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切りとれ、あの祈る手を の商品レビュー

4.3

99件のお客様レビュー

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2011/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

話題になっていたのと装丁が素敵だったので読んでみたくなった本。 (写真上はカバー有り。下は外したもの。どっちも素敵) 昨年末に読み始めて、読み始めから大絶賛したくなる本だった。 2010年イチ押しの本。大勢の人に読んで欲しいと思うとても興味深い本。 ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデル教授の『ハーバード白熱教室』みたいだと思った。 大学の講義みたいな書き方だし、内容もちょっと似ているところもあるし。 で、どんなところがどんな風に良かったの?と言われると困ってしまう。 文学、宗教、法律、藝術、沢山の内容のどれもが分かりやすく興味深く書かれている。 ひと言で言えないし、何か言おうとしたらこの本まるごと引用してしまうことになってしまう。 哲学なのか何なのかジャンルは私にはよくわからない。 読書論とか文学論とかそんなカテゴリで呼ばれているみたいだけど、私の感想はちょっと違う。 興味深い内容ということだけでなく、プラス絵とか写真とか音楽とかそういうもので素晴しいものに出会った時って理由は後回しでただ感動したり感激したりする、何か心のような見えない部分に直接触れ、届く、そういう感じに近いものも感じた。 それにしても、著者が私の1才上というのにはびっくり。 自分がそういう年齢になってしまっているのかと複雑な気持ちになった。 私は天才じゃないし人より優れた何かがあるわけでもない。 でも自分に真摯に真正面から真正直に向かっていこうと強く思う。 私には私の道しかなく、私の人生は私のものでしかないのだから。

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2014/04/07

いま読み終わったところで、圧倒的な迫力に押されて読み終えたところで、とても感想など書ける状態にない。 何日か後に何か書けるかどうか。 彼(佐々木中)が絶対的に帰依するニーチェ「ツアラツストラ」を、私は大学2年のドイツ語講読のテキストとして原書で読んだのだった。 そしてその原書...

いま読み終わったところで、圧倒的な迫力に押されて読み終えたところで、とても感想など書ける状態にない。 何日か後に何か書けるかどうか。 彼(佐々木中)が絶対的に帰依するニーチェ「ツアラツストラ」を、私は大学2年のドイツ語講読のテキストとして原書で読んだのだった。 そしてその原書は今も書棚にある。 何も記憶に残っていないが、読んだ筈であることだけで何となく誇らしい。

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2010/12/26

革命は、徹底して<読む>ことを通して行われる。 読み読み替え書き書き替えるという一連の流れが、広義に<文学>と呼ばれうる運動である。 佐々木は、この途方も無い運動が世界を変えると考える。 ポストモダン的な思考をもとにしながらも、諦め開き直るという態度をとらない。 0.1%の確率...

革命は、徹底して<読む>ことを通して行われる。 読み読み替え書き書き替えるという一連の流れが、広義に<文学>と呼ばれうる運動である。 佐々木は、この途方も無い運動が世界を変えると考える。 ポストモダン的な思考をもとにしながらも、諦め開き直るという態度をとらない。 0.1%の確率であろうと、伝わることを目指して<読め>と称揚する。 この0.1%という数字は、古代ギリシャの書き物全体のうち現在に残っている割合である。1%にも満たない確率でギリシャ哲学は負けてしまったのだろうか? そうではなく、この極少の中でも充分に伝え、後世に強く影響を与えているのであり、これは勝利である。

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2012/04/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かっこいい調子でかっこいい正論の話をしている。これに対抗するのはかなり難しい。個人的にもとても素晴らしい話だと思う。それでもとても大きな墓穴がある気がする。なぜなら、「読んでしまった」人がテクストを「読み読み変え書き書き変えた」先に生まれる言葉であっても、その言葉は読んでいない人でも易々と迎合できるくらいにかっこいいから。わかりやすい正論、わかりやすいかっこよさが大きな墓穴なんじゃないか。

