1,800円以上の注文で送料無料

切りとれ、あの祈る手を の商品レビュー

4.3

99件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    37

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2015/11/14

読むと文章の可能性を信じたくなる。もっと言うと、発破をかけられているような気分になった。 文章を読むこと、そして書くことがそのまま世界を変えるということ……自分が書いても書かなくても世界は続いて行くのだということが、逆に今・ここの「私」を慰めてくれる。 特にルターの章は最高に胸...

読むと文章の可能性を信じたくなる。もっと言うと、発破をかけられているような気分になった。 文章を読むこと、そして書くことがそのまま世界を変えるということ……自分が書いても書かなくても世界は続いて行くのだということが、逆に今・ここの「私」を慰めてくれる。 特にルターの章は最高に胸熱。誰が何と言おうと「読んで」しまった人=ルターの躍進ぶりに、快哉を送りたくなる。 昨日までと世界が変わってしまうことの驚き、そして目覚め。もう戻れないということが彼を進ませたのだな……。そんな一人の「読んだ者」が世界を巻き込み、世界そのものを変えていく過程に引き込まれた。 そしてもう一つ驚くしかなかったのは、最後の章のロシアの文盲率の話。今こうして私たちの手元にある本は、砂粒のような可能性の賭けに勝ってきた文学なんだなぁ。それはまさに、真っ暗闇の銀河で石を放り、地球まで届くかというような可能性……絶望的状況の中で、それでも何かが生き残る可能性に勇気をもらう。 それでも彼らは賭けに勝った、そして彼らが賭けに勝ったなら、我々が勝てないとなぜ言えるだろう? というところがとても好きだ。 世界は変わり続けるし、そんな世界の中に私たちはいるのだ。

Posted byブクログ

2016/04/27

揺さぶるような言葉の端々に身体が震えた。 書物を読むとは狂うことであり変わること。そして変えること。

Posted byブクログ

2015/09/11

哲学、宗教学?瞑想に沈まらせる不思議な本。5つのエッセイ集。本の装丁が素晴らしい。ヴァージニア・ウルフの言葉。「この者たちは報いを必要としない。彼らに与えるものは何もないのだ。この者たちは本を読むのが好きだったのだから。」これは読書自体が神を羨望させるほど愉しいものであることを強...

哲学、宗教学?瞑想に沈まらせる不思議な本。5つのエッセイ集。本の装丁が素晴らしい。ヴァージニア・ウルフの言葉。「この者たちは報いを必要としない。彼らに与えるものは何もないのだ。この者たちは本を読むのが好きだったのだから。」これは読書自体が神を羨望させるほど愉しいものであることを強調しているとのこと。ルター、ムハンマドも革命者として彼らが言葉をいかに大切にしたかを力説する。ルターは読むことを「祈りであり瞑想であり試練である」と言ったらしい。1522年の「9月聖書」(新約聖書ドイツ版)の初出版の時85刷10万部。そして年間の出版点数が498冊と激増し、ルターと敵対者のものが書籍の1/3を超えた記録も、本の歴史では最重要の出来事だろう。

Posted byブクログ

2015/08/14

本と革命、そして芸術、表現、思想などについて広く考えさせられます。今の時代「読む」という行為は、小説や新書、ネットの記事や軽いエッセイなんか、字を追ってなんとなく飲み込む、「消費」に近い行為かもしれませんが、かつて「読む」という行為はどういう意味を持っていたのか。そして、受け取り...

本と革命、そして芸術、表現、思想などについて広く考えさせられます。今の時代「読む」という行為は、小説や新書、ネットの記事や軽いエッセイなんか、字を追ってなんとなく飲み込む、「消費」に近い行為かもしれませんが、かつて「読む」という行為はどういう意味を持っていたのか。そして、受け取り手がいないのになぜ過去の偉人たちは「書く」ことを続けたのか…。という話です。当時の人達の思いを想像するだけで、少し身震いしてしまいました。 ダイナミックで、戯曲のような語り口なのでずっと姿勢を正して読んでしまいます。まだまだ読み込みたい一冊。

