末裔 の商品レビュー
生きている人間は修正が利くが、死んだ人間のことなんか間違えて覚えていたらそのまんまじゃないか。 今までは気持ち半分で両親や叔父母の先祖についての話を聞いていたがこの一文で先祖についての意識が変わりいまは先祖についての話を深く聞きたいそう思う。 鍵穴が消えているという不思議な出来...
生きている人間は修正が利くが、死んだ人間のことなんか間違えて覚えていたらそのまんまじゃないか。 今までは気持ち半分で両親や叔父母の先祖についての話を聞いていたがこの一文で先祖についての意識が変わりいまは先祖についての話を深く聞きたいそう思う。 鍵穴が消えているという不思議な出来事から省三の中の心境が少しずつ変わっていく物語。不思議な点はいくつかあるがそれも読み切るまで違和感は感じなかった。そう言うところを自身で噛み砕くのもまた一つの楽しみではないか。私はまだ若輩で省三ぐらいの年齢で読んでいたらもっと違うように思えたのかな、そう思いまたきたる時に再読したいと思った。
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「村上春樹で読むべき本がなくなっても、我々には絲山秋子がいるから大丈夫」みたいな紹介文をどこかで見て、関心がわいて、読んでみました。いやー、おもしろかった! ユーモラスななかに深い洞察が垣間見えて、またそのうち再読したいと思いました。【2023年8月21日読了】
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なんと不思議なお話。自分の家の扉の鍵穴が無くなるんだから。向こうの国とこっちの国が交流する。過去と現在が交流する。
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47:「家の鍵穴が消滅する」という不条理。幻想的な雰囲気と世知辛いリアルの狭間で、細い糸を辿るように自らのルーツを遡る主人公。絲山さんの作品に特有のブラックさより、佐久の地で見た雄大な空に代表されるような開放感を強く感じました。自分の前にも後ろにも、目が眩むように大きく広い流れが...
47:「家の鍵穴が消滅する」という不条理。幻想的な雰囲気と世知辛いリアルの狭間で、細い糸を辿るように自らのルーツを遡る主人公。絲山さんの作品に特有のブラックさより、佐久の地で見た雄大な空に代表されるような開放感を強く感じました。自分の前にも後ろにも、目が眩むように大きく広い流れがある。「そう考えたら俺なんかまるでどこにもいないようなもんだ」と誰もが感じ、その誰もが流れの一部を作っている。壮大で雄大で、まさに「末裔」というタイトルが相応しい、家族の物語でした。
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妻を失い、子供達にも構ってもらえない主人公の男性の話が、鬱々と進むのに、最後の展開についていけなかった。 結局、人間は基本、楽観的ってことかな。
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家に入ろうとしたら、鍵穴が無くなっていた。入れない。 その瞬間から、不思議な場所、人達との出会いが始まる。 放浪の末に、手に入れるもの、気づくこと。 深い。
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「末裔」(絲山秋子)電子書籍版を読んだ。これは面白かった。シャガールの絵みたいな幻想的で淡く優しい光を感じさせるね。要約すると『わたしはどこから来て、わたしは何者で、そうしてわたしはこれからどこへでも行けるんだ。』って確認と再生の物語。適度な不条理さと適度なユーモアが絶妙です。
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自分の家に入ろうとするが鍵穴がない。困っているところで不思議な男に出会い、泊まるところを紹介され一息をつく。しかし数日たつとそのホテルも跡形なく消え、今は誰も住んでいないと思われるが昔お世話になった叔父の家がある事を思い出し、電気も通わない家に泊まる事にする。そんななかで自分の親...
自分の家に入ろうとするが鍵穴がない。困っているところで不思議な男に出会い、泊まるところを紹介され一息をつく。しかし数日たつとそのホテルも跡形なく消え、今は誰も住んでいないと思われるが昔お世話になった叔父の家がある事を思い出し、電気も通わない家に泊まる事にする。そんななかで自分の親の事、親戚の事、家族の事を考える、どんどん不思議な人との縁がうむ出来事に巻き込まれていくという不思議なお話でした。
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絲山秋子の長編。家族であることとは、を、定年間近の省三の視点から描く。父や叔父、自身の生い立ちを辿りつつ、最後に戻ってくるまでの話。メモ。(1)何かを始めるということ。それは本当に恥ずかしいことだ。…でも、一度位いいではないか(2)が待っていたのは終わりじゃなくて変化だったのかも...
絲山秋子の長編。家族であることとは、を、定年間近の省三の視点から描く。父や叔父、自身の生い立ちを辿りつつ、最後に戻ってくるまでの話。メモ。(1)何かを始めるということ。それは本当に恥ずかしいことだ。…でも、一度位いいではないか(2)が待っていたのは終わりじゃなくて変化だったのかもしれない。
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絲山さんが長編を書くとこうなるのか、という新鮮さ。 何にしても絲山さんの小説に出てくる人物は当たり前の感性を当たり前に具えていて、それなのにちゃんと一人の人間であるというあたりまえの個性があって好き。 定年間近、妻を数年前に亡くし子供二人も自立して家にはいない。そんな家(ごみ屋...
絲山さんが長編を書くとこうなるのか、という新鮮さ。 何にしても絲山さんの小説に出てくる人物は当たり前の感性を当たり前に具えていて、それなのにちゃんと一人の人間であるというあたりまえの個性があって好き。 定年間近、妻を数年前に亡くし子供二人も自立して家にはいない。そんな家(ごみ屋敷)の鍵穴がある日突然塞がってしまい、入れなくなる。 現在の「家」に入れないのなら自分が属するもうひとつの「家」をたどってみようと思うのは自然な流れかな。 この人大丈夫なんだろうか、と思って読み進めていたけど最後は明るく終わってくれて安心した。
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