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2019/01/16

12/5 暴力を前提とした法と、流血を前提としない革命。 「読むこと」それ自体にきちんと目を向けた著作。

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2019/01/16

一度で理解できない。でも何度も挑戦したくなる。 一度わたしはこれを「読んでしまった」。 読んでいて、言葉と文学が、武器であるという実感があった。 一夜(一章)ごとに頭を冷やさないと読めない。

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2011/01/05

刺激的な著作だった。 特に、第2章のルターと、最終章「そして380万年の永遠」が秀逸だった。 こういう考え方をする人いるんだ、とちょっとびっくり!

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2011/05/27

入荷先:府中市立中央図書館 月曜社のブログ「ウラゲツブログ」にて紹介されていた一冊。人文科学の世界では久々の(真っ当な)新星とされるのだが、果たして実際にはどうかという検証の意味も込めて一読。 読後、哲学や思想のなかで相当疎んじられてきたのだなとは理解できる。しかし、そうであ...

入荷先:府中市立中央図書館 月曜社のブログ「ウラゲツブログ」にて紹介されていた一冊。人文科学の世界では久々の(真っ当な)新星とされるのだが、果たして実際にはどうかという検証の意味も込めて一読。 読後、哲学や思想のなかで相当疎んじられてきたのだなとは理解できる。しかし、そうであるがゆえに既存の批評への嫌悪(これはあとがきで読むことができる)が一人歩きをし、アーティストに受け入れてもらえた僕ってカッコイイという自惚れ(=幼稚な承認欲求)も見え隠れする。佐々木の文体は好き嫌いが分かれるとは月曜社Kさんの証言であるが、この場合の好き嫌いはともすれば始末に負えないアジテーターのアジビラを読まされるのとそう変わりないのではないだろうか。 書籍を情報として消尽する(消費ではない)ことの無意味さは佐々木は指摘している(これについては同意する)。しかし、前著『夜戦と永遠』で見られたエキサイテングな文体は早くも鳴りを潜め、特定のの読者へのサービスに堕落した感は拭えない。ページ数も少ない(そして安い価格設定)だけにするっと読めてしまうのだ。つまり、なにを言いたいのかについてのエッセンスがまるでないのだ。 本書を読む限り、期待したほどではないというのが正直なところである。

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2010/11/02

これは美しい本だ。装丁も、そこにこめられている希望も、語り口さえも美しい。でも、僕にはとてもつらい本でもあった。 今の僕には、この本を「評価」することなどできない。なぜなら、僕自身が、この本の中で否定されている「本を情報として読む」人間だからだ。以前にショウペンハウエルの「読書...

これは美しい本だ。装丁も、そこにこめられている希望も、語り口さえも美しい。でも、僕にはとてもつらい本でもあった。 今の僕には、この本を「評価」することなどできない。なぜなら、僕自身が、この本の中で否定されている「本を情報として読む」人間だからだ。以前にショウペンハウエルの「読書について」を読んだ時に感じた苦い思いが、この本ではなお強く湧き上がってくる。 この本は面白い。「読むことなんてできっこない。読めたら発狂してしまう」という読書論。文学こそが革命を生み出してきたとする革命論。そして近代の世界観の根底を作り上げた中世改革者革命。いずれも興味深いトピックだし、著者が強い影響を受けているだろうピエール・ルジャンドルの思想には興味を持った。 でも、この本はそのように「情報の束」として処理されてしまうのを、全身で拒否している本なのだ。ここで途方に暮れてしまう。僕はこの本をどう読めばいいのだろうかと。Twitterで評判の本だったし、たしかに買って損はない一冊だと思う。でも、とうてい帯にあるように「元気がでる」ようには感じられなかった。この落ち着きの悪さ、しばらく抱えたままになりそう。それを忘れないほどの強さが、はたして自分にあるかどうか。

Posted byブクログ