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ハーモニー の商品レビュー

4.3

661件のお客様レビュー

  1. 5つ

    287

  2. 4つ

    213

  3. 3つ

    78

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    4

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2021/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

キアンが実はただの腰巾着ではなく、誰よりも大人だったことに気づいたトァンがそこから真相に迫りつつ、復讐心を抱いていたこと、真相に迫りながら意識、意志の存在を理屈として否定しながらも復讐心という意識の産物を抱えている姿が、どうしようもなく人間らしい と感じることが、ハーモニーであることを妨げる 人は一体であることを望んでいるんだろうか? 少なくとも一体感は大事にされている? だが意識があれば一体となることはできない そして意識を失うことは耐え難い 故に人は一体になれず、一体感を目指して苦しい思いを抱いている ということを切実に描いた小説だと受け止めています

Posted byブクログ

2021/04/21

虐殺器官に引続き読了。 虐殺器官を読んでいたから、読みたい気持ちと怖さがあった。 そして案の定あっという間に引き込まれて、そして今、押し寄せる読後感に圧倒されている。 頭の中を駆け巡る、答えの無い問い。 虐殺器官の時もそうだった。こうやって本を読み終えてもなお、その世界を垣間見な...

虐殺器官に引続き読了。 虐殺器官を読んでいたから、読みたい気持ちと怖さがあった。 そして案の定あっという間に引き込まれて、そして今、押し寄せる読後感に圧倒されている。 頭の中を駆け巡る、答えの無い問い。 虐殺器官の時もそうだった。こうやって本を読み終えてもなお、その世界を垣間見ながら考える。本の世界が続いている感じ。 そして何より、作者が死を前にこれを書いていたことを、どうしても意識せざるを得ない。 そうして読んだ時の文章の重みをどう表せば良いのか、それだけの術を私は持ち得ない。

Posted byブクログ

2021/04/10
  • ネタバレ

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2010年に書かれたとは思えない本。これからこの本に書かれたようなことが起こっても決しておかしくないと思った。この本を読んでから電子決済が怖くなってしまった笑

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2021/04/08

虐殺器官もそうですが、世界観の完成度が高すぎる。 設定や起こる事件はなかなかぶっ飛んでいるのに、今の世界から地続きであり得そうな違和感の無さがすごい。

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2021/03/21

細かい部分は読み飛ばしたから完全に理解したとは言えないんだけど、ストーリーの大筋はとても興味深くて面白かった。私はこういう、人間の心理とか、生きることの意味とか難しさとか、考えても答えが出ないような、正解がないような、哲学者たちが考えていたような問いについて思いを巡らすのが好き。...

細かい部分は読み飛ばしたから完全に理解したとは言えないんだけど、ストーリーの大筋はとても興味深くて面白かった。私はこういう、人間の心理とか、生きることの意味とか難しさとか、考えても答えが出ないような、正解がないような、哲学者たちが考えていたような問いについて思いを巡らすのが好き。ある一つの考え方があって、それに対して反対する人も賛成する人もいて、また、ある一点までは同じ道だったのに途中から分岐することもある。ずうっと昔から変わらないんだろうなと思う。意識が奪われたら生きる意味はないのでは、って、反射的に思ってしまうけど、「意識をもって」「苦しみや喜びを感じながら」生きることにだって意味があるのかと問われたら、どう答えて良いかわからない。その時々で生きるために必要な機能をインストールしながら生存してきた。不要なものはアンインストールされるべきなのかもしれない。進化って不思議で面白い。

Posted byブクログ

2021/02/21
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21世紀後半、大災禍により従来の政府は 生府となり生命主義の健康社会を保つために、 人は大人になると個人用医療薬精製システム (メディケア)を使用し『公共物としての身体』を 大切に扱うというルールの下で生活している。 「ただの人間には興味がないの」(P22)と言い放つ 御冷ミァハ、ミァハに心酔する主人公・霧慧トァン、 2人の友人の零下堂キアンは、自殺を試み、 結果、ミァハだけ自殺は成功する。 大人になったトァンはWHOの螺旋監察官となり、 僻地で世界のルールを犯しつつ働いているが、 日本に戻されてしまう。そして、彼女の目の前で 大事件が起こる。 最後に人類は何を得て何を失うのか。 SFは苦手分野ですが、もともと存在するWHOの 人間が主人公ということもありとても 読みやすかったです。 三人の少女もそれぞれ個性的で全員厨二病かな?と 思わせつつ、それぞれのバックボーンもしっかり 描かれていました。10代なら御冷ミァハのことを 好きになっただろうなー。 スイーツを好きなように食べられず、 やせた人も太った人もいない世界はさぞ 味気ないでしょうね。私には無理だ。

