優しいおとな の商品レビュー
感想 題材がストリートチルドレンというところが衝撃的。 東欧などでストリートチルドレンの話は聞くが、東京でもそのようなことが起こっているとすれば、かなり衝撃的。 また、ホームレスも一括りではなく、地上に住むもの、地下に住むもの、川の近くに住むものなど色々いて、それぞれの特性が...
感想 題材がストリートチルドレンというところが衝撃的。 東欧などでストリートチルドレンの話は聞くが、東京でもそのようなことが起こっているとすれば、かなり衝撃的。 また、ホームレスも一括りではなく、地上に住むもの、地下に住むもの、川の近くに住むものなど色々いて、それぞれの特性が違うことなど、勉強になる。 愛情を知らないイオンが、同じ境遇の人との出会いを通じて、愛情を知り、成長していくが、最後は自分を犠牲にすることに。 内容 ストリートチルドレンのイオンが主人公。 生まれながらにして親がおらず児童センターから11歳で逃げ出し、一人で生きてきた。 舞台は渋谷区。代々木公園に住んでいたが、人間関係が煩わしくなり、公園を飛び出す。 モガミという自分を気にかけてくれる大人に出会ったが、心を閉ざしたイオンはモガミを拒否する。 やがてイオンは、児童センターにいた頃の兄弟である鉄と銅を追い、アンダーグラウンドに住む闇人に加わり、鉄のことを知る錫と出会う。 しかし、アンダーグラウンドが闇人狩りに会い、命からガラ逃げたところを川人と出会い助けられる。 最後は地上に住むケミカルの子供を、闇人から取り返すべく、地下に向かうも、銃で撃たれて植物状態になる。鉄が無事に錫に会ったところで、息を引き取る。
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デストピア小説だし近未来のアダルトチルドレン小説。 暗いけど最後には少し救われたかなぁって感じ。 まだ15歳の少年なのに一人でホームレスとして暮らすイオン。彼は大人を三つに分類している。 それは優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかず。 わたしは優しいおとなになれたらいいな...
デストピア小説だし近未来のアダルトチルドレン小説。 暗いけど最後には少し救われたかなぁって感じ。 まだ15歳の少年なのに一人でホームレスとして暮らすイオン。彼は大人を三つに分類している。 それは優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかず。 わたしは優しいおとなになれたらいいな、、、。
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好き!この本、凄く好きだぁー! これ、日本?て思ってしまう。 イオンが色んな状況の中に、一つ一つ感じて行く「感情」。 その感じ方が切なく悲しくなる。 「優しいおとな」「優しくないおとな」分からない愛情、知らない優しさ、目から落ちる涙の意味。 辛く、辛すぎるストリートチルドレ...
好き!この本、凄く好きだぁー! これ、日本?て思ってしまう。 イオンが色んな状況の中に、一つ一つ感じて行く「感情」。 その感じ方が切なく悲しくなる。 「優しいおとな」「優しくないおとな」分からない愛情、知らない優しさ、目から落ちる涙の意味。 辛く、辛すぎるストリートチルドレンの生活。 暗闇しか知らない。普通が分からない。 モガミの優しさを感じ 守る強さを身に付け 陽射しの眩しさを知る。 これから・・・これから・・・だったイオン。 余りに酷なイオンの短い時間。 私好みの一冊でした。 イオンが愛しくてたまらなかった。
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『おとなには、三種類しかいない。 優しいおとなは滅多にいない。 優しくないおとなからは、すぐ逃げろ。 でも、一番僕たちを苦しめるのは、 どっちつかずのやつらだ。』 親も過去も持たない孤独なイオンが 荒廃した世界の近未来の渋谷を生き抜いていく物語。 人間の悪意や弱...
『おとなには、三種類しかいない。 優しいおとなは滅多にいない。 優しくないおとなからは、すぐ逃げろ。 でも、一番僕たちを苦しめるのは、 どっちつかずのやつらだ。』 親も過去も持たない孤独なイオンが 荒廃した世界の近未来の渋谷を生き抜いていく物語。 人間の悪意や弱さを描いてきた、 これまでの桐野さんの作品とは少し違う気がした。 結末のイオンの生い立ちを読んで、 ただのフィクションだと思えない怖さがあった。
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こんな小さなころからストリートチルドレンになり大人を信じられず生きてきたイオン。 彼が良い大人を信じられるまでには、つらい経験も人の死も最後には自分自身への苦しみを背負って生きてこなければならなかった。もちろん親がいないことや親からのネグレクト、虐待も大いにあるし、どこの国に行っ...
