北朝鮮に嫁いで四十年 の商品レビュー
2010年出版。著者は朝鮮人夫の家族と共に1961年に北朝鮮に「帰国」した日本人妻である。 彼女は自分の意見を言わない女性だ。 夫となる男性に見初められ、無理やり家に連れて行かれ、「これでいいのだろうか」などと思いながら関係を持つ。夫に束縛され、暴力を振るわれながらもほとんど...
2010年出版。著者は朝鮮人夫の家族と共に1961年に北朝鮮に「帰国」した日本人妻である。 彼女は自分の意見を言わない女性だ。 夫となる男性に見初められ、無理やり家に連れて行かれ、「これでいいのだろうか」などと思いながら関係を持つ。夫に束縛され、暴力を振るわれながらもほとんど反抗する様子はない。 北朝鮮への「帰国」を内心では嫌がりながらも、意思表示をすることなくなし崩しに従う。 ひたすら耐える女性である。 現代に暮らす私から見れば、自分の意見のない、自分の感情を押し殺して諾々と人に従う女性である。その様子を見ると苛立ちすら感じる。 しかしそんな女性が、である。 北朝鮮に定着し、劣悪な環境と慢性的な食糧難に直面する。彼女には6人の子供がいる。彼女は猛然と、子供を生かすために働くのだ。法を犯し、命を削って生きるために闘うのである。 文章を書き慣れていないのか、あるいは北朝鮮で暮らした40年の間に忘却したのか、文章は極めて拙い。 しかし、だからこそ、彼女の素朴な人柄が伝わってくる。夫や夫の家族に振り回されて、ひたすら耐えに耐えていただけの女性が、どんなことをしても家族のために働き抜く姿が見えてくる。 彼女は脱北した後も、その脱北を中国で斡旋してくれた中国人家族の要求に従い、中国人を自分の家族と偽って日本に引き入れるという罪を犯す。本当に断れない性格なんだな・・・と思うと同時に、朝鮮に残してきた子供たちを日本に連れてきたいと切実に思う彼女に、そのためには中国人の助けがどうしても必要な彼女に、それ以外の選択肢はあったのだろうか、と思うのだ。
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朝鮮半島出身の一家に嫁ぎ、夫や子どもと共に帰還事業で1961年に北朝鮮に渡った後、2001年に脱北した女性の半生記。北朝鮮での過酷な暮らしが綴られている。この本によれば北朝鮮は帰還事業が始まった頃すでに王道楽土などではなく破綻していた。その後も、状況は悪くなるばかり、無賃乗車や闇...
朝鮮半島出身の一家に嫁ぎ、夫や子どもと共に帰還事業で1961年に北朝鮮に渡った後、2001年に脱北した女性の半生記。北朝鮮での過酷な暮らしが綴られている。この本によれば北朝鮮は帰還事業が始まった頃すでに王道楽土などではなく破綻していた。その後も、状況は悪くなるばかり、無賃乗車や闇市が当たり前の世界らしい。この本に書かれていることが真実だとすれば、ふだんニュースなどで見る北朝鮮の様子、それですら殺風景で物資に事欠いている様子がわかるのだが、それさえもようやく繕っての光景ということになる。ただ、こんな過酷な暮らしをしていても、持つべきものは家族なのだろうか。家族のために、子のために、孫のためにということが耐える支えになっているみたい。 さて、著者が期せずして大変な人生を生きる破目になったことは言うまでもないのだが、苦言を挙げれば、何と主体性のない生き方だろうという思いが湧いてくる。 そもそも、夫と結婚したのだって、ダンスホール行ったときに送りオオカミをされたあげく手篭にされ、言うなれば拉致同然でなし崩し的に結婚生活に入ったんだし、朝鮮にいくときだって、その後の夫の暴力に耐えながらの生活にしたって、脱北のきっかけだって、一事が万事で流れ任せ。挙句の果てには、帰国後に警察のお世話にまでなっている。 他人任せの生き方でもそれなりに幸福を感じられるらしきが女性の利点でもあるのだけど、人生の岐路を自らの判断で選んだ節が見てとれない。過酷な運命を招いたのも自業自得のようにさえ思えてくる。ま、物も秩序も生きがいもない北朝鮮での生活、栄養不足が白痴化を招いたというのもあるかもしれない!?
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1961年、帰国事業に応じた夫の家族とともに、「地上の楽園」と宣伝された北朝鮮に渡った著者を待っていたのは、あまりにも悲惨な生活だった。乏しい食糧、電気も水道も満足にこない。娯楽もなく、里帰りもできない。ときに公開処刑を見せられる。やがて配給が止まるなか、三女は栄養失調で死亡、次...
1961年、帰国事業に応じた夫の家族とともに、「地上の楽園」と宣伝された北朝鮮に渡った著者を待っていたのは、あまりにも悲惨な生活だった。乏しい食糧、電気も水道も満足にこない。娯楽もなく、里帰りもできない。ときに公開処刑を見せられる。やがて配給が止まるなか、三女は栄養失調で死亡、次女はヤミ商売のかどで服役、中朝国境を行き来していた長女も捕まり獄中死する。 -アマゾンの内容紹介ー より その日を食べることが人生の全てみたいな生活。 あまりにも酷い北朝鮮の現実だ。
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