ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン の商品レビュー
「明るくて悲しい」と訳者後書きにあるが、明るさは感じられなかった。 もしこれが「ブラックユーモア」というものであれば、上から見下ろす「イジメ」感覚がチラつき、不愉快だ。 出だしのどうしょうもない主人公の状態をみて「なんでもっと早く対処できなかったのか」とイライラさせられた。 ...
「明るくて悲しい」と訳者後書きにあるが、明るさは感じられなかった。 もしこれが「ブラックユーモア」というものであれば、上から見下ろす「イジメ」感覚がチラつき、不愉快だ。 出だしのどうしょうもない主人公の状態をみて「なんでもっと早く対処できなかったのか」とイライラさせられた。 物語が遡るにつれて、次第に自分でもいつなんどきそこに陥ってしまう可能性に気がつき、背筋が寒くなる。 「ミスターノーバディー エニバディー」 夕陽を見ながら「僕は楽しむことを学ぼう」という、ラストシーンが悲し過ぎる。
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2006年レストランの高級ワインで酩酊する主人公、2004、3、2年と遡り、酩酊する語り手の正否定かならぬ言葉で彼の転落の人生が語られる。 想定していた話とは大分異なったが、久しぶりにボルドーの古酒でも飲んでワインの魔力に浸りたい。 サッカレーの虚栄の市は読んだことはないのだが...
2006年レストランの高級ワインで酩酊する主人公、2004、3、2年と遡り、酩酊する語り手の正否定かならぬ言葉で彼の転落の人生が語られる。 想定していた話とは大分異なったが、久しぶりにボルドーの古酒でも飲んでワインの魔力に浸りたい。 サッカレーの虚栄の市は読んだことはないのだが。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] ボルドーの迷宮に足を踏み入れ、その虜となった実業家ウィルバーフォース。 あるワイン蒐集家と知り合い、古い屋敷と膨大なコレクションを受け継ぐことになるが、そこには驚くべき悲劇が待ち受けていた…。 四つの「ヴィンテージ」を遡りながら、苦いユーモアに満ちた語りで明かされる人生の浮き沈み。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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ワインコレクターの主人公、アルコール依存症になりながらワインを探求するのは何故なのか。続きが気になります。 読もうとする方へ申し訳ないので多くを書きません。読後の疲労感は 気分が良くなかったです。飯がまずくなる本です。
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いやーてっきり、ワインの解説書だと思ってしまいました。これを読んでいると、自分もワインを飲みながら遊んで暮らしそうで怖くなります。働かずに暮らしていける人種がうらやましいです。なんとなく「ブライズヘッドふたたび」を思い出してしまいました。
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実にユニークなデビュー作の『イエメンで鮭釣りを』で一躍有名になった遅咲きの英国作家ポール・トーディの新作。今回は小説らしい技巧を凝らした作品で、ワインに翻弄されてしまう男のちょっとビターな物語で、おいしいボルドー・ワインのグラス片手に読みたい小説だ。まあ、ワイン好きな人には心臓に...
実にユニークなデビュー作の『イエメンで鮭釣りを』で一躍有名になった遅咲きの英国作家ポール・トーディの新作。今回は小説らしい技巧を凝らした作品で、ワインに翻弄されてしまう男のちょっとビターな物語で、おいしいボルドー・ワインのグラス片手に読みたい小説だ。まあ、ワイン好きな人には心臓に悪い小説かもしれない。知る人ぞ知る垂涎のボトルが、主人公・ウィルバーフォースによって次から次へと無造作に空けられていくので、マニアであるばあるほど失神しそうになるに違いない。まず、冒頭にレストランで彼がオーダーする「シャトー・ペトリュス 1982」なんて、その値段をネットで調べたところ1本75万円!だった、、、物語は、2006年の破滅の年から順に2004年、2003年、2002年と遡って、ウィルバーフォースがいかにして、師・ブラックやその友人たちと出会い、親交を深め、人生を変えていったかが描かれている。なかなか日本人には想像のつかない英国有産階級の想像を絶する優雅な日々が、ていねいに書かれていて興味深い。しかしながら、良く言われるように『幸せはお金では買えない』のだ。ましてや成金で他人と少し違った性格と育ちのウィルバーフォースであればこそなおさら。私も一時的にワイン・テイスティングや利き酒にはまった経験があるから、良く分かるのだが、あれは趣味が高じれば高じるほど、いくらお金があっても足らなくなる。いわば中毒にかかるようなものだ。人生全てがお酒のためにからめ取られかねないのだ。庶民の場合はたいてい資金不足でそこまで至らないのだが、、、最後の2002年の章などは、まだナイーブなウィルバーフォースの姿が書きとめられていて、それまで逆にたどった彼の人生を思い起こされ痛ましい。また、後半まで明かされない、ウイルバーフォースのファースト・ネームについての扱いもいかにもさりげなく、読者の想像に任せていて心憎い。
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