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ハーモニー の商品レビュー

4.3

661件のお客様レビュー

  1. 5つ

    287

  2. 4つ

    213

  3. 3つ

    78

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    4

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2023/11/03

SF小説が少し苦手ながらも一気に読了。壮大なストーリーでまだまだ余韻が抜けません。こんなユートピアは厭ですね……。ありきたりな言い方出すが、色々と考えさせてくれました。文章が好き。ミァハの、孤独への持久力は紙の本がいちばん頑丈、という意見に頷きました。

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2023/10/22

勧められなかったら読まなかった本。 すごい完成度の高い未来の世界に次々と予測出来ない事が起こる。 この世界ならではの少女達の自殺の動機。 なかなか斬新な一冊。

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2023/10/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何度読んでも面白い!優しさに殺される世界の少女たちの話。 世界を巻き込む規模の話で、最終的に世界は大きく変わってしまうけど物語の形としてはひたすら主人公の個人的な話で、セカイ系だな〜としみじみ トァンが良いキャラしてる。好き。 なんのために考えて生きてるんだろうってたまに思考するけど、そういうものをロジカルに突き詰めたSFでとても引き込まれる。 最後は世界が幸福で満ち溢れる「ハッピーエンド」だけど、意志をもつ私たちからしたら素直にそう受け取れないのも良い。

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2024/06/07

人が病気にならない世界。 身体は社会皆の共有物で大切にしなければいけない、ボランティアにも倫理活動にも出ないと可視化された評価が上がらず信用を得られない世界。1984みたい、と思った。 高度過ぎるシステムが人の意思を自在に制御でき、好きに自殺させられるようになり、社会的大混乱を...

人が病気にならない世界。 身体は社会皆の共有物で大切にしなければいけない、ボランティアにも倫理活動にも出ないと可視化された評価が上がらず信用を得られない世界。1984みたい、と思った。 高度過ぎるシステムが人の意思を自在に制御でき、好きに自殺させられるようになり、社会的大混乱を起こす。これを解決するには、合理的判断を最大化し結果無用の長物となった意識を排除するしかない。 意識を残したい主人公が勝利?するかと思ったが、結果意識は無くなった。敵?のやり方はともかく、目的には納得する形。まぁ、、、そっか、なるほどって感じ。 リアリティーもあって、展開も早くとても面白い! 満足です。

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2023/06/06

・SF長編と聞いて難しそうに思っていたが、主人公の一人称視点と、あくまで僕らが住む世界のifの延長線上として描かた世界観で、すんなり読み進めることができた。 ・ヒトの幸福や意志についての堅苦しい内容ばかりかと思いきや、少年漫画のようなハラハラドキドキする展開もあって、ワクワクしな...

・SF長編と聞いて難しそうに思っていたが、主人公の一人称視点と、あくまで僕らが住む世界のifの延長線上として描かた世界観で、すんなり読み進めることができた。 ・ヒトの幸福や意志についての堅苦しい内容ばかりかと思いきや、少年漫画のようなハラハラドキドキする展開もあって、ワクワクしながら読めた。 ・変に希望的展開にはせず、この世界のこの状況で成るべくして成った。といったラストだったので、個人的には満足。 ・この作者の作品は初めてだったが、以前に出版された「虐殺器官」が、本作で登場する大災禍に至る物語らしいので、ぜひ読んでみたいと思えた。

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2023/04/25

詳しくは収まらなかったので自分のメモにて 不思議と、これを読んだあとに何カ国か旅をして日本に帰ってきた時、清潔感がある整ったインフラや健康志向の色々なものに対して、既視感のある息苦しさみたいなものを感じた。トァンが言っていた感覚に少し近かったのかもしれない。

