小指のおかあさん の商品レビュー
聴者の夫婦、聴者の長男がいる家族の元に生まれてきた次男は、耳が聞こえない子だった……そのとき母親(著者)はどう思ったかが赤裸々に語られています。「手話」と出会ってからは、玉田家の子どもたちの成長と、手話で教育をする明晴学園(斉藤道雄さんの『手話を生きる』でも紹介されていた学校)が...
聴者の夫婦、聴者の長男がいる家族の元に生まれてきた次男は、耳が聞こえない子だった……そのとき母親(著者)はどう思ったかが赤裸々に語られています。「手話」と出会ってからは、玉田家の子どもたちの成長と、手話で教育をする明晴学園(斉藤道雄さんの『手話を生きる』でも紹介されていた学校)ができるまでの詳しいいきさつが描かかれていきます。 「ごみ」と「コピー」の口形が似ている、というのはどこかで聞いたことがありました。「これ、コピーして」を「これ、ごみにして」と間違えて、必要な書類を捨ててしまったとか。 「池田さんは、手話教授法を習得し、相手に合わせて話のレベルを変えるフォリナートークを使いこなすことができる優秀な日本手話指導者でした。」(p47)には、講座の先生の手話が分かりやすいことに改めて納得できました。読み取りやすいように話してくれている、とは感じていましたが、そういう教授法があるんですねぇ。 また、石原元都知事が明晴学園の設立を一歩前進させてくれていたとは、何とも意外でした。どうにも苦手なイメージを持っていて、都民はなぜこの人に投票したのだろう?と疑問に思っていたのですが、評価できる足跡に対しては素直に認めるべきですね。言動や政策が自分の考えとまったく合わない人でも、意見が一致することもあるのだなぁと不思議な気持ちです。
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2014年14冊目。 耳が聞こえないろう児の息子を授かり、手話で教育を行うろう児学校がないことに疑問を抱き、設立するまでの母親の奮闘記。 新しいやり方に理解を示さない教育者たち、 動かない行政、 集めなければならない4500万円... 課題山積の中でも、 度重なる街頭募金、...
2014年14冊目。 耳が聞こえないろう児の息子を授かり、手話で教育を行うろう児学校がないことに疑問を抱き、設立するまでの母親の奮闘記。 新しいやり方に理解を示さない教育者たち、 動かない行政、 集めなければならない4500万円... 課題山積の中でも、 度重なる街頭募金、 近隣へのチラシのポスティング、 参加した講演会の質疑応答全てで挙手し、1分間のプレゼンテーションをやり続ける... やれることを全てやり切って、ついに夢が叶う。 まだまだ自分にもやれることがあると思った。
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元TBSキャスターで放送作家の玉田さとみさんが、聴覚障害児の次男を手話で教育させたいという思いから、自分たちの手で手話教育を行う学校を設立するまでのエッセイ本です。 本のタイトルから、ろう児の子育て本なのかなと思いましたが、そうではなく、大半がこの学校を設立するまでの苦労話とな...
元TBSキャスターで放送作家の玉田さとみさんが、聴覚障害児の次男を手話で教育させたいという思いから、自分たちの手で手話教育を行う学校を設立するまでのエッセイ本です。 本のタイトルから、ろう児の子育て本なのかなと思いましたが、そうではなく、大半がこの学校を設立するまでの苦労話となっています。 元TBSのキャスターの玉田さんのことは、私は知りませんでしたが、興味深く読むことができました。 ただ、今までのろう学校、ろう教育の在り方を一方的に批判する言動にはあまり好感が持てません。 現在も、全国にあるろう学校では口話法の教育が一般的で、手話教育が行われていない、 それをどうにかしたい、自分の息子にはく手話教育をさせたい!というその思いはよく分かりますが・・・ 手話教育を行う学校を設立する為に、諦めず、努力し続ける姿には、熱いものを感じました。
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公立聾学校で手話は禁止されている~次男が1歳9ヵ月のとき重度難聴と診断され,日本手話での子育てを選択し「全国ろう児をもつ親の会」を立ち上げ,フリースクールをNPO法人にして,日本で唯一の「手話で学べる私立ろう学校」を設立した~私が知らないと云うことは,何処かの誰かが意図的に情報を...
