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神の棘(2) の商品レビュー

4.4

43件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

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2023/03/18

戦争の恐怖や愚かさが淡々と綴られている中で登場人物たちがどう考え、行動していったかが繊細に描かれていた。 是非最後のシーンは自分で読むべきものだと思う。

Posted byブクログ

2022/04/23

そこひっくり返してきましたか いやいやとても完成度の高い作品でした しかしながらやはり読んでいて気になったのは 果たして須賀しのぶさんは宗教に対して肯定的なのか否定的なのかあるいは中立なのかというところでした 自分が感じたのはその3方向それぞれに揺れ動いているような感じです ち...

そこひっくり返してきましたか いやいやとても完成度の高い作品でした しかしながらやはり読んでいて気になったのは 果たして須賀しのぶさんは宗教に対して肯定的なのか否定的なのかあるいは中立なのかというところでした 自分が感じたのはその3方向それぞれに揺れ動いているような感じです ちなみに中立というのは肯定と否定の間にあるわけではなくあくまで三角形のそれぞれの頂点というイメージです そしてあの暗黒の時代に宗教(カソリックと限定してもいい)が果した役割とは何だっのか考えさせられます そしてそれこそがこの作品の主題であることは『神の棘』という題名からも明らかなのではないでしょうか 自分自身は父親の葬式はお寺であげ、新年には神社に初詣に行き、クリスマスに浮かれる典型的な日本人で 神様の存在は自分にお願いごとがある時だけ湧いてくる人間です なのであまり「神」という存在を真剣に考えたことはありませんが もしあのユダヤ人の虐殺が『神の棘』だとしたら そして命令されあるいはそれが正しいと信じさせられ虐殺に手を染めたことが『神の棘』だとしたら そしてそれが「赦される」ためのものだとしたら そりゃあないだろうと それを納得できる精神構造こそ理解出来ません また作中で宗教は常に敵役を求めているという記述があり 恐ろしいことですが少しだけなるほどと思うところがありました 悪魔がいなければ神も必要とされないということです これは神が神として存在しうるために悪魔を生み出しているあるいは悪魔が生まれるのを歓迎しているともとれます ならば今現実の世界で行われている悪魔の所業も神が用意した棘なのでしょうか 止められない私たちに刺さった棘も一緒にいつか赦されるのでしょうか

Posted byブクログ

2021/09/16
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私はプロテスタントにしか関わらなかったので、カトリックの決まりごとに特に惹かれた。死ぬ間際人々は言葉より物質的なものにすがりたくなる、なんとなくわかるような気がする。 終わっちまった! 重かったな~。 アルベルト、いい人物だった。 10年後に再読したい。

Posted byブクログ

2020/12/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新潮の文庫本を先に読んでからこっち(2010年版の書き下ろし)を読んだ。 こちらは文庫版に比べてはアルベルトの視点が多分に含まれているが、 文庫版同様アルベルトの心理描写は控えめ (最後のどんでん返しのために、構成上そうでなければならない明確な理由があるわけですが) 文庫本でアルベルトが何を考えていたのかよくわからんな、 となってこちらを読みましたが、やはりよくわからなかったです。 やはり最後のセリフが引っかかる。 ミステリなので、最後のアルベルトのセリフもまたネタを明かすという意味合いなのか。 テオドールを妬んだフェルシャー、マティアスを羨んだアルベルト。 テオドールはフェルシャーに棘を与えたけれど、 マティアスはアルベルトに何を与えたのだろう。 アルベルトの最後の笑顔は、 マティアスとの関係のなかで彼が神の棘によって魂が浄化されたからこそなのだと一旦結論づけておきます。 新潮版とこの2010年版との比較ですが、 個人的にはこの2010年版の方がおすすめです。2010年版の方があっさりしている。 ひとつ難をいえば、誤植があまりにも多すぎる。

Posted byブクログ

2020/12/05

戦中の話なので読んでる間ずっと気鬱になっていたけど読んでよかった。終章ですべての印象が変わり、でもアルベルトはずっとアルベルトだったし、精神力は並外れて強いけど、ただ人間だったんだなあと思う。 長いしつらくてしんどいお話だけど終章まで読んでほしい。

