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切りとれ、あの祈る手を の商品レビュー

4.3

99件のお客様レビュー

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2013/02/17

「読書」と「思想」と「革命」についての本。 読む前は敷居が高いなーって思ってたけど、内容はそれほど難しくなく、読了後はやる気さえ出てきたような気がする。 「革命の本体、それは文学なのです。暴力など2次的な派生物に過ぎない。」 「本を読むという事は、下手すれば気が狂ってもお...

「読書」と「思想」と「革命」についての本。 読む前は敷居が高いなーって思ってたけど、内容はそれほど難しくなく、読了後はやる気さえ出てきたような気がする。 「革命の本体、それは文学なのです。暴力など2次的な派生物に過ぎない。」 「本を読むという事は、下手すれば気が狂ってもおかしくない。」 などなど、印象的な文も多かった。 終始圧倒され、衝撃を受けた。 そもそもこの本を読む人って、「読書=アイデンティティ」みたいな人が多いと思う。 そーゆー人が読んだら、必ず何かしらの影響を受けるような気がする

Posted byブクログ

2013/02/03

まじめに読めば、読むほど簡単で こまっしゃくれた読み方をすればするほど難解な 裸の王様のような本かと思います。 表現というもの、とりわけ本というものに少しマジメになったような気がします。極めた凄みがありますわな。

Posted byブクログ

2012/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ステファヌ・マラルメ「唯一の真の忠告者、孤独の言うことを聞くように」p12 ウィトゲンシュタイン「現在を追う者は、いつか現在に追いつかれる」p23 (ルターにとって、読むとは)「祈りであり、瞑想であり、そして試練である」p59 「準拠の恐怖」:「本を読んでいるこの俺が狂っているのか、それともこの世界が狂っているのか」p60 ルター「明日で世界が終わろうと、私は今日林檎の木を植える」p66 ルター「音楽は、最も美しく最も高貴な神の賜物の一つである」p66 革命は暴力に還元されるものではありません。暴力が先行するのではない。まず根拠を明示したテクストが先行する。テクストの書き換えが先行するのです。p77 ガタリ、ネグリ「平和とは革命の一形態である」p79 革命は文学からしか起こらないし、文学を失った瞬間革命は死ぬ。p80 ムハンマド「この世で愛すべきものは三つある、それは女性と、よい香りと、祈りだ」p96 大天使ジブリールはムハンマドの喉を裂き、心臓を取り出してそれを洗った。それをムハンマドの身体に戻したときに、彼の心は信仰と知恵で満たされた。p103 ムハンマド「黄金よりも詩の言葉はすばらしいものである」p105 人がすることは、どこまで行ってもベケットの言う「古いねじの新たな回転」ということなんだ。p133 【近代国家と主権】p144 ウェーバーが言うように「暴力の独占」および「官僚などの政治専門集団の組織化」を近代国家の条件とするなら、あるいは「主権・領土・国民」を条件とするなら、それは国家の起源はウェストファリア条約による主権国家体制なり、絶対主義国家の成立なり、ナポレオン戦争における国民国家の登場なりということになるんでしょう。しかしそうではない。 近代国家の祖型、それは中世解釈者革命における中世キリスト共同体の成立にあります。教皇こそが最初の主権者です。 フロイト「抑圧されたものは外から回帰する」p165 藝術的なものは、政治の「お飾り」「付属物」「道具」ではない。それは法や規範や政治の本質の一つなのです。p166 「世界は老いたり」p175 モーリス・ブランショ「人類は滅亡する。だが人類は滅亡しない」p199 ヴァルター・ベンヤミン「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて友の足音だ」p205 ニーチェ「未来の文献学」p206 「いつかこの世界に変革をもたらす人間がやって来るだろう。その人間にも迷いの夜があろう。その一夜の、その一冊の、その一行の微かな助けによって、変革が可能になるかもしれない。ならば、われわれがやっていることは無意味ではないのかもしれないのだ。絶対に無意味ではない。その極小の、しかしゼロには絶対にならない可能性に賭け続けること。それがわれわれ文献学者の誇りであり、戦いであると。

Posted byブクログ

2012/11/16

食わず嫌いで読んでこなかった佐々木氏の著作。結論から言うと本当に読んで良かった。 「文学」こそが革命の本質であるということ、文学は生きることと同義であるということ。読めば狂う、それでも読み、書きかえてゆくこと。全ての死をひとつに、全ての世界の死と自分の死をひとつにしたいという「絶...