公立聾学校で手話は禁止されている~次男が1歳9ヵ月のとき重度難聴と診断され,日本手話での子育てを選択し「全国ろう児をもつ親の会」を立ち上げ,フリースクールをNPO法人にして,日本で唯一の「手話で学べる私立ろう学校」を設立した~私が知らないと云うことは,何処かの誰かが意図的に情報を流していないということか,発信者の努力が足りないということか。まあ良かったねという感覚だが,何が良かったかというと規制緩和の波が小泉さんの時に起き,都知事が石原さんでちょっと興味を持って貰えて,聾児が千人に一人という比較的高い頻度で現れる点だろうか。孫の耳が聞こえないと知って,凛とした祖父ちゃんが俺の耳をやるから,移植できる医者を捜してこいという部分が泣ける。しかし,教育課程を造る段階で聴者がだけが関わっているのだろうか,聾者の意見は聞かないのだろうか,手話を禁じた人の反論を知りたい
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
玉田さとみさんの「小指のおかあさん」は、玉田さんの次男で聴覚障がいのある宙さんの誕生と子育てについて、そして、日本初の手話で学べる学校「明晴学園」設立までの道のりについて書かれた本です。涙したり、温かい気持ちになったり、うなづいたり、いろいろな思いを抱いた本でした。 本書の帯には、「あきらめなければ、夢は叶います」と書かれています。 読み終えて感じたのは、「あきらめない」ということは、単純に「気持ち」の面であきらめないというだけでなく、「どうしたら実現できるか」を考えて、実践していく、壁にぶつかっても実践を続けていくことなんだろうなぁ。と思いました。 私は、気持ちだけで行動しがち。 特に明確なゴールの設定がなく、 もちろん戦略もきちんと立てたりしていないです。 「これは、取り組んでみたいことだわ。うん、よし、やってみよう」。 みたいなノリだけで行動して、うろうろしています。 行動したことを後から後悔することはないけれど、でも、それだけではダメなのかもしれないと、最近、思うようになりました。 素敵だなと思う人たちは、自分の事業を起こしていたり、自分のブランドを確立していたりします。ゴールが明確で、ゴールに到達するために戦略をたてて、思考錯誤しながらでも、進んでいってるように見えます。 取材や情報発信をする人は、人と人の間を情報でつなげる媒介者です。 いわば「他人のふんどしで相撲をとってる」ので、「あなたは何をしている人?」と問われた時に答えることが難しいです。 それにしても、私自身は何をどうしたいのか、もう少し明確に、ゴールと戦略について考えないといけないように思います。 何をどうしたらよいのか、まったく見えていませんが!\(◎o◎)/! 夢を実現するためのステップとして、参考になったは、玉田さんたちが実践した4つの活動です。 1:問題点を整理する(問題の数値化、見える化) 2:専門家になる(どんな質問を受けても答えられるようにする) 3:行政への要望 (一方的なお願いをするのではなく、相手が賛同したくなるような材料を用意する) 4:新しい分野を創りだす(新しい価値観の創造、賛同する人たちを仲間に) 自分たちの活動や要望について伝える具体的な手法「1分プレゼン」のアイデアも、「なるほど」でした。 自分の思いを、一方的に発するだけでは、相手には届かないということ。 相手の心に響くように、そして、相手が共感し、自分の活動に賛同したり、協力してくださるように伝えることが大事ということ。 この点も、心にとめておきたいと思ったポイントでした。
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(No.11-39) エッセイです。 内容は著者紹介を読んでもらうとわかると思うので、転載します。 『1962年東京生まれ。日本女子体育大学卒。TBS情報キャスターを経て放送作家。99年に次男がろう児と診断されたことをきっかけに日本のろう学校の現状を知り「全国ろう児をもつ親の会...
