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なぜ、「回想療法」が認知症に効くのか の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2022/10/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

回想法について学びたくて取り寄せ 医療介護福祉の共同体で地域を支える活動として介護施設「おとなの学校」を展開いている社会福祉法人の理事長が著者 回想法をどのように取り入れて活用したかを説明 昔を思い出す道具、生活道具やおもちゃ、新聞、ツバキ油などの匂い、昔の歌など 脳のどこを使っているのかを感じてみる、高齢者こそ役割分担を、自分はすごいと思える瞬間を探そう、居心地のいい場所をつくる、昔を思い出し語り合うなどのテーマが並ぶ 誰かの役に立つということが脳は大好き、一定の役割を担ってもらうことが認知症予防 昔を思い出すことで人は自分のアイデンティティが継続していることを感覚的に理解、自分の居場所を再確認すれば人は安心する 学校という自分が最も輝いていた頃の「回想空間」に入り、プライドも自信も取り戻す 人生の中で最も楽しかった思い出は実は頑張った過去の中にある 学校という言葉に同じ「回想空間」を持つ、ほどよい緊張感が保てるとのこと 人が一瞬にして「あの頃」に戻る人生の物語を共有する大切さを繰り返し伝えている 「人は死ぬときにたくさんのことを周囲に教えていくのですよ。ですから、この時間を大切にしてください」という締めくくりの言葉があたたかい

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2019/05/24

・ただ振り返るだけでなく、回想の「場」という場所の設定が大事。高齢者だって、お年寄り扱いされるとプライドが許さないけど、「大人の学校」だと言われると学びたいという気持ちがでてくる。 ・部活動などを始めると生き生きとしてくる。高齢者にも「役割」が必要。役割を与えないから、高齢者は自...

・ただ振り返るだけでなく、回想の「場」という場所の設定が大事。高齢者だって、お年寄り扱いされるとプライドが許さないけど、「大人の学校」だと言われると学びたいという気持ちがでてくる。 ・部活動などを始めると生き生きとしてくる。高齢者にも「役割」が必要。役割を与えないから、高齢者は自分は疎外されていると感じ、「邪魔者あつかい」されていると感じる下人となっている。 ・人生の目標は「統合」。マズローなどの発達理論がでてくるとは思ってもいなかった。そういう視点から高齢者のケアを考えたことがあっただろうか?

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2014/09/12

専門家が行う「回想法」よりも、家族が担う回想法が一番ですよ、という主張。そこでの回想法の定義も厳密には異なることを断っている。 高齢者の尊厳、役割の重要性を踏まえた記述に好感が持てる。ところどころにある、コラムがとても「いい話」。 ・家族に対しての被害妄想も多い。これは認知症...

専門家が行う「回想法」よりも、家族が担う回想法が一番ですよ、という主張。そこでの回想法の定義も厳密には異なることを断っている。 高齢者の尊厳、役割の重要性を踏まえた記述に好感が持てる。ところどころにある、コラムがとても「いい話」。 ・家族に対しての被害妄想も多い。これは認知症の特徴で、認知力に限界があるため、身近な人のみの世界観になる。 ・お母さんは大丈夫だろうか、と心配し続けるのも、お母さんは大丈夫と信頼しきって生きるのも、その人の選択。そして、意外にもこの信頼が、認知症高齢者の自立を支えている。 ・将来のビジョンを描けなくなると人は抑鬱的になる。 ・誰かの役に立つことが脳は大好き。高齢者に社会の中で一定の役割を担ってもらうことが、一番の認知症予防。 ・バトラーは、高齢者が頻繁に過去を回想することに着目し、この回想には自然で普遍的な意義があり、未解決であった過去の葛藤の解決を図っているのではないかと考えた。=ライフレビュー ・回想法を歴史資料館で行う例もある。 ・回想法の本質は、そこで行われる「会話」である。 ・昔を思い出すことで、人は自分のアイデンティティが継続していることを感覚的に理解できる。 ・回想法は、昔を思い出し語ることで、今をつくり、仲間をつくり、安心できる心の居場所をつくる。 ・回想法には昔を思い出す道具が必要。 ・言葉のでないほど重度の認知症でも、歌なら歌えるという方はけっして少なくない。 ・グループホームに代表される「家」の良さを使った高齢者介護では、男性を元気にすることは難しい。 ・多くの男性にとって自分の居場所は仕事だった。 ・「楽」と「楽しい」のはき違え。その人の思い出の中で本当に楽しかったことは「楽」ではなく、「頑張った」こと。