食わず嫌いで読んでこなかった佐々木氏の著作。結論から言うと本当に読んで良かった。 「文学」こそが革命の本質であるということ、文学は生きることと同義であるということ。読めば狂う、それでも読み、書きかえてゆくこと。全ての死をひとつに、全ての世界の死と自分の死をひとつにしたいという「絶対的享楽」の功罪、終末論の誘惑に負けず奇跡を信じて読み続け、生きつづける勇気をもらった気がした。

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2012/09/12

「革命の本質とは何なのか」を説いた本。個人的には批判もあるけど、面白いっ。 文学こそが革命の本質。 いや、もっと突っ込んで、文学そのものが革命だとさ。 (ここでいう文学とは、かなり広い意味でね) 面白い”発見”だよね。 いや、彼が発見したんだじゃなく、過去の偉大な人たちの発見...

「革命の本質とは何なのか」を説いた本。個人的には批判もあるけど、面白いっ。 文学こそが革命の本質。 いや、もっと突っ込んで、文学そのものが革命だとさ。 (ここでいう文学とは、かなり広い意味でね) 面白い”発見”だよね。 いや、彼が発見したんだじゃなく、過去の偉大な人たちの発見の再確認って感じかな? その展開はなかなかに唸るものがあるし、文章を読む人を勇気づける。 また、読まない人がもし手にとってくれたら、一歩踏み出す、背中を押すような内容なんだけど・・・。 本を普段読まない人は、この本の1ページ目で投げ捨てるよねーっ(笑)。 そこが、これの弱点のひとつかもしれない。 読み、書き、文学を知ろうとする人、大きい意味でのファン(ミーハー含む)が、それを再確認するのが目的じゃないなら、『いつもは手に取らない人の手を、本の上にのせたい』なら、もうちょっと階段を降りてくれないと、ね。 でも、充分にロマンがあり、ドラマがあり、ある意味で恐ろしい内容だった。 できれば、こういう本をたたき台にして語り合うような読書会とかやってみたいなぁ。 佐々木中さん、なかなかの熱い人ですね。 素敵だと思います。 ただ、あえて軽い感じでこの本の印象を語るなら・・・・・・。 Barでほろ酔いのインテリさんが、たまたまそこで出会った奴らに講義をはじめる。 酔いに振り回されないように、「いつもより冷静に冷静に・・・」と、頭で唱えつつ。 でもさー。 夜中の雰囲気とこれまたほろ酔いで「ほお。ほお!」耳を傾けてくれる聞き手に囲まれているわけよ。 どうしても、ちょっと調子のっちゃうじゃん? しかも、このインテリさん。いつもは黙ってるけど、けっこうモヤモヤ溜まってたのさ。 だからさ、ついついテンション高くなっちゃった。 「あ、いや冷静だよ、冷静だよ。」って言いながら・・・・・・って感じ。

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2012/09/07

面白い本だと思うが、つまらない本でもある。著者は現代哲学などが専門、この本は5つの語りをふくんでいる。第一章は、本の読めなさについて、本を読むことが如何に困難で、狂気を誘発するくらい危険な行為かという事を論じている。また、文学や芸術の範囲を教育や法律、ダンスやファッションにまで、...