Posted byブクログ

2023/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

超厚生社会、生命主義など新たなステージの人間社会をSFチック、ミステリアスに描かれている。 主人公トァン、カリスマなミァハ、突然自死するキアン、この3人の少女たちが感じる生きづらい空気、これは現代にもある空気と思った。 平和世界のストレス、とても面白い。 また、プログラムのように書かれた文章が、意識のない世界を表現しているのかとも思った。 読んでいて、登場人物たちは相当頭が良いし、それを書く著者の頭の良さ(?)を感じた。 伊藤計劃の違う著書も読んでみたい。

Posted byブクログ

2023/02/23

 映画が発表され、原作があると知って手を出しました。 (……と記憶していますが、いかんせん、だいぶ昔の話なもので)  映画版はEGOISTさんの曲がとても良かった。とても。『Ghost of a smile』は、この作品にとてもとても合っていました。  漫画版は、読み返すたびに、...

 映画が発表され、原作があると知って手を出しました。 (……と記憶していますが、いかんせん、だいぶ昔の話なもので)  映画版はEGOISTさんの曲がとても良かった。とても。『Ghost of a smile』は、この作品にとてもとても合っていました。  漫画版は、読み返すたびに、最終巻で、なんでだか、泣いてしまいます。  ふたりの、おんなのこの、おはなしなのです。  おんなのこ、と形骸化させてしまうことは良くない、と思うのですが、そう、あらわしたい、ものがたりだと思っています。  『生きる』とは何か、というおはなし。  血潮にまみれても、愛するひとが遠くにいってしまっても、先を見据えるのか。  たくさんの血と、たくさんの死とがあふれている、ちいさくておおきいものがたり。  「『生きる』ために『誰かを殺せ』」と言われたら、あなたはどうしますか?  → じさつする  → ひとをころす  → ほかのみちをえらぶ  『虐殺器官』から色々読んできましたが、この『ハーモニー』が、伊藤計劃さんの作品の中では一番好きです。読みやすいというのもあるかもしれませんが。

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2023/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【結末のネタバレあり】 巻末インタビューで著者が「敗北宣言」と述べているように、結論部分については、正直物足りなさが残るラストとなった。 個人的に一番気になったのが、ミァハという人物が、本当にこのような結論にいたるのだろうかという疑問である。 ストーリーではミァハは、生まれつき「意識」を持たない民族だったと明かされる。 そのため、全人類がミァハの民族のようになるだけと考えれば納得はできるのであろう。 しかし本当にそうと言えるのだろうか。 父のヌァザは、「社会と完璧なハーモニーを描くように価値体系が設定されている」と述べている。 つまり多様性の失われた、ひとつに価値観が統一された上での、意識の喪失ということになる。 このようなプログラムをミァハは肯定するのだろうか? 例えば、ミァハの一族がこの都市に住むか?と問われたとする。 はたして、全ての一族がここに住むことを選択するだろうか。 中には合理的な思考を経て、住まないという選択をする者が出る可能性も否めないはずだ。 人々から「迷い」を取り除いても、正解はひとつではないのだから。 他の例で考えると、無我の境地に達し、悟りを開いた僧侶たちが、この世界に訪れたとして、仏界(浄土)に辿り着いたと感じるのだろうか。 その場合も、ただロボットのようにプログラミングされた人々が暮らす都市を見て、憐れみとともに静かに通り過ぎるだけではないかと私は思う。 意識を失うということは、生き続ける意味も失うともいえるはずだ。 本来であれば(価値体系の設計がなければ)、食事を摂る意志を無くしそのまま餓死するものが現れる可能性だってあるのだ。 (WatcMeに感知されるだけだろうが) そのような観点から、この結末はミァハがたどり着くべき結論ではなかったような気がしてならない。 インターポールのヴァシロフは死の間際にこう言う「こいつが痛みってヤツなんだな。WatcMeとメディケアめ、人間の体にこんな感覚があるなんて、よく隠しおおせたもんだ。腹の立つ話だとは思えんかね。」 このような発想を持つ集団が、このような結末を望むのだろうか。 恐らく、もし著者に時間があれば、もっと時間をかけて結論を探すことができたのであろう。 しかし残念ながら著者に時間は残されていなかった。 著者による「敗北宣言」という言葉を聞くと、どうしても他の結末というものを考えてみたくなってしまう。 大変身勝手なこととは思いながらも、僭越ながら異なる結末というものを私なりに考えてみた。 以下が私個人としての結論案である。 ---------------------------------------------------------- ミァハは、自ら書いたプログラムにある細工を施していた。 プログラムが歌い出した瞬間、全ての人類に選択肢が示される。 社会とひとつになれば、全ての苦しみや恐怖から解放されます。 あなたは、あなたという意識を捨て、生命主義社会とひとつになって、生き続けていくことを承認しますか? Yes/No 生府の老人たちや、螺旋監察官たちは、想定していなかった事態に一瞬戸惑いはしたが、迷いなくYesを選択した。 (ウーヴェのようなものたちを除いて) 今回の事態に怖れを抱いていた者を中心に、医療社会に生きる多くの人類も、同様の選択をした。 そして、Noを選択した人類には、ミァハからのメッセージが示された。 「さあ生きて自由にハーモニーを奏でよう」 その後の社会では、紛争もまだ続いている、自殺だってその存在を消してはいない。 しかし、『空気』と呼ばれていたものは、もうそこには存在しない。 この社会では、お酒を飲んでいる者を見ても、誰も見向きもしない。 もちろん、司法は存在している。 殺人を犯せば罪に問われるように、飲酒が違法な地域や年齢では罪を償わされることになる。 しかし、空気という形で人々から自由を奪うことは、できなくなってしまった。 偏狭な生命主義者も、それを他者に押し付けるために必要な「意識」を失ってしまったのだから。