Posted byブクログ

2021/02/14
  • ネタバレ

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選択する必要すらない理路整然とした世界、世界全てが一つとなり、調和した世界。 それは究極の幸せなのか。何もかも「全」となったとき、「個」とはなんなのか。それは「死」とどう違うのだろうか? 感情メタ言語etml記述が、ラストで効いてくる構造がすごい。 HTMLがわかる人なら、感情という概念がない世界で、タグ付けでで感情を指定すると言う表現が実感をもってわかって、とても面白いと思う。

Posted byブクログ

2021/01/06
  • ネタバレ

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前作の『虐殺器官』が合わず、積読すること10年。何を思ったか読み始め、一気に読み通した。 舞台は21世紀の後半。〈大災禍〉と呼ばれる核戦争、その後の未知のウイルスの発生、放射線による癌の蔓延を経て、世界は各国政府による統治ではなく、医療合意共同体である生府による政治形態に移行した。すなわち、健康を至上命題とし、体内に埋め込んだ医療システムによる常時監視である。体に悪いことは警告が発せられ、食事はデータ化、体内の異常にはシステムから自動的に修復プログラムが送信される。これにより、ほぼ全ての病は駆逐され、老いすらも克服されようとしている。ウイルス蔓延後の世界…。今の時期にこれを読むと、どうしてもアフターコロナの先取りをSFがしているように思えてしまう。 ユートピアのようではあるが、一切の嗜好品は禁じられている社会である。人々は、それが禁じられていることにも気がついていない。なぜなら、最初から選択肢にないからであり、何を食べるか、どんな運動をするか、いつ寝るか、そのような選択をすることはシステムに外注しているからである。ディストピアは、本人たちが気が付かないうちにそこに現れる。 身体の監視により、健康に悪い生活習慣を一掃した社会が次に考えたのは、意識の制御であった。脳も身体の一部であるなら、そこから派生する意識をも制御することにためらいはない。苦しみや絶望、葛藤を取り除き、調和のとれた意思を再設定する計画「ハーモーニー・プロジェクト」。その結果は…。 このくだりを読んだ私は、本当に驚き、また納得した。ああ、なるほど、そうなるよね。しかも、そうなっても当人の生存に全く影響はなく、周囲の人間は気がつかないという。怖!怖すぎる。 ラストで、本書はetmlというテキストコードで書かれたものであることが明かされる。たしかに、ところどころhtmlのようなコードが記され、感情を表す英単語が挿入されていた。読書中は変わった趣向だなくらいに思っていたが、実はそれすらも大きな仕掛けであったことが判明する。 今さらながら、凄いSFを読んでしまった。

Posted byブクログ

2020/11/23
  • ネタバレ

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友人に勧められて購入。 初めて読む作家さんだった。 作者が闘病生活の中で作品を書き、その後亡くなっていることを聞いていたせいかもしれないが、文章に隙がなく、キリキリに巻かれたネジのように、自らの命を削って描いている印象を受けた。 近未来、私たちも本作に描かれているように、全てを管理された生活になるような気がしないでもない。 管理された健康で生きていくことは幸せなのか? 疑問を持つことは罪なのか? 考えさせられる。 セットのようになっているらしい「虐殺器官」も読んでみようと思っている。

Posted byブクログ

2020/09/13

ラストが悲しくも美しい、と思った。 で、何が悲しくて何が美しいのか、を考える。 悲しいとか美しいってなんなんだろう?って。 ステップを踏み、銃口を向け、それぞれの理由のために考え、または感じることで肯定し、否定をすることの譲れなさ。 悲しいとか美しいとか理屈じゃないんだろうけど...

ラストが悲しくも美しい、と思った。 で、何が悲しくて何が美しいのか、を考える。 悲しいとか美しいってなんなんだろう?って。 ステップを踏み、銃口を向け、それぞれの理由のために考え、または感じることで肯定し、否定をすることの譲れなさ。 悲しいとか美しいとか理屈じゃないんだろうけど、そこに割り切れない好き嫌いみたいなのがあって、認めるか認めないかってのが意識なんかなー。 好むと好まざるにかかわらず、出なきゃ行けない出口に向かって行く話…かな。

Posted byブクログ