1,800円以上の注文で送料無料

半分のぼった黄色い太陽 の商品レビュー

4.6

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/04

この作品を読むまで、ナイジェリアのことも、ビアフラ戦争のことも知らなかった。 幸せも不幸せもすべて、戦争、暴力は破壊して去ってしまう。あとには憎しみ、悲しみが残るだけだ。つくづく、戦争をしてはいけない、暴力はあってはならないと思った。 人間の本来の美しさ、賢さ、その対極にある...

この作品を読むまで、ナイジェリアのことも、ビアフラ戦争のことも知らなかった。 幸せも不幸せもすべて、戦争、暴力は破壊して去ってしまう。あとには憎しみ、悲しみが残るだけだ。つくづく、戦争をしてはいけない、暴力はあってはならないと思った。 人間の本来の美しさ、賢さ、その対極にあるのが、戦争、暴力である、とつくづく感じた。 しかし、現在も、戦争が世界の各地で起こされている。どれだけ多くの人々が憎しみと悲しみにまみれていることか。

Posted byブクログ

2023/11/19

戦争はある日突然始まるものではなく、じわじわと気づいたら日常生活に入ってくるのだなと。長いけど読みやすくとても面白い。 カイネネの台詞が印象に残る。 「愛がほかのものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。なにかを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから」

Posted byブクログ

2022/04/24

「アフリカ」と大雑把に語ることの無意味さを改めて反省。自らの無知と偏見をいくつも自覚させられ、非常に勉強になった。

Posted byブクログ

2020/08/23

まるで目の前にアフリカナイジェリアの暮らしがあるような生き生きとしたストーリーテリングの果てにたどり着く、圧倒的な戦争の虚しさと喪失感よ。

Posted byブクログ

2019/11/28

ビアフラ戦争、飢餓の代名詞となった戦争を今まで知らなかったし、ナイジェリアへの心理的距離を縮めてくれた一冊。こんな巨大で繊細な作品を20代で執筆したなんて、すごい。ウグウもオランナも、リチャードもカイネネもすき。オデニボはちょっと苦手…。戦争が人を変えてしまう。どこでもどの時代で...

ビアフラ戦争、飢餓の代名詞となった戦争を今まで知らなかったし、ナイジェリアへの心理的距離を縮めてくれた一冊。こんな巨大で繊細な作品を20代で執筆したなんて、すごい。ウグウもオランナも、リチャードもカイネネもすき。オデニボはちょっと苦手…。戦争が人を変えてしまう。どこでもどの時代でも。「何かが首のまわりに」を再読すると、まったく違う風景が見えそうだ。

Posted byブクログ

2019/10/25

多分この作家は遠からずノーベル文学賞受賞するんじゃないかな。英語で書いているなら、ブッカー賞も… オデニボが崩れてゆく様が痛ましい。どこの国でもいざとなると女は強い。カイネネを失っても、オランナはオランナだろう。リチャードはどうだろう。ナイジェリアに残るのか。結局本を書き上げるこ...

多分この作家は遠からずノーベル文学賞受賞するんじゃないかな。英語で書いているなら、ブッカー賞も… オデニボが崩れてゆく様が痛ましい。どこの国でもいざとなると女は強い。カイネネを失っても、オランナはオランナだろう。リチャードはどうだろう。ナイジェリアに残るのか。結局本を書き上げることはできないだろう。恐らく作家になるのはウドウ。ウグウが加害者となった経験が、彼が作家となる糧になるのだろうか。 欧米人のジャーナリスト、いかにもだな。

Posted byブクログ

2017/06/24

赤、黒、緑の3色の真ん中に半分のぼった黄色い太陽の図柄。 これは、1967-70年に存在したビアフラ共和国の国旗である。 あるクーデターから端を発し、イボ人に対する虐殺などが度々起こった結果、イボ人は結束して、「ビアフラ」として、ナイジェリアからの独立を宣言した。 しかし、彼ら...

赤、黒、緑の3色の真ん中に半分のぼった黄色い太陽の図柄。 これは、1967-70年に存在したビアフラ共和国の国旗である。 あるクーデターから端を発し、イボ人に対する虐殺などが度々起こった結果、イボ人は結束して、「ビアフラ」として、ナイジェリアからの独立を宣言した。 しかし、彼らの持つ石油を連邦政府が手放すわけはなく、戦争へと突入していく。 この1960年代前半〜後半にかけての物語が3人の視点で語られる。 田舎から、スッカという大学町にハウスボーイとしてやってきた少年、ウグウ。 彼のご主人、オデニボは若き数学者で、毎週末には同僚たちが彼の家に集まりサロンのようになる。 オデニボの恋人、オランナ。 彼女は、ナイジェリア最大の都市ラゴスの裕福な家庭で生まれ育ち、ロンドン留学の時にオデニボと出会う。カイネネという双子の姉を持つが、いつからか2人の間には溝ができている。 そして、カイネネの恋人、リチャード。 彼は、イギリス人だがイボ=ウクウ美術に憧れて、ここへやってきて、カイネネに一目惚れをする。 序盤は、理想に燃える若き学者たちの様子や、オランナやカイネネなど富裕層の優雅な生活、そして、それに驚くウグウの様子などを楽しく読んでいた。文化は全く違うけど、「小さいおうち」を思い出すなぁなんて、思っていた。 そこに少しづつ少しづつ、戦争の影が忍び寄る。最初は誰も気づかない。でも。気づいたら後戻りが出来ないところにいる。追い詰められた人々は、大義を無理に信じることに逃げたり、仲間であるはずの人を信じられなくなったりする。 戦争は人を変える。でも、変わるか変わらないかはその人次第だと、カイネネは言う。 オランナとカイネネがまた姉妹に戻れた日々がうれしかった。 「あまりに許せないことがあると、小さなことは忘れてしまうという言葉は辛辣だったけど。 カイネネが好きだ。 彼女の言葉にはいつもハッとさせられる。 祈るような気持ちで読み終えた。