こんな小さなころからストリートチルドレンになり大人を信じられず生きてきたイオン。 彼が良い大人を信じられるまでには、つらい経験も人の死も最後には自分自身への苦しみを背負って生きてこなければならなかった。もちろん親がいないことや親からのネグレクト、虐待も大いにあるし、どこの国に行っても地球のどこかでこういう状況になっている子供はいる。それを自分たち大人が最低限に食いとどめること。そしてなにより、彼らに親がいなくても自分たちの経験と人とのつながりで、どこにだって誰にだってイオンのようになれるということを、今生きている子供たちに語り掛けているのかなぁと思う作品だった。
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課題本 候補 5月読了 渋谷ストリートチルドレンが主人公の話。NGOに参加する青年に助けられる側の意見が書かれている点で面白い。児童施設が悪として扱われる理由が、オリバーツイストと類似している。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まあ、救いがなかった。錫や鉄と会えたあたりは良かったですが、主人公のイオンは結局拠り所のない生活で。私は最後は植物状態のまま死んでしまったと感じました。
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桐野夏生さんの本は2冊目。1冊目もなんとなくピンとこなかったが…。あさのあつこさんの「№6」を思い浮かべながら読んだ。なんとなく…SFっぽい感じがして。でも、最後まで読んで、参考文献を見たら!なるほど、そういうテーマだったのか!と…。(自分の読解力の無さにがっくりきた。かなり難し...
桐野夏生さんの本は2冊目。1冊目もなんとなくピンとこなかったが…。あさのあつこさんの「№6」を思い浮かべながら読んだ。なんとなく…SFっぽい感じがして。でも、最後まで読んで、参考文献を見たら!なるほど、そういうテーマだったのか!と…。(自分の読解力の無さにがっくりきた。かなり難しい話だったのね。)でも、最後の終わり方は好きだった。イオン、お父さんとお母さんが迎えに来てくれて良かったね。これで安心して眠れるね…。
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「優しいおとな」に、自分はなれるのかな。おとなを好きになれなかった過去の自分と、おとなになりたくない今の自分が、読み進めながら考えていました。 感情って一回解放してしまうと恐ろしいね。感受性が豊かなことなのも大切だけど、気を強く生きていかなきゃいけない時は、どうなんだろう。
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桐野夏生さんが共同体の破壊の危機をテーマに読売新聞での連載に挑戦した「やさしい大人」を読了。まず舞台が渋谷から代々木公園辺りに設定されているが、スラム化した渋谷の街が妙に生々しい。オリンピックでリオのスラム街が取り上げられたが、日本もこのまま国が借金の額を際限なく増やし続け、格差...
桐野夏生さんが共同体の破壊の危機をテーマに読売新聞での連載に挑戦した「やさしい大人」を読了。まず舞台が渋谷から代々木公園辺りに設定されているが、スラム化した渋谷の街が妙に生々しい。オリンピックでリオのスラム街が取り上げられたが、日本もこのまま国が借金の額を際限なく増やし続け、格差が拡大して行くような政治が続いて行けばこの国のどこかにスラム街が広がってしまう恐れだってないとも限らないなあなどとちょっと暗い想像までさせられてしまう内容だ。新聞小説として書かれた小説なのでテンポ良く話が進み暗い話ではあるのだが桐野流の力でかすかな希望を随所でちゃんと感じさせてくれるので落ち込まずに読み進む事が出来る小説だ。たまに天童荒太さんの小説のように読みながらあまりに話が暗く自分を鼓舞し続けないと先に進めない物もあるが、そう意味では桐野夏生さんの小説では愛の欠乏についての警笛がならされていて反省はさせられるが、著者が絶望はしていない感じが伝わるので心が折れずに読みめられる。どの作品も安心して勧められるすぐれた作家ですね。
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