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2012/04/30

「回想療法」となっているが、一般には「回想法」と言われている。5~8人で、昔使った道具・物・写真などを話題にしながら、順番に個々の思い出を語るだけ(週一回1時間×8回が目安)、司会者が楽しい場を作るように心がける。 ただそれだけなのに、認知症患者は、かなり状態がよくなることが知...

「回想療法」となっているが、一般には「回想法」と言われている。5~8人で、昔使った道具・物・写真などを話題にしながら、順番に個々の思い出を語るだけ(週一回1時間×8回が目安)、司会者が楽しい場を作るように心がける。 ただそれだけなのに、認知症患者は、かなり状態がよくなることが知られている。もちろん、認知症でない高齢者にとっても、元気がでたり、気分が明るくなったりと良い効果をもたらす。 おしゃべりすることは、それだけでも脳を刺激して良いのだけれど、何も話題がないと盛り上がらないし、人の悪口や愚痴になったり、宗教の勧誘になったりするのは困る。若い頃の思い出のグッズは、思い出とともに、若かりし頃生き生きしていた頃の気分をも呼び起こす。 著者の小山敬子氏は久留米大学医学部卒業、熊本市・東京港区南青山で介護施設を展開している。 いつも思うのだけど、実践している方の著作は、こなれていて解り易い。著者自らの体験談も書かれていて、大変興味深かった。 ポイントを要約: *未来予測の果ての「死」は、自らの居場所を奪う・・・昔を回想し自分の継続性を確認することで安心できる。「いままで生き抜いてきた。自分はすごい!」と思えるようになる。 *個人を相手とした回想法は、人生の未解決の問題が浮かび上がり、苦痛・不快も伴うライフレビューとなることもある。これは自我の統合をもたらすが、たいへん対処が難しい。グループで行うものは、そこまで踏み込まないので、楽しく行える。 抜粋: *親御さんと腹を割って話してください~介護をすることで精神的にボロボロになることなんかではないはずです。親御さんとの最後の時を味わうことです。 *看取りの時、ご家族の方へ「人は死ぬ時にたくさんのことを周囲に教えていくのですよ。ですから、この時間を大切にしてください」

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2011/04/08

新書ながら回想法ガイドというより、施設を運営する筆者の体験的介護論。世間や「業界」の常識に異を唱えているが、とても説得力がある。学校を模した施設運営、というのは認知症のケアや予防などにいろいろ応用できそうだ。

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2011/04/06

認知症に対して、回想療法がどのような効果があるか、が分かりやすく実例を挙げて書かれていた。回想療法は万能ではない、というスタンスであるように感じられたが、しかしながら、そこから得られる効果が、認知症の方だけではなく、家族にも影響がある、介護に対してポジティブになれる、という効果も...

認知症に対して、回想療法がどのような効果があるか、が分かりやすく実例を挙げて書かれていた。回想療法は万能ではない、というスタンスであるように感じられたが、しかしながら、そこから得られる効果が、認知症の方だけではなく、家族にも影響がある、介護に対してポジティブになれる、という効果もある、ということを知った。 また、男性の認知症の方について、従来の安らぎを与える方法論、みんなで歌を歌ったり、レクリエーションをしたりでは、かえって孤独にさせてしまう、という事例は良く考えれば確かにそうだろうな、と思うが思いつきはせず、勉強になる。仕事に真面目に取り組んできた人にとって、責任感をもって取り組むことが自己実現なのであって、レクをしても自己実現にはならんよなと。

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2011/03/06

精神科のプロが研究と実践を重ねてきた「回想療法」とは。介護施設「おとなの学校」を運営、回想療法による認知症治療に取り組んできた著者が、認知症の進行を抑え、家庭でも実践可能なその画期的方法を紹介する。

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