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山本五十六 の商品レビュー

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2011/08/16

本書は日本海軍の軍人で連合艦隊司令長官として真珠湾作戦を発案し、ラバウル前線を視察中に戦死した名提督山本五十六の実像に迫った伝記である。 本書は根拠のない挿話や顕彰部分を削ぎ落とし、実像を見つめなおす事を目的としているが正直伝記としては物足りない。 むしろ日本海軍の体質や...

本書は日本海軍の軍人で連合艦隊司令長官として真珠湾作戦を発案し、ラバウル前線を視察中に戦死した名提督山本五十六の実像に迫った伝記である。 本書は根拠のない挿話や顕彰部分を削ぎ落とし、実像を見つめなおす事を目的としているが正直伝記としては物足りない。 むしろ日本海軍の体質や敗因を検証した部分の方が面白い。山本の軌跡を辿ると海軍の歩んだ道のりと重なる。本書の軍縮会議や三国同盟のくだりは大変参考になる。陸軍に比べ海軍は良識的であった印象が強いが、海軍とて国益をかえりみず省益に奔走した官僚組織であった事がわかる。 また、三国同盟は米内、山本、井上の海軍三羽鳥が命をかけて阻止したという話が通説となっているが、時系列の問題から著者は疑問視している。(著者はむしろ吉田海相を高く評価している) 《これが事実とすれば某歴史探偵は勉強不足という事になるのだが、この件に限らず新説に対する言及がないのが残念である。》 本書を読むと明治の海軍が総力戦を戦った事に先の大戦の悲劇を感じる。

Posted byブクログ