グラン=ギニョル傑作選 の商品レビュー
20世紀初頭、パリのグラン=ギニョル座で上演された残酷劇の脚本集。当時の演目を知れる(日本語で読める本として)貴重な1冊。付録の代表的な演目のあらすじ集も嬉しい。
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グラン=ギニョル(大きな人形)劇の傑作選。人形といいながら、演じるのは全て人間です。 卒論の参考資料に『グラン=ギニョルー恐怖の劇場』は読みましたが、作品そのものを読むのは初めてです。 日本の大正・昭和期にあったエログロナンセンスに近いものを感じますが、こっちの方がより生々しいで...
グラン=ギニョル(大きな人形)劇の傑作選。人形といいながら、演じるのは全て人間です。 卒論の参考資料に『グラン=ギニョルー恐怖の劇場』は読みましたが、作品そのものを読むのは初めてです。 日本の大正・昭和期にあったエログロナンセンスに近いものを感じますが、こっちの方がより生々しいですね。 現代でもよく”グラン=ギニョル”の名前はオマージュされていますが、実際どんなのものなのか調べようとすると資料が少ないので、本書の刊行はとてもありがたい。 ただ、出来ればもう少し早く出して欲しかった。 自治医大店 田崎
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グラン=ギニョル劇の戯曲の代表的な作品を翻訳したもの。 どういう芝居だったのか、よく伝わってきました。 実際に、特殊メイクや小道具で、 拷問や流血沙汰を表現してもいたわけですが、 「こんな、あんな、恐ろしいことが起こる(起きた)」 という、残虐な描写をセリフだけで観客に伝える部分...
グラン=ギニョル劇の戯曲の代表的な作品を翻訳したもの。 どういう芝居だったのか、よく伝わってきました。 実際に、特殊メイクや小道具で、 拷問や流血沙汰を表現してもいたわけですが、 「こんな、あんな、恐ろしいことが起こる(起きた)」 という、残虐な描写をセリフだけで観客に伝える部分も 多々あって、 観る側の想像力に委ねて、 脳内で恐怖を肥大させる手法も採られていたのだと納得。 恐怖の対象は人智を超越したモンスターなどではなく、 あくまで観客が暮らす世界の延長線上にある、 今日明日、我が身に降りかかるかもしれない災厄―― だったんだなぁ、と。 愛人が自分を裏切るとか、 病院へ行ったら医者が発狂していた(爆)とか、 当時のブルジョワは、そういう芝居を観ることで、 己の心の中にある不安と恐怖を排出していたってことですね。 しかし、映画産業の台頭によってお株を奪われ、 恐怖演劇は衰退していった……と。 でも、あとがきによると、現代のフランスにも、 グラン=ギニョル劇を上演するグループが存在するそうです。
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グラン=ギニョルとは、19世紀末~20世紀初頭にかけて、パリの紳士淑女の間で人気を博した猟奇演劇。私は94年に「第三エロチカ」の川村毅の劇で、初めてこのテイストに触れて、けっこうハマったものでした。懐かしいなー・・・。 解説にもある通り、拷問や殺人にあふれたこれらの戯曲に満ちてい...
グラン=ギニョルとは、19世紀末~20世紀初頭にかけて、パリの紳士淑女の間で人気を博した猟奇演劇。私は94年に「第三エロチカ」の川村毅の劇で、初めてこのテイストに触れて、けっこうハマったものでした。懐かしいなー・・・。 解説にもある通り、拷問や殺人にあふれたこれらの戯曲に満ちているのは、下層階級、植民地、新しい科学、そして女に対する、当時のブルジョア階級の恐怖だ。時代の徒花ともいえるグラン=ギニョル劇の中から選りすぐった傑作にくわえ、60本に上る上演目録のあらすじ、解説まで、オタク愛あふれる本を、よくぞ出してくれました。ガストン・ルルーの「悪魔に会った男」が掲載されているのにもびっくり。こういう戯曲も書いていたのだなあ。
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グラン・ギニョレスク(形)…猟奇的な、残酷な、荒唐無稽な。グラン・ギニョルの狂気というのは、神話的・宗教的な意味が剥奪され、英雄的・劇的な性格を失った病理学的な狂気であるという一文に納得。ただ下品に臓物や血を見せたりするのでなく、愛やエロチシズムに絡めて語るのがフランスらしい。一...
グラン・ギニョレスク(形)…猟奇的な、残酷な、荒唐無稽な。グラン・ギニョルの狂気というのは、神話的・宗教的な意味が剥奪され、英雄的・劇的な性格を失った病理学的な狂気であるという一文に納得。ただ下品に臓物や血を見せたりするのでなく、愛やエロチシズムに絡めて語るのがフランスらしい。一番面白かったのは「闇の中の接吻」で、竜さんをかけられたのに犯人の女を責めようともしない主人公・ジャンにずっと不信感を覚えていたのでラストに喝采。女性が嫉妬などとの激情から犯行を行う「激情犯罪」では硫酸がしばしば武器として使われ、「硫酸をかける」(Vitrioler)という動詞までできたのには笑ってしまう。他の話でも、女が男を絞め殺す場面があったりして、ラテンの女はいかついなあと思った。
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