木洩れ日に泳ぐ魚 の商品レビュー
遠野物語以外の恩田陸を読むのはこれが初めてか・・・ 次の日の朝には引越して出て行こうとする男女の最後の夜の会話を中心とした物語。ただこれだけなのであるが、そこには禁断の恋愛や、殺人疑惑も含まれた思いが交錯してくるのである。 章ごとに男女の視点が入れ替わり、2人の関係性や...
遠野物語以外の恩田陸を読むのはこれが初めてか・・・ 次の日の朝には引越して出て行こうとする男女の最後の夜の会話を中心とした物語。ただこれだけなのであるが、そこには禁断の恋愛や、殺人疑惑も含まれた思いが交錯してくるのである。 章ごとに男女の視点が入れ替わり、2人の関係性や抱えている問題が徐々にあらわになって行く。閉塞感はあるがテンポがあるので先を読み進めやすい。 物語の終盤でアキが愛に対しての分析をするところがある。高校生時代の恋愛を回想するところである。「けれど、今にして思えば、私が彼を好きだったのは、彼が私を好きだったからだ。私は私を好いてくれる彼が好きだったのであって、彼を好きだったからつきあっていたわけではなかったのだ」この思いは、その前にアキがヒロに問いかけたこの言葉とともに突き刺さるような鋭さを持っている。「ねえ、ヒロ、あなた、誰かを愛したことがある?本当に、誰かのことを心から?」 終盤のアキの言葉や考察が、誰かを愛したことのある読者には強く訴えかけてくる。人の思いがいかに強く儚く、そして不確かなものであるのかということを感じさせる。
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たった一晩で語られる、 一枚の写真についての物語。 そして一組の男女の別離の話。 閉ざされた空間で 過去を反芻しながら 二人の視点で語られる物語。 ある男の死、 二人の男女の関係、 謎が次々と出てきて、 明らかになっていく真実。 続きが気になって読み進めてしまう話でした。 こ...
たった一晩で語られる、 一枚の写真についての物語。 そして一組の男女の別離の話。 閉ざされた空間で 過去を反芻しながら 二人の視点で語られる物語。 ある男の死、 二人の男女の関係、 謎が次々と出てきて、 明らかになっていく真実。 続きが気になって読み進めてしまう話でした。 この物語は、 人の感情というのがとても重要な話だと思いました。 特に千明の中にある嫉妬や愛、 女の醜さ、恋愛、 それらはすごく思い当たるような、 共感できるもので、 それはやっぱり女性の作者だからこそかもしれません。 ラストも、 感情や記憶って面白いものだね と、 一晩の物語には相応しいような、 納得できる終わり方だと私は思いました。
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「木洩れ日に泳ぐ魚」(恩田 陸)読み終わりました。たしかに面白くて一気に読んでしまったけれど、うーん、何か物足りない感じだな。わたし的には「光の帝国 常野物語」などの常野一族の話のほうが好みです。さて、次は何読むかな。
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暇つぶしに読んだ本。恩田作品は、面白くなくなって途中で投げ出す確率が極めて低い。これもその類で、続きが気になって最後まですぐに読んじゃうけど、その代わり深く何かを感じたわけでも印象に残る何かがあったわけでもなく。普通に面白かった。っていうあまりにも何てことない感想しか述べられない...
暇つぶしに読んだ本。恩田作品は、面白くなくなって途中で投げ出す確率が極めて低い。これもその類で、続きが気になって最後まですぐに読んじゃうけど、その代わり深く何かを感じたわけでも印象に残る何かがあったわけでもなく。普通に面白かった。っていうあまりにも何てことない感想しか述べられない(笑)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
二人の男女のものがたり。 黒と茶の幻想でも感じたけど、この方は「面倒臭い男」を書くのがうまいと思う。魅力的なんだけど、この手の男性にはまると大変だよね、としみじみ思う一冊。 けどこのタイプはモテる。 そして女性はリアルにジメジメしててさばさばもしてる。さばさばだけの女性なんかいない、ということが凄く実感できる。 露悪的じゃないのに、人ってこわいなーと思わせるところが若竹七海の短編の感触に似てる。
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「アパートの一室で同居していた男女が別々の道へ進むこととなる。その最後の夜、二人で夜を徹して話をしたのは過去のこと。」 これはおもしろかったなー。心理戦もさることながら二人だけでひたすら話していくっていう構図がいい。解かないほうがいい謎もある。だけど解かずにはいられないのもまた人...
「アパートの一室で同居していた男女が別々の道へ進むこととなる。その最後の夜、二人で夜を徹して話をしたのは過去のこと。」 これはおもしろかったなー。心理戦もさることながら二人だけでひたすら話していくっていう構図がいい。解かないほうがいい謎もある。だけど解かずにはいられないのもまた人間の性さのかもしれないね。真実は一つとは限らないし、また一つである必要もない。それぞれが勝手な真実を真実だと信じて語ればよいのですよ。
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閉ざされた空間の中で、二人が過去を反芻していく話。始めはすれ違っていたけど、だんだんとそれがつながっていって、一つの推測みたいなのがたつ、っていう流れはきれいだったけれど、正直あんまり面白くなかった…かなあ。 でも最後も結局、ちゃんとしたハッピーエンドにならなかった感じが逆によか...
閉ざされた空間の中で、二人が過去を反芻していく話。始めはすれ違っていたけど、だんだんとそれがつながっていって、一つの推測みたいなのがたつ、っていう流れはきれいだったけれど、正直あんまり面白くなかった…かなあ。 でも最後も結局、ちゃんとしたハッピーエンドにならなかった感じが逆によかったです。
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二人のとても長い夜を息つく暇も無いくらい一気に読んでしまいました。 二人の話の核をなんだろう、なんだろうと思いながら読むとあっという間でした。
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最初は興味を引く出だしだったが、それが淡々と続いていくだけだった。 もう一捻り、いや二捻りくらいあると良かったのだが。
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舞台はアパートの一室。そこからほぼ動かずに回想だけで「あの男」のことを語り合う二人。 それはやがてお互いの感情の探り合いになり、最後は本当の意味でお互いの真実を見つける。 ミステリーなのかな、これは。舞台を動かさずに回想と語り合いだけで話を進めていくのは凄かったです。 ...
舞台はアパートの一室。そこからほぼ動かずに回想だけで「あの男」のことを語り合う二人。 それはやがてお互いの感情の探り合いになり、最後は本当の意味でお互いの真実を見つける。 ミステリーなのかな、これは。舞台を動かさずに回想と語り合いだけで話を進めていくのは凄かったです。 二人の主人公の視点が交互に展開されていって、それだけなんだけど目が離せない。 ちょっと暗めですけど、最後には光が差し込んで全てが明らかになる所は切なかったです。 映画にしたら面白いかも?
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