遠い日の戦争 の商品レビュー
戦犯を主人公にしたストーリー。正義に対する考え方が深くて面白い。人間の信念についても考えさせられる。特にラストがすごくよく、自分の腹に落ちる佳作だと思う。
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終戦と後のいわゆる戦争犯罪(人)に対して考えさせられる小説。 主人公は終戦後、B29の搭乗員を処刑することに加わり、その事で戦後追われる身になる。B29の搭乗員は当時の国際条約に違反して民間人を大量虐殺した事で、日本軍部は処刑を決定し、国際社会にも宣言していた。戦後それらが戦争犯...
終戦と後のいわゆる戦争犯罪(人)に対して考えさせられる小説。 主人公は終戦後、B29の搭乗員を処刑することに加わり、その事で戦後追われる身になる。B29の搭乗員は当時の国際条約に違反して民間人を大量虐殺した事で、日本軍部は処刑を決定し、国際社会にも宣言していた。戦後それらが戦争犯罪となるが、勝者が敗者を裁くことを見せつけられた思いがした。また裁く側の都合で量刑が斟酌され、減軽される政治的な流れについても人間の行いの空しさを覚えた。主人公が最後の場面でかつて働いていたマッチ工場のマッチを擦り、その質の変化を眺める様は時代の流れを思わせられてしんみりした。 考えさせられる小説であったが、生きる勇気や感動を与えられるわけでは無かったので、私のテイスト的には星を一つ減らして四つとした。
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戦前ばかりを特別視する人がいる。 でも、「正義」の顔が代わっただけで、結局同じなんじゃないか、と思う。 そうそう人間の性質など変わらないのだ。 もし私が戦直後を経験したら、何も信じないと思う。 世の中すべてを斜めに見て、綺麗なことも汚いことも、「ばかじゃないの」と笑っているような気がする。
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戦犯とは、所詮は戦勝国が敗戦国におしつけるもので、正義なんてない。そんなテーマが、一人の逃亡した戦犯をめぐって書かれている。世論や世情によって判決の傾向が変わっていくなんて、初期に処刑された人たちは正に死に損。処刑を免れても、主人公のように大きな重荷を背負わされてしまう。
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戦後の日本の混乱がよくわかる。 主人公は戦犯の対象になってしまい、 絞首刑から逃れるために、逃亡生活をする。 それが長くなるにつれ、精神を消耗していき はじめは何の迷いもなく選択したことだったが これが本当に正しかったのか、と彼は自分に問い続けていく。 戦後のあまり語られない...
戦後の日本の混乱がよくわかる。 主人公は戦犯の対象になってしまい、 絞首刑から逃れるために、逃亡生活をする。 それが長くなるにつれ、精神を消耗していき はじめは何の迷いもなく選択したことだったが これが本当に正しかったのか、と彼は自分に問い続けていく。 戦後のあまり語られない日本の様子に 驚くとともに納得し、これまで知らなかったことが 恥ずかしくなる。多くの人が読んで考えるべき内容。
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太平洋戦争終了間際に捕虜となったアメリカ兵を処刑した主人公。 主人公は、空襲や原爆で大勢の日本人を殺されたうらみ、それを晴らす代表者としての気持ちで捕虜を殺害した。 しかし、待っていたのは戦後の日本人の意識の変換であり、警察からの厳しい逃亡生活だった…。 こうも意識の...
太平洋戦争終了間際に捕虜となったアメリカ兵を処刑した主人公。 主人公は、空襲や原爆で大勢の日本人を殺されたうらみ、それを晴らす代表者としての気持ちで捕虜を殺害した。 しかし、待っていたのは戦後の日本人の意識の変換であり、警察からの厳しい逃亡生活だった…。 こうも意識の変化が行われるものか。 生きるためとはいえ、処刑を実行した主人公のむなしさが良く伝わる。 逃亡の事細かな主人公の心の描写が切ない。 特に逮捕のシーン、東京裁判のシーンが印象的だった。 東京裁判は、真実を学びなおしたい。 遠藤周作の「海と毒薬」にも事件的(捕虜処刑)にはつながる作品。
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終戦を境に激変してゆく日本の歪みと矛盾。価値観の変わった現在においても日本人の深層には敗戦と、戦争犯罪へのさまざまな苦い思いが横たわるのだろう。大いに考えさせられた。
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