Posted byブクログ

2020/10/14
  • ネタバレ

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歴史に詳しいわけではなかったですが、ユダヤ人はなぜ虐げられてきたのか?ナチスに傾倒していったのはなぜなのか?一端が少しわかった気がします。戦争が始まるきっかけや終焉までにはもちろん詳細な事実があり、それぞれ立場が違えは見方も変わると思います。革命前夜、また桜の国で、の2作品を先に読みました。それぞれ時代、立場が違う作品を読んで、この作家さんは歴史の検証をしながら本当にその場にいたかのように登場人物の目を通して書かれているので引き込まれてしまうなぁと思います。 人ひとりひとりは家族や友人をを愛したり護りたい。それぞれのささやかな幸せを守りたいだけなのだなと思いました。しかし世情への不満、その時の限られた選択で間違った道へも突き進んでしまう。それの行き過ぎた形が戦争、戦争中の差別、虐殺へと繋がってしまう。人間の思考はそんなに変わるものではないと思われるので歴史から学び間違った選択をできるだけしないことが大切だと思いました。神を信じることについても作品の中で登場人物が葛藤するのをみながら自分の宗教観についても考えさせられました。 この作品はミステリーと名のつく通り、ここで繋がってるのか!と夢中に読み進めました。アルベルトの潔よい人生はかっこいいですが、ならこそ救われて欲しかったと涙が止まりませんでした。

Posted byブクログ

2017/02/04
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須賀さんの小説は、歴史に疎い私でも理解できるよう背景や宗教観をしっかり描きながら物語が進むので、ずっしり重たく、読み進めるのに時間がかかりました。 ただ、読み終わったあとに残るのは物寂しい切なさというか。良い意味であっさりというか静かに浸れるような読後感でした。 上巻の後半辺りからずっとアルベルトの人となりがよくわからなくて。善人、悪人というカテゴリに当てはめるのは無理なんだなと思いながら読んでいました。 ナチスがどれだけひどい迫害を行ったのか、事実としては知っていますが、ナチス、ドイツ側からたとえフィクションであっても描かれたものを読んだのは初めてだったので色々と考えさせられる部分がありました。 戦時中の悲惨な様子。結局、米軍の占領下におかれることは、ナチスにとって変わっただけだと言う一般市民たち。ユダヤ人亡命には手を貸さなかったのに、ナチス幹部の逃亡には手を貸すヴァチカンの枢機卿…。 イルゼの告白以降からは、どうにかアルベルトが絞首刑を逃れて、罪を償い終えた暁に穏やかな人生が待っていればいいのにと願わずにいられない、そんな人物を描く須賀さんの手腕に毎度毎度はまってしまうというか。 マティアス、アルベルトという、時代に翻弄され、利用し利用され(アルベルトが一方的に利用していたような気もしますが)、憎みあっていたふたりが、あのようなラストを迎えられたこと。 いろんなものに涙が止まらない一冊でした。

Posted byブクログ

2017/01/27

革命前夜の時にも思ったが、これだけのスケールこれだけの魅力的なキャラクターこれだけのストーリーで、感情的にもっと盛り上がりそうな気がするのだけど、物凄く抑制された美学、というか、読了後(ああ、そうだったのか)と静かな感動を与えてくれる大人な本(決してつまらないわけではない)でした...

革命前夜の時にも思ったが、これだけのスケールこれだけの魅力的なキャラクターこれだけのストーリーで、感情的にもっと盛り上がりそうな気がするのだけど、物凄く抑制された美学、というか、読了後(ああ、そうだったのか)と静かな感動を与えてくれる大人な本(決してつまらないわけではない)でした。1巻でナチスドイツの将校のアルベルトに惹かれてはいけない、いけない!と思いながら読み進め、2巻でのまさかの展開に撃沈。いい男すぎる。(イルゼの告白がちょっとくどかった。) 須賀さんは1冊の中にその時代全て描き切ろうとするのか、背景の説明に多くページが取られてしまう気がする。

Posted byブクログ

2016/11/22

前半よりはだいぶ面白くなってきた・・・けど・・・もう一歩って感じかな・・・。 もう少しであるベルトにも感情移入できそうなんだけど・・・。

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2016/01/04

すごくおもしろかった。 ナチスの親衛隊と幼馴染の僧侶。 グイグイ読ませる。 文庫版は中身がかなり書き換えてあるらしく、そっちの方が断然おもしろいらしい。 読まねば! 直前に帚木蓬生の「ヒトラーの防具」を読んでいて、重なる部分が多かったので、またちがった感慨がありました。 グイグ...

すごくおもしろかった。 ナチスの親衛隊と幼馴染の僧侶。 グイグイ読ませる。 文庫版は中身がかなり書き換えてあるらしく、そっちの方が断然おもしろいらしい。 読まねば! 直前に帚木蓬生の「ヒトラーの防具」を読んでいて、重なる部分が多かったので、またちがった感慨がありました。 グイグイおもしろいのに、なぜか誤字脱字が多く、かなり気を削がれる。 最悪なのが、一箇所、登場人物の名前がまちがってた。 ビックリします。 やっぱり文庫版を読まねばー

Posted byブクログ