Posted byブクログ

2022/08/30

伊藤計劃。その人は、デビューしてからわずか2年で34年の人生を終えた。 本作は彼が亡くなった後に日本SF大賞を受賞した作品。 私はSFには疎く普段は手に取らないのだが、書店に平積みされた真っ白な文庫が目を惹いたのと、帯に書かれた「人間は、なぜ人間なのか。」「病床で遺した最後の長編...

伊藤計劃。その人は、デビューしてからわずか2年で34年の人生を終えた。 本作は彼が亡くなった後に日本SF大賞を受賞した作品。 私はSFには疎く普段は手に取らないのだが、書店に平積みされた真っ白な文庫が目を惹いたのと、帯に書かれた「人間は、なぜ人間なのか。」「病床で遺した最後の長編」にその場でショックを受け、チラリとページを開いた。 飛び込んできたのはプログラミングのような文字の羅列。 すぐさま購入した。 理想郷ユートピアをめぐる少女たちの戦い。 まだ無垢で、純粋に懸命で、それでいて妙に冷めた大人の一面も持つ少女達の危なっかしさが、悲しくも美しい。 そして怖い。 ユートピアとは名ばかりの、見せかけの「善」。 人間として健康な身体で生きていくとは、どんなことなのか。 人間が持つ欲望、個々の意思、行きすぎたそれらは悪なのか。 では行きすぎるとは? 絶対的な統制の方こそ、悪なのではないか。 全てを善悪では片付けられない。 今この現在に生きている私達でさえ、どこまで統制を目指すのが正しい社会なのか判断するに難しい状況に出くわす。 秩序とは時に強制にならないか。 いやしかし「自由」は歯止めが効かなくなる恐ろしさも孕んでいる。 本書は、読み進めている間も、読後も、私達に疑問を投げ掛け続ける。 そしてプログラミングのような文体の意味が分かった時にやってくる、深い納得と、悲しさと、違和感。 そして文學界から既に失われてしまっている、伊藤計劃という才能に想いを馳せずに居られない。 病と生が共にあったのであろう彼にしか書けない作品だ。 小説の奥の奥に、彼自身の人間としての戦いや答えのない疑問が渦巻いているようで、 読み終えてからも暫くは、ハーモニーの世界から抜け出せない私が居た。

Posted byブクログ