(No.11-39) エッセイです。 内容は著者紹介を読んでもらうとわかると思うので、転載します。 『1962年東京生まれ。日本女子体育大学卒。TBS情報キャスターを経て放送作家。99年に次男がろう児と診断されたことをきっかけに日本のろう学校の現状を知り「全国ろう児をもつ親の会」を設立。03年にデフ・フリースクール「龍の子学園」のNPO法人化を支援。70年以上、手話が禁じられてきた日本のろう教育界で数々の壁を乗り越え2008年4月、東京都の教育特区として「日本初!ろう児を日本手話で教育する」学校法人明晴学園を設立。集めた寄付金は約1億1千万円。日本のNPOの資金調達に1つの事例を残した。 子育てエッセイ「小指のおかあさん」で第6回こども未来賞受賞 日系ウーマン「ウーマンオブザイヤー2009」リーダー部門入賞』 この本は著者の次男が生まれてから、明晴学園設立までのことが書かれています。題名の意味は読むと分かります、素敵だと思いました。 私は手話は出来ませんが、言語に関心があるのでわりと手話の知識はある方だと思っていました。 でもやっぱり当事者の話には驚かされることがたくさん。 特に著者の次男が生まれたのは1998年のことだということに衝撃を受けました。 何十年も前ならいざ知らず、ほんの少し前なのにろう児に対する扱いは昔と全然変わってなかった。(私はすごく昔のろう教育のマンガを読んだことがあって・・・。)そして今もということ?だって明晴学園の教育は「日本初」のやり方なんだから。 手話が出来る人はそんなに多くないかもしれませんが、「手話」という話しかたがあることはもはやほとんどの日本人の知識として広まってると思う。 そしてろう者が近くにいない人は漠然と、「ろう学校は手話を使って教育してるのかなあ」とか思ってない? 私は30年位前には、そうじゃないってことは知ってました。ろう学校は極端に言えば、普通の学校で教える算数とかの学科より何より重要なのが「口話」なのだと。口の動きで何を言っているのかを読み取り、自分の耳では聞こえない「声」で話が出来るようにする、これがろう教育の最大の目的。だからその妨げになる手話は禁止!手話を使ってたら、口話が上達しないから。 だけどその後手話がかなり一般に知られるようになったし、ろう学校でも手話は禁止してないらしいよと聞いて、ずいぶん前進したんだなあと思ってたの。 全然違ってた・・・。教育方法は昔と一緒。玉田さんたちが手話で教えて欲しいとどれほど訴えても、異端視されるだけ。ともかく行政も教育委員会も、全部従来の教育方針を堅持してきた人たちの集まりなので(しかも頭カチカチ)、何を言っても聞く耳を持たない。なんかこの言葉象徴的だわ、耳が聞こえる人たちなのに「聞く耳を持たない」なんて。 子供たちのために自分たちで学校を作ろう、それしかない。関係者の方々の頑張りには、頭が下がります。 聞こえる子は日本で育てば母語は日本語。普通の学校で普通にやっている日本語での教育に匹敵するのは、ろう児にとっては日本手話での教育。手話で教育しつつ、彼らにとっては外国語に等しい「日本語の読み書き」も教える。 この当たり前のことを実現するために、なぜこんなに頑張らなくてはいけないのか。悲しいですね。 これだけ頑張ってもまだ日本では明晴学園しかありませんが、早くろう児の教育は手話でやるのが当たり前になって欲しいと思いました。
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次男が重度難聴と診断された著者が、家族や仲間達と手話で学べるろう学校を設立するまでが書かれている。手話はろう学校で教えてもらうのではないそうだ。著者も驚いたそうだが、私もまったく知らなかった。この本を読んではじめて難聴の子供達の教育について知った。著者は、なぜ手話で教育をうけるこ...
次男が重度難聴と診断された著者が、家族や仲間達と手話で学べるろう学校を設立するまでが書かれている。手話はろう学校で教えてもらうのではないそうだ。著者も驚いたそうだが、私もまったく知らなかった。この本を読んではじめて難聴の子供達の教育について知った。著者は、なぜ手話で教育をうけることができないのか、という素朴な疑問から、同じ境遇の親達や仲間の人達と話し合い、行動をおこしていく。日本中で孤軍奮闘している親達。次々と立ちはだかる壁を一つ一つ乗り越えていく原動力となったのは、やはり元気に成長していく子供達の姿であっただろう。耳の聞こえる兄と聞こえない弟、それぞれが影響しあいながらたくましく成長していく姿も書かれていて、子供ってすごいなぁ、とあらためて思う。と同時に、障害というのがいったいどういうことなのか、と考えてしまう。完璧な人間がいるのだろうか?得手不得手があり、いろいろなタイプがあるのが当たり前で、それらを補い合って生きているのが人間社会なのではないかなぁ。すぐに読めるけれど、いろいろ考えさせられる本だった。手話では、人差し指で軽くほおに触れ、小指を立てると「おかあさん」なのだそうだ。初めてその小さな手で「おかあさん」と呼んで走ってきてくれたわが子をを抱きしめた時の玉田さんの気持ちを思うと、胸がいっぱいになる。私がこの本を読んだからといって何か変わるわけではないけれど、何かを知って心の中にもっていることは大事なことだと思う。多くの人達が色々なことを知り、考え、心の内に持っていることで少しずつ社会が変わっていくと思うから。
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