面白い本だと思うが、つまらない本でもある。著者は現代哲学などが専門、この本は5つの語りをふくんでいる。第一章は、本の読めなさについて、本を読むことが如何に困難で、狂気を誘発するくらい危険な行為かという事を論じている。また、文学や芸術の範囲を教育や法律、ダンスやファッションにまで、広くとらえ直そうとしている。第二章はルターを論じ、宗教改革が革命だったこと、その革命の本体はテキストの読解、そしてその読解に基づいた運動であったことを示している。革命につきものの暴力はなくてもよい付随物だと指摘している。第三章はムハンマドをテーマに文盲だった彼が如何にコーランというテキストを読み、革命をしたのか、文学が「天使の技」であることを書き、文盲と「母」が通ずることを述べる。また、フェミニンなムハンマドが世俗者でありつづけたことから終末論を論じ、終末論が「みんながいっしょに死んでくれなきゃいやだ」という幼稚な願望にもとづいていることを指摘している。この「願望」は学問のみならず、ハリウッド映画などを通して、現代の思想や文学がもつ「病」の一つだと指摘する。第四章では、十二世紀革命、「中世解釈者革命」にふれ、最初の主権者である法王、最初の議会である公会議、官僚制の祖型である教会のネットワークなどをのべ、ローマ法の「発見」にともなって、家族制度、契約などもろもろの近代国家の法制度が12世紀に準備されていることを述べている。そしてこれは、「情報」による支配のはじまりであり、そこから溢れたのが「暴力」と「主権」であるという。しかし、「法」は元来「情報」ではなく、ダンスやファッションなどにも込められた儀礼であるから、「情報」か「暴力」かではなく、もっと広い意味で「文学」をしていくことに革命の可能性を見いだしている。第五章は、人類史をひもとき、一つの生物種が絶滅する確率は400万年に一度という事実をひき、人類の20万年の歴史にはまだ380万年も続きがある。まだまだ新しいことは起こるし、「終わり」など来ない。文学も若い分野であるから「文学が終わった」などと言ってはならないという。ドストエフスキーも当時ロシアの文盲率が90%を越えていたのに、言い換えれば友人10人のうち9人は字が読めないのに、文学をやっていたと指摘している。それに比べれば現在の状況は危機でもなんでもないそうである。 以上、たいへん興味深く読んだが、つまらないと思ったのは、ぼくが中国古典を読んでいるからである。中国の本、とくに経書は、つねに「そう生きるべし」と言ってくるし、終末論も希薄だ。官僚制や「法」の領域の広大さなどは、『礼記』などを読めばでてくる。また、「文」とは入れ墨をあらわし、あらゆる筋目をあらわすことは漢和辞典をひいたり、たとえば「天文」という言葉を考えてみれば、分かることである。また、「礼楽」といって文化、法、儀礼、芸術が一体であるのも、中国古典を読めばよくでてくる道理である。また、「春秋」など、中国の歴史上の少なからぬ「革命」が経書解釈であったことを思えば、「革命の本体は文学である」という主張は「前提」である。要するに、この本で言われていることは、「まともな文学者になるための心がけ」である。こんなことを確認する必要があるのは、著者が罵倒し、嘲笑し、哀れんでいるような現代思想や文学評論の賢しらぶった人たちだけなんじゃないかと思う。その意味でつまらなかった。ただ、本があることの奇跡、本をもっていたら殺された時代もあったし、周りはそれこそ誰も理解してくれないという状況で本を書いていた人もいた。そうした人へ敬意をもういちど呼びおこすにはいい本であるといえる。著者の嘲笑などは人への期待の裏返しであるから、まぁ文学青年の純粋さの発露として聞き流せばいいと思う。「藝」(ゲイ)と「芸」(ウン)の違いを耳学問で知って、こだわっているようだが、言葉に興味があるなら、『文心雕龍』や『荀子』(「信ずるべきを信ずるは信なり。疑うべきを疑うも亦た信なり」)などを読んでくれればいいのにと思う。まぁ「人に備わるを求めるなかれ」なので、今後に期待しておく。

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2012/09/07

今までに読んだことのないタイプの方で、なんとも読み終わったあとに不思議な気分になる本だった。小難しい内容であったが、一方で言わんとしていることはいわってシンプルなのではないか、と感じた。でも、そのシンプルな主張こそが、この本の最大の魅力である。これ言ったらネタバレになってしまうか...

