心を刺激するから、 垣内ひろしさんの「東京の街に出て来ました」は、 もともとブログで発表されたもの。 そのブログを最初に見たときから、 すっとハマってしまった。 冒頭の通り、隣接県生まれのぼくには、 「上京」という感覚は気薄なのだけど、 気薄なゆえに、憧れているところもある。 似たようなところでいうと、 方言がないから、方言を喋ることに憧れがあるのも、 同じかもしれない。 そう、ちょうど東京で働いていたときは、 「上京」してきた人とよく遊んだりしていたのだ。 その人は今はもう、東京にいなくて、 東京で会うことはないのだけど、 今でも、東京に行くと、その感覚が甦ってくる。 そして「東京の街に出て来ました」の雰囲気が、 そのときの感覚にすごく似ている。 垣内さんの「東京」を通じて、 ぼくは「上京」や「一人暮らし」ではなく、 それを思い出すのだ。 東京は大きなおもちゃ箱。 楽しいことも、せつないことも、 素敵なことも、間違ったことも、 ぜんぶしまった、おもちゃ箱。 だから、今でも、ソワソワするんだな。 そんな気持ちになるのです。
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