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ハーモニー の商品レビュー

4.3

661件のお客様レビュー

  1. 5つ

    287

  2. 4つ

    213

  3. 3つ

    78

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    4

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2020/07/05

よく練られたストーリー。そして充分にあり得るハードボイルドな未来図をみせてくれる。人間最大の欲求の一つである健康を保つために体にインストールされるWatchme。バックドアさえ仕掛けられていなければ自分もインストールしてほしいとさえ思うアイテム。更には意識さえ無効化されてしまう裏...

よく練られたストーリー。そして充分にあり得るハードボイルドな未来図をみせてくれる。人間最大の欲求の一つである健康を保つために体にインストールされるWatchme。バックドアさえ仕掛けられていなければ自分もインストールしてほしいとさえ思うアイテム。更には意識さえ無効化されてしまう裏コードが仕掛けられていてそれを発動させるために人類を人質に取る発想。個人情報の保護に過敏になっている現代の風潮を真逆にそしてとても説得力を以て描かれている。 最後はなんとも言えない空虚なハッピーエンド。 氏の描く独特な世界観は現代と密接していてとてもリアルな面もあり、濃厚な背景描写からも氏の知識の高さが伺われる。

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2020/07/02

「脳にある『有害な』思考」を制御出来たら、理不尽な事件や戦争などで哀しむ人を減らせるのだろうか。 毎年無為に命を落としていく何百万の魂のために、魂のない世界を作ろうとした哀しき彼女。 意識があるから哀しむのか。 その哀しみは何も見出さないのか。 だとしても私は哀しみたい。 絶...

「脳にある『有害な』思考」を制御出来たら、理不尽な事件や戦争などで哀しむ人を減らせるのだろうか。 毎年無為に命を落としていく何百万の魂のために、魂のない世界を作ろうとした哀しき彼女。 意識があるから哀しむのか。 その哀しみは何も見出さないのか。 だとしても私は哀しみたい。 絶望の中の光を見出したい。

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2020/05/02

夭折の作家、伊藤計劃さんの遺作。「虐殺器官」よりわかりやすい話だった。不完全な人類の向かう先を描く作品。おもしろすぎた。

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2020/04/18

「わたし」とは何か 「意識」とは何か 「幸福」とは何か グイグイと惹かれて読み進めながら、 めちゃめちゃ考えさせられる、 そんな作品です。 何とも言えない余韻を残すラストも必見。

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2020/04/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

虐殺器官が好きだったから、これも読んでみたが、どこか気持ち悪さを感じる。 世界観はリンクしていると思うのだが、学生の時か、もう少し年を取ったタイミングに読んだらまたイメージが違ったのだろうか。 主人公たちが、ライ麦畑で捕まえての奴みたいであんまり好きになれない。

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2020/02/29

『すばらしき新世界』と同様の世界観をベースに、安心、安全で、完璧な絶望的世界を舞台としている。生命主義によって身体という個をシステムに同化させ、身体についての個を放棄した世界の中で、最後に人間に残された個である意識についての探究をしている。意識は生物としての自然選択の結果であると...

『すばらしき新世界』と同様の世界観をベースに、安心、安全で、完璧な絶望的世界を舞台としている。生命主義によって身体という個をシステムに同化させ、身体についての個を放棄した世界の中で、最後に人間に残された個である意識についての探究をしている。意識は生物としての自然選択の結果であるという、これまでの人類の有史以来の意識への探究に終止符を打つかのような科学的事実に対し、意識のない世界の効率性と、それに対して嫌悪感を感じざるおえない生物としての人間という感覚を読者に突きつける。また、etmlという空想のマークアップランゲージを用いてテキストが構成されており、それがエピローグでメタ的な構造に繋がっている事で読者と小説内世界との境界さえも曖昧にしていく。SF界に「伊藤計劃以降」という言葉が存在するのがうなずけるほどに完成度の高い、ユートピア的ディストピア小説。

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2020/02/21

途中から、ストーリーが急に方向転換したように感じたけど、すごくすきな物語。 これが1番のすきな台詞。 このからだも、このおっぱいも、このおしりも、この子宮も、わたしのもの。

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2020/01/17

「虐殺器官」で衝撃を受け続けて読んだ長編二作目。前作と毛色は違うが間違いなく傑作。 なんだろう、この作品全体を覆うような違和感。生活感のない部屋の居心地の悪さに似ている。 著者の創造する世界観と言葉や意識を追及する内容が素晴らしい。綿密なストーリー、哲学的なセリフ、現代社会へのメ...

「虐殺器官」で衝撃を受け続けて読んだ長編二作目。前作と毛色は違うが間違いなく傑作。 なんだろう、この作品全体を覆うような違和感。生活感のない部屋の居心地の悪さに似ている。 著者の創造する世界観と言葉や意識を追及する内容が素晴らしい。綿密なストーリー、哲学的なセリフ、現代社会へのメッセージ性。どれをとっても一級品。これ程の才能の持主が早世したのは悔やまれる。純粋にこの人の小説をもっと読んでみたかったという思いだ。

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2019/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み上げた所で、ふと、私は日本現代文化に強く影響されたなと感慨みたいな事を思った。私の思案が『調和計画』に似ている。結果と過程は違うが、目標が略一致だ。御冷ミァハは自然な意識を除去して、人類を統一して、人類が自明に行動する生命主義の社会を創建しようと革命した。私は意識を連結して、人類を統一して、意識が一体化した社会の創設を目論でる。そもそも私の思案の源頭の一つは富野由悠季が思考した新人類が理解し合い得るという着想だ。 批評しなければならない一点は物語を語るが未だ拙い。

Posted byブクログ

2019/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人間が社会化されて、何もかもがオープンになっていて。誰もが人に優しく。病気もなく。葛藤もなく。 それが、虐殺器官後の世界。 ミァハは「優しい世界」を変えようとするのだけれど、失ったものを取り戻す、のではなく逆の方向へ向かう。 種が存続するためには「個」も「意識」も必要ない、と。 気持ち悪いけど分かるような気もしてくる。 意識のない状態で営まれる世界。 それは存続することに意味があるのか? 何とも言えない… 著者は「この先の言葉をみつけられなかった」と言っている。みつけてほしかったなあ

Posted byブクログ