やわらかなレタス の商品レビュー
鱈、節分の豆、フライパンと目玉焼き、冬における温もりの象徴であるところの「あたたかいジュース」。食べ物にまつわる―ときには食べることとはちょっと遠い―あれこれを、明るく軽やかな口調でつづったエッセイ集。 相変わらず、仙人みたいな、高等遊民みたいな生活をしているらしい(笑)。最後...
鱈、節分の豆、フライパンと目玉焼き、冬における温もりの象徴であるところの「あたたかいジュース」。食べ物にまつわる―ときには食べることとはちょっと遠い―あれこれを、明るく軽やかな口調でつづったエッセイ集。 相変わらず、仙人みたいな、高等遊民みたいな生活をしているらしい(笑)。最後の文豪かもしれません。食に関しても、健康志向とは間逆をいくマイペースさを邁進していらっしゃいます。朝とお昼は兼用で、果物だけをたっぷり召し上がる。夜はバーやレストランでがっつりと。バターを「きっちりのせた」フランスパン、レーズンバターをそのまま、あるいはステーキやハンバーガー。春のめかぶをうっとり味わったりもするけれど、基本的にはワイルドで無軌道な食生活…という印象です。 面白いのは、これらの一風変わった嗜好に、なんのポリシーも理念もないところ。偏った食べ方をする人って、何かしらの目的(痩せるやら健康維持やら宇宙との邂逅やら)を持ってやっていることが多い。頭を使いがちな文筆家ならなおのこと、身体に直にリンクできる「食」のメソッドに頼りたくなるもんじゃないかと思うのです。しかしこの人は、そーゆーことを恐らく嫌悪しているのですね。むしろ食に興味ないんじゃないのと思うくらい、めちゃくちゃっぽい。 さまざまな行動においてあきらかに劣等生で(いわゆるぼんやりさん)、「おみそ」なキャラクターと愛嬌をもって社会に居場所を見出してきたという筆者。私もそういうタイプなので分かりますが、感じのよい「おみそ」として存在するためには、とてもたくさんのことを諦めなくてはならないのです。だからこそ食やライフスタイル、そして書くことといった譲れない部分に関しては、筆者は徹底的に我がままを通しているような気がします。そうした頑なさこそ、たぶん、私が江國香織を愛する理由です。
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江國香織のエッセイを読むと、 いつも結婚したくなる。 わたしがすきだったのは カップラーメンの話。 カップラーメンのパッケージを気に入っちゃって、 部屋に飾って、食べるふんぎりがつかなくなった江國さんに 同じものを5個も買ってくるだんなさんはすてきだ。 「もったいながってた...
江國香織のエッセイを読むと、 いつも結婚したくなる。 わたしがすきだったのは カップラーメンの話。 カップラーメンのパッケージを気に入っちゃって、 部屋に飾って、食べるふんぎりがつかなくなった江國さんに 同じものを5個も買ってくるだんなさんはすてきだ。 「もったいながってたべられないみたいだから」 って、なんていう、すてきな思いやり。 「変なの」とか「馬鹿じゃない?」とか言うんじゃなくって、 そのひとの目線にまで下りてきて、 望みをすくいあげてくれるような人とあたしも結婚したい。 甘やかされた妻になりたい。
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江國さんのエッセイ。 率直な感想は、すごく変わった人だなぁーと。 出てくる食べ物が美味しそう。 お酒を飲みながら読みたい本。 「自分」というものを見失いがちな今の時代、 自分に素直に生きている彼女が羨ましいし、憧れる。
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エッセイなのですが。大人の内容ですねぇ。大人にならないと、分らないコトって多いでしょうし、経験や体験をしないと、それなりのコトを書けないと思うのです。江國さんにとっては何気ない日常の中の出来事なのでしょうが、それを活字にして読むと、特別な日常のように感じられます。江國さんの言葉の...
エッセイなのですが。大人の内容ですねぇ。大人にならないと、分らないコトって多いでしょうし、経験や体験をしないと、それなりのコトを書けないと思うのです。江國さんにとっては何気ない日常の中の出来事なのでしょうが、それを活字にして読むと、特別な日常のように感じられます。江國さんの言葉の表現力の素晴らしさがそうさせるんですよねぇ。
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美味しいものが食べたいと思わせてくれる本。 それも特別なものでなくて、家庭料理がいい。 彼女の恋愛ものは好みでないので読んでいないが、このエッセイは やわらかな文体で、読みやすい。 表紙のデザインも、タイトルと内容にぴったりだと思う。
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日常の話だけかと思いきや、そこにひょっこり顔を出す食べ物達。 ひょっこりどころか、存在を大きく主張している話も 多々ありましたがw 子供の頃美味しいだろうと想像したものや 大人になってから初めてしったもの。 衝撃なものから、そうでないものまで。 最後の某うさぎのレタス話は、なる...
日常の話だけかと思いきや、そこにひょっこり顔を出す食べ物達。 ひょっこりどころか、存在を大きく主張している話も 多々ありましたがw 子供の頃美味しいだろうと想像したものや 大人になってから初めてしったもの。 衝撃なものから、そうでないものまで。 最後の某うさぎのレタス話は、なるほど! な納得でした。 自分達と同じ、と考えてはいけません。 ちょっと、どころでなく「さすらいのウェイター」の その後が気になります。 どこかでまた出会えたのでしょうか? それとも、さすがにウェイターは転職してしまったのでしょうか? 違う現場で、違う職業で出会ったら、それはそれで面白いかと。
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食べ物に関するエッセイ。 江國香織さんの小説の中でも食事の描写が特に好きなので、この本はほんとたまらない気持ちになります。 休日の朝に、お風呂に入りながら、ランダムにページをめくって読む。至福のひと時です。 「さすらいのウェイター」のおはなしが一番好き。
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食べ物エッセイということで読んでみた。魚にはそれぞれイメージがある。と、鮭はやさしそうとか擬人化してみせるくだりがあったが、すごく共感できて面白かった。
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エッセイ集。 レタスの話は出てこないが7、8割食べ物、料理にまつわる話になっている。 江國香織作品の延長のような世界。 エッセイと言いながらどこか物語的で、江國香織という感性が出来上がった理由を垣間見た気がする。 だんなさんや妹さんの話も出てきてプライベートな姿をあらわ...
エッセイ集。 レタスの話は出てこないが7、8割食べ物、料理にまつわる話になっている。 江國香織作品の延長のような世界。 エッセイと言いながらどこか物語的で、江國香織という感性が出来上がった理由を垣間見た気がする。 だんなさんや妹さんの話も出てきてプライベートな姿をあらわにしているはずなのに、どうしてかやはり体温を感じない。 悪い意味ではなく、作り物めいた日常風景が、すみずみまで江國香織。 作品とのギャップがあったとしても面白いかもしれないけれど、江國さんの場合は彼女自身が作品の一部であるこんな世界がぴったり合っている気がした。 おなかがすく。
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実にかわいいエッセイ。 ほんとに、ほんとに、ほんとに、楽しめた。 クスクス笑いを我慢するのがひどく大変。 鱈、アスパラガスの話は、同意し過ぎで首痛い!
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