Posted byブクログ

2017/06/12

ナイジェリア1960年代の話。 60年代前半と後半で分けて話は進む。 壊れてしまった幸せな日々を思い出すような構成になっていて、読んでいて胸がヒリヒリする。 翻訳本は苦手な人にも一気に読める作品だと思う。 引用P.137 カイネネ「愛が他のものの入る余地を残さないとあなたが考...

ナイジェリア1960年代の話。 60年代前半と後半で分けて話は進む。 壊れてしまった幸せな日々を思い出すような構成になっていて、読んでいて胸がヒリヒリする。 翻訳本は苦手な人にも一気に読める作品だと思う。 引用P.137 カイネネ「愛が他のものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。何かを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから。」

Posted byブクログ

2017/04/26

図書館で。 久々に本の力、というか読書の楽しさや面白さを実感させてくれた本。すごいなあ、本って、読書って。何がきっかけで借りてきたかは覚えてませんが読んでよかった。 お話は1960年のナイジェリア内乱もしくはビアフラ独立戦争直前から終わるまでのお話。ビアフラの子供という、飢餓に...

図書館で。 久々に本の力、というか読書の楽しさや面白さを実感させてくれた本。すごいなあ、本って、読書って。何がきっかけで借りてきたかは覚えてませんが読んでよかった。 お話は1960年のナイジェリア内乱もしくはビアフラ独立戦争直前から終わるまでのお話。ビアフラの子供という、飢餓に苦しむ子供の写真は見たことがあったしその地で飢餓に苦しむ人々が居た事は知っては居たけれども内戦で救援物資も封じ込められた為の飢餓だったとは。恥ずかしながら初めて知りました。 沢山の民族と文化と歴史がある人々が暮らしていて一枚岩になるわけもないよなぁ。話す言葉も違うんだもん。でも外国人は黒人というだけで我々を全部同じ民族だと思って居るという作中の言葉に自分もそう思って居たな、と反省しました。(まあ反対に他の国の人々はアジア人の区別はつかなそうですが。かく言う自分もあまり自信ないけど…) 日本とはまるで違う国のお話で文化も歴史も言葉も違うのに人間の悩みや人間関係の問題はこうも普遍的なモノなのか、という事が当たり前の事なんだけれども面白かったです。どこの国のどんな人でも似たような事やってるんだろうな、程度の差こそあれ、という事を知っていれば、皆自分と同じヒトなんだ、と理解すれば虐殺や暴動など出来ないと思うのになぁ。そう言う意味で教育は大事。そして共感力を養うためにも読書って大事だなぁと改めてしみじみ思いました。 そして戦争はイヤだ。町や家や物が焼かれ、人が殺され、子供たちは兵隊に取られ、女性が被害にあう。そんな状況と病気や飢えに苦しむ自分の姿を想像すれば戦争なんて絶対にしてはいけないと思うはずなのに。そしてそんな思いを誰に対してだって体験させてはいけないと思うはずなのに。 この頃世界情勢がキナ臭いので嫌だなぁ、戦争はイヤだな、と思いながら読み終えました。物凄い読み応えのある一冊でした。

Posted byブクログ

2012/09/30

物語の語り手の三人もバランスがよい。みんななにかしらの意味で「観察者」だよね。特に序盤はそれぞれアフリカハイクラスの、アフリカ庶民の、アフリカ社会の、観察者と行った具合に。だから前提が理解しやすい。中盤からはどんどん当事者になっていって、彼らの行く末が気になった。途中ちょっとダレ...

物語の語り手の三人もバランスがよい。みんななにかしらの意味で「観察者」だよね。特に序盤はそれぞれアフリカハイクラスの、アフリカ庶民の、アフリカ社会の、観察者と行った具合に。だから前提が理解しやすい。中盤からはどんどん当事者になっていって、彼らの行く末が気になった。途中ちょっとダレたけど。 アフリカとして一般に語られがちな貧困や紛争は数ある要素の一つだと語る小説。それでも一般に語られる要素の重さも感じられる小説。面白かったです。

Posted byブクログ