東京の本当においしいスイーツ探し(2) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
スイーツ好き必読本の第2弾。 注目点は2つ。 スイーツブームを作ってきた世代は相変わらずの人気だが、次は次世代パティシエに注目したい。今、魅力ある若手がどんどん出てきているからだ。 次世代パティシエというのは、日本のスイーツ業界を牽引してきた大御所パティシエの下で働き、その後本場フランスに渡り修業を重ね、帰国後自店をオープンさせたパティシエたちのこと。まれに海外経験のないシェフもいるが、多くの方が内外の有名どころで働いてきている。 大御所パティシエが創り出した人気スイーツが、次世代パティシエの若い感性により新たな魅力をはなつスペシャリテに姿を変えていたりしてかなり面白い。 試行錯誤を重ね、創意工夫を凝らしたそんな魅力あふれるスイーツをいただける私たちは、なんて幸せなんだろう。 次世代パティシエ、たとえば、ピエール・エルメ出身者、ジャン=ポール・エヴァン出身者、オーボンヴュータン出身者、モンサンクレール出身者……。 本書を見れば、次世代パティシエがどこで修業してきたかが大まかにはわかる。だから、自分が好きな店で修業してきた次世代パティシエのスイーツはどんなだろう、とこのところ気になっている人には便利。 ある店で現在人気のチーズケーキやシュークリームなども、創り出したシェフが退職し、独立して自身のパティスリーを開いていることも多い。お世話になった店人気のスイーツをそっくりそのまま出すわけにはいかないだろうから、そこに新たな解釈が加わって出している。そうなれば当然美味しくないわけがないと、期待が高まる。 美味しいスイーツに出会えたなら、次に、そのお店で修業したシェフが独立して開いた店の同じスイーツも試してみる。愉しいスイーツ探索になる。 2つ目の注目点は、「フォルム」だ。 プチガトー(ショートケーキなどの生ケーキ)のデザインに目が奪われる。もちろん、意味あってのデザインだ。フォルムの斬新さだけでなく、クラシックなケーキでもよく見ればパティシエの企みを感じられる。そういうものがいい。 苺のショートケーキなら、スポンジの間のクリームの層が厚いものや2層あるものがいい。さっぱり爽やか系でなく濃厚なものが好みなら、フランス版ショートケーキのフレジェがいい。 チョコレートのケーキなら、コニャック入りのガナッシュ、フォンダンショコラ、カカオ分の高いチョコのムースなどを重ね、食感に変化を、味に深みを与えられた濃厚なものが私の好みだ。オペラも好き。 でも、柑橘類のフルーツを使ったものや、ムース状のものなど、軽い仕上げのものが食べたいときもある。 店でお菓子自体と説明書きをよく見て買いたい。 あと、最近よく見かけるようになったピスタチオのケーキ。 本書にも美味しい一品が紹介されている。パステルグリーンのかわいいキューブ型ケーキ。シンプルでありながら斬新なフォルムが実に新鮮だ。ダックワーズアマンド生地の上にプラリネアマンドとミルクチョコレートとサクサククレープ生地とローストアーモンドを混ぜたザクザクの素材が基礎部分。その上に、ホワイトチョコレートとピスタチオペーストで軽く仕上げたムースが載り、キューブ状に覆っている。その上、センターにはピスタチオのクレームブリュレが仕込まれている。食感と味に変化と深みを与え、最高素材がコクを生んでいる。 おまけがあった。パティスリーに並ぶヴィエノワズリー。ちょっと贅沢なパンのこと。私は「クロワッサン・ザマンド」が好きでたまらない。コンフィチュールもいい。本書には、その店の取り扱いアイテムも載っている。きりがないのでこれで終わり。
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