Posted byブクログ

2015/06/12

http://tacbook.hatenablog.com/entry/2015/05/02/124718

Posted byブクログ

2015/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに丁寧に読む気になる本。ページをゆっくりめくったのは久しぶりかも。 2010年か。読んでいる途中だが、あやうく哲学者になるところだった。普通の人間にもなかなか分かり易い。鵜呑み笑。会ってみたいな。

Posted byブクログ

2016/10/06

いわゆる常識にとらわれずに、テキストに真摯に向き合った結果完成した思想が語られます。インタビュー形式をとっているので、語る部分によってはクールだったり熱くなっていたり温度が伝わってきて面白い。本当に大事なことは、寄せてはかえす波のように何度も繰り返し述べられています。それゆえ主張...

いわゆる常識にとらわれずに、テキストに真摯に向き合った結果完成した思想が語られます。インタビュー形式をとっているので、語る部分によってはクールだったり熱くなっていたり温度が伝わってきて面白い。本当に大事なことは、寄せてはかえす波のように何度も繰り返し述べられています。それゆえ主張はとても分かりやすい。理解しやすいという意味ではないけども。 様々な読まれ方ができると思います。ひとつは読書論として。読書を情報フィルターにかけて読むことを拒否し、読めなささを自覚させる。冷静に考えれば確かに、カフカなど完全に読めてしまっては狂うのでしょう。それは容易に想像できます。理解するその一歩手前で私たちは読んでいると思いながらも無意識的にブレーキをかけているのかもしれません。 次に革命論について。革命による暴力をあくまで二次的なものとして述べています。革命における根本的な原動力は読み、理解し、書くことです。このとき本は危険な爆発物に比喩されています。暴力革命よりも、テキストとの格闘から発生する革命に優位性を持たせる言説は読む人によって納得感が異なることでしょう。 それから近代国家論や宗教論。ウェーバーが否定されて中世解釈者革命が肯定されています。宗教の神秘性への嘲笑が否定されてその普遍性が肯定されています。激しい台詞の割には、国家や宗教の在り方について極めて常識的(保守的)なことを言っているなと思いました。納得です。 主に最終章で取り上げられる文学論。あまりに力が入りすぎて笑ってしまう個所が散見。文学の定義に納得感があるかどうかは差し置いて、文学の持つ影響力や潜在力を信じている感じがひしひしと伝わってきます。たぶん現代の文学が孕む問題を過去5,000年や10,000年単位で論じるなんて滅多にないでしょう。良い意味でやりすぎです。そのざっくり感が精緻な前4章までと趣を異にしています。 現在を過去とは異なる特別な状況として把握する思想たち…ポストモダンとかでしょうか…に辛辣です。主に文学や思想について辛辣ですが、文学のみならず政治や経済についても言えるのでしょう。なんとなく今は近代の終焉、羅針盤なき現代、大きな物語が語られ得ない時代みたいな風潮がありますが、きっと著者に言わせれば笑止千万なのでしょうね。

Posted byブクログ

2014/05/04

最後の「ツァラトゥストラ」からの引用で号泣。弱ってるのか私。。。 1850年ロシア帝国の文盲率が90%だったにもかかわらず、プーシキンやドストエフスキー、トルストイらが次々と文学を書き上げていったことを引き合いに出して、文学の危機とか言って騒いでるやつは温い!と言ってる部分に吹い...

最後の「ツァラトゥストラ」からの引用で号泣。弱ってるのか私。。。 1850年ロシア帝国の文盲率が90%だったにもかかわらず、プーシキンやドストエフスキー、トルストイらが次々と文学を書き上げていったことを引き合いに出して、文学の危機とか言って騒いでるやつは温い!と言ってる部分に吹いた。

Posted byブクログ

2014/04/23

文学の力を盲信していると指摘することは簡単だと思う けれど、そもそもその何がいけないのだろう ある目標を達成しようと思うならそれ以上を目指せというのはよく知られた話である 文学の力を信じることなくして、文章に力強さを宿すことなんて出来やしない

Posted byブクログ

2014/02/20

音楽に救われた。力をもらった自分にできることは、音を鳴らし、歌い続けていくしかない。 今こそ歌ってる場合なのだ。

Posted byブクログ