きまぐれ砂絵 かげろう砂絵 の商品レビュー
カタカナ語の漢字表記や、カタカナ表記の人名など独特の表現の時代推理小説。 著者のあとがきにもあるように、落語を題材に書かれた捕物帳だが主人公は岡っ引きでも同心でもなく、センセーと呼ばれる砂絵師が探偵役で手下は同じ長屋に住む、特異なアウトローたちという設定。
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『なめくじ長屋』シリーズの5、6巻の合本。全篇が落語ネタという『きまぐれ砂絵』の趣向が個人的にツボ。謎解きもさることながら四季折々の江戸の風物が愉しい。お気に入りは、次いで『』野ざらし」、「夢金」、「酒中花」かな。
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シリーズ3巻。ついに折り返しだ。きまぐれ砂絵はこれまでの7編を破って6編しかない、と思ったら全部落語のタイトルだそうで、創刊の時は“なめくじ長屋とりもの落語”の副題だったそうだ。解説も面白かった。作者による“推理作家の出来るまで下巻”からの再録だそうだ。自伝的なものかしらん。本当、江戸時代のことを全く知らない世代に読ませるんだから大変だろう。当時より半世紀以上も経った今ならなおさら。しかし一家心中とか、お家のために死ぬとか、平和な江戸時代と言われているけど、結構世知辛いよな、と思う。家の評判を守るために娘を殺すって。でも今だった親族間殺人は多いんだもんな。虐待もあるし。人間のやることは一緒なのか。
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江戸時代の話なのにあまり時代物という感じがしない、と常々思っていたのですが、その理由として武士の心構えがどうこうとか、武士の本分がどうこうとか、このシリーズにはそういうものが出てこないからだと『深川あぶら堀』を読んで初めて気づきました。 むしろ江戸の習俗なんかはたくさんちりばめら...
江戸時代の話なのにあまり時代物という感じがしない、と常々思っていたのですが、その理由として武士の心構えがどうこうとか、武士の本分がどうこうとか、このシリーズにはそういうものが出てこないからだと『深川あぶら堀』を読んで初めて気づきました。 むしろ江戸の習俗なんかはたくさんちりばめられているのに。 これまで読んだ時代物のほとんどが武士や大店を抱える町人のように建前だの誇りだのを気にする人たちだったからかな。でもいま出ている時代物のほとんどは武士を扱ったもので、つまり手に取るもの自体偏ってるといえば偏ってる。 話は少し血腥いのが多いかな。どちらかといえば、落語に題材をとったきまぐれ砂絵の方が好きな話が多かったです。 巻末の本人が語った砂絵シリーズのことも面白かった。
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