今までに読んだことのないタイプの方で、なんとも読み終わったあとに不思議な気分になる本だった。小難しい内容であったが、一方で言わんとしていることはいわってシンプルなのではないか、と感じた。でも、そのシンプルな主張こそが、この本の最大の魅力である。これ言ったらネタバレになってしまうから言わないけど。 あと、これはメインな主張でないどころか、筆者が特に意図して主張しようとしていたことではないと思うのだが、歴史をしっかり学ぶ事は何よりも実学なのではないかと感じた。本書でも少し触れられている事ではあるが、「新しい」ということは実は意外と少なく、すでにそれは過去の人間が経験したり、編み出していたりするものであったりする。今流行りのノマドだってそうだ、あんなのカフェで本読んだ理とかすることに、何も新しさなどない。脱線したが、先人が発掘したことを無視して「新しい」と評するのは場合によっては無礼にあたるし、傲慢である。むしろ、先人の積み重ねはあなたの知らないことをはるかに知っていて、とても比べるレベルに達していないのである。 気づけばすんごくエラソーな文章書いてしまったけど、実はこれは本書の独特な語り口調に影響を受けたものである。もちろん、本書で書かれている文章は、自分が今テキトーに書いてる文章よりもしっかりしたものであるが。でも、この文章は好き嫌いが別れるところだと思う。正直言って。 ともあれ、今まで読んだことのないタイプの本だったので、とても参考になる部分が多かったことは間違いない。

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2013/03/22

素晴らしい。 このような知性が同時代に存在することを誇りに思う。 必読。 何度でも書きたい。必読だと。 我々の生を、創作という行為を、鮮やかに肯定する素晴らしいテクストだと思う。

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2012/08/08

2010年、一番刺激的な一冊だったかもしれない。とてもとても面白かった。こういう本を読みたかったんだ、という本だった。面白くて、勢い余って前作も買ってしまった。いいリズムがあって、いい思考があった。からだと思う。そして、装幀も良かった。(11/3/13)

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2012/07/25

 某私大文学部生aikoism35は、時々漠然とした虚しさに襲われるのであった・・・・・・。  たとえば、就活中に、友人に「まあ、文学なんて勉強していても、どこの企業でも役に立たないからねwwww」と、冗談めかして話すとき。  たとえば、卒業論文の演習で、どの学生が何の作家につい...

 某私大文学部生aikoism35は、時々漠然とした虚しさに襲われるのであった・・・・・・。  たとえば、就活中に、友人に「まあ、文学なんて勉強していても、どこの企業でも役に立たないからねwwww」と、冗談めかして話すとき。  たとえば、卒業論文の演習で、どの学生が何の作家について発表していても、あたかもわかっているかのように適当な気の利いたコメントを挟もうと躍起になっているとき。  たとえば、「現代にろくな作家はいない。もう文学は死んだ」という批評家の言葉を聞いたとき。 とらえどころのない虚しさと絶望を晴らすような本がこれでした。『切り取れ、あの祈る手を』。読むことは革命なのである。文学は死なないのだ。私はちょっと泣きそうになりました。文学を志して大学に入って、しかし、その空虚さに絶望していたいま、出会えてよかったなあと思っています。宇多丸さんがオビに書いている通り、「元気が出て、背筋が伸び」たよ!!(ってか、文化系大学生への宇多丸の発言力ってすごいよね。特に映画好きな男子学生への影響はすごいっす)  佐々木中氏の、反復の多い力強い言葉は、こちらを洗脳してくるような、危うさも含んでます。でも、なんというか、奇妙なことに、佐々木氏は、こちらが洗脳されそうになると、すっと一歩引いて、「俺を信じるな」というようなところがある。笑 「私の催眠にかかるな、かかるな!」と言いながら催眠術を掛けられているような。私はそれを、誠実さだと思っています。